「想い」を届ける

Sakura Shiroma
exploring the power of place
4 min readJun 8, 2016

「いらっしゃいませ、おめでとうございます」

今日も、誰かの結婚式が始まる。幸せの1ページが今日もまた描かれていく。

今まで何組のカップルの結婚式のお手伝いしたかわからないし、どんな人がいたかなんて明確に覚えていない。しかし今日もまた誰かの「想い」を届ける素敵な仕事が始まる。

私がこのアルバイトを始めたのは2年前の秋。友達の誘いでただただ時給に目がくらみ、始めた『ただのアルバイト』だった。だが1日目の出勤からその考えは打ち砕かれる。会場に溢れかえる笑顔、幸せの雰囲気、知人の結婚式ではないはずなのに涙が何度も溢れ出た。誰もが幸せを感じ、誰もが笑顔になれる空間を作り出しているスタッフの気遣い、心配り、見ていて心地よい笑顔。「これ、『ただのアルバイト』じゃないな」そう実感し、これからの意欲に変わっていった。

私が働く結婚式場は「ハウスウエディング」を行っている。「ハウスウエディング」とは一軒の邸宅のような場所を貸し切って行う結婚式の事を指している。最近では、上の写真のようなおしゃれでカジュアルな雰囲気の会場もでき、さらに結婚式のスタイルが変わってきている。お客様にゆっくりのんびりと結婚式を楽しんでもらったり、新郎新婦のやりたい事をなるべく叶えてあげられるような環境がそこにはある。このように、こだわりの結婚式ができると謳っているからには、私たちスタッフも生半可な気持ちで働く事は出来ないし、結婚式での粗相なんて認められない。それに、結婚式は一人では作り上げる事は出来ない。スタッフ同士のチームワークがとても大切だ。

今、私は新しく出来た店舗でサービスをさせてもらっている。テーマは「自由で、おしゃれに、ここちよく」簡単なように見えてその三つがかなり難しい。きっと一般の人のなかで結婚式というのは敷居の高い場所という認識が強いのではないだろうか。礼服を着て、しっかりとドレスアップをして、しっかりとしたスタイルで参加すべき場として捉えている人が多いからこそ、「自由で、おしゃれに、ここちよく」が難しい。しかし、その場の空気、雰囲気を率先して作り上げるべきなのが私たちスタッフだ。サービスをしながら、私たち発信で場づくりを行っていく。ご新郎ご新婦様の代わりになって、ご参列されている方々に幸せを届ける。今まで通りの結婚式のスタイルではなく、とてもカジュアルな形で。それが私たちサービススタッフの仕事だと考えている。

私がこのアルバイトを続けている理由の一つとして、みんなで協力して一つの空間を作り上げることの素晴らしさを実感できることがあげられる。一つの何かを作り上げるために、同じ「想い」を届けるために何人もの人が「ひとつ」になっている瞬間が好きだ。だからこそやりがいを感じ、続けていけるのだと思う。

私たちにとっては仕事としてこなすだけ。何百回もある結婚式のうちの一つであっても、ご結婚されるお二人にとっては一生に一度の晴れ舞台で一生に一度の大切な日。一回一回の結婚式に違った「想い」が込められていて、その「想い」をより多くの人に届けるために私たちがいる。私一人では絶対に作り上げることなんてできない。

きっとこれからも、何組ものカップルの結婚式のお手伝いをさせていただけるだろう。一回一回に込められた「想い」をたくさんの人に届けていくために、スタッフ同士ぶつかりあったりすることもあるだろう。だけどやっぱりみんなで作り上げていく「空間」が好きだから。これからもずっと合言葉のように言いつづけるのだろう。

「いらっしゃいませ、おめでとうございます」

今日もまた誰かの「想い」を届ける素敵な仕事が始まる。

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