桜丘の風景

『使いみちのない風景』という本がある。村上春樹による文章と稲越功一による写真がほぼ交互に現れる構成の本だ。心の中に残っているが使い道は分からない風景について考察されている。詳細はぜひお手に取って確認していただきたい。このMediumはその本をモチーフに書かれている。

サダメの外から

今大学の研究調査のフィールドとして入っている、渋谷区桜丘町に関するこのニュース。

渋谷で「暮らす人」

渋谷はなぜだか“人々の暮らし”が見えてこない。渋谷に「集う人」のインパクトが強すぎるからだ。例えば、渋谷のハロウィン騒動。イベントに関わっているのは、渋谷の住民というよりそこに「集う人」だ。“若者の街”という渋谷のイメージだって、渋谷に「暮らす人」に限らず「集う人」に焦点を当ててい…

ダンシング・ベア

1990年代後半、渋谷は、歌手の安室奈美恵に憧れて彼女のファッションを模倣する「アムラー」の聖地だった。「アムラー」と前後して、「コギャル」や「ヤマンバ」といったことばも生まれた。渋谷は、各地から女子高生が集い、商品やサービスを消費し、新たな文化を生み出す拠点として認識されていた。私は…

ちいさなものがたり

私が所属するゼミでは、後輩たちが渋谷の桜丘をフィールドとして活動を行なっている。東急による再開発が行われる桜丘に着目し、日々変化するまちや、人びとの様子を追いかけているのだ。私は後輩たちが活動を始めるまで、桜丘という地名さえも知らなかった。ましてや、まちの姿がガラッと変わってしまう…

渋谷と育つ -２-

「渋谷」と言えば。

駅前のハチ公像に、スクランブル交差点。センター街に、109。

このあたりが、「渋谷ってどんな印象？」と聞かれた時に、大抵の人が思い出す場所ではなかろうか。周りを見渡せば人人ヒト。休日の夜に訪れる「渋谷」で１人にもぶつからずに歩くのはまず不可能。カラフルな看板の情報が次々と目に飛び込んできて、お店の店員さんや観光客や派手なギャル、色んな人の話し声が常に絶えない。だからなんだか気を抜けないし、正直あんまり得意じゃない。でも駅を通る路線も多いから待ち合わせには最適で、なんだかんだよく来てしまう。そんな…

The Smell of Convenience

Ever since repetitively visiting Shibuya’s Sakuragaoka for fieldwork, I let my nose lead the way. From there, I have gathered a collection of the smells.

What does Sakuragaoka smell like? Sakuragaoka has smells that are constantly there, the smells that I…

否定じゃなくて

渋谷では現在、再開発が進んでいる。再開発に限らずとも、半年前にあった居酒屋は閉店していて、新しくカフェができている。渋谷という街は常に何かしらが変化している。

わたしは普段あまり渋谷に自ら好んで足を運ぶことはしない。渋谷という街は、食事やショッピングをするのに事足りる街であることは十分承知しているし、わたしの自宅から渋谷まではおよそ20分くらいだから、地理的な距離もそこまで抵抗感がある場所ではない。

五感で味わう

そのお店は、渋谷の再開発の区域内にあった。

お店は10月末で、もうすでに営業をやめてしまっている。蛍光灯は、お店の名前を不安定に照らし、入り口の階段横には、埃を薄くまとった食品サンプルがあった。それらは、昔は整列していたが時間が経って少しずれ…