ラオス、ルアンパバン

Akihiko Satoda
Far Off
Published in
4 min readJan 22, 2018

ラオスについては村上春樹が一章割いている。その北部にあるルアンパバンという僧侶と托鉢の街の、メコン河に沿って流れる独特の時間というイメージは世界の旅行者の間で定着している。金色の仏寺が点在し、市街がまるごと世界遺産に登録されているところをみると、京都と少し似ているとも言えるし、やはり違うような気もする。

バンコク経由の便に乗り、そんなルアンパバンを所用で訪れている。

乗り継ぎでは6時間あることがわかる。観光したい気持ちもあるが、機内の眠りが浅いのか日本であまり食べてこなかったからか、なぜか思ったより疲れているので、監視カメラの真下のベンチで仮眠を取る。

目が覚めると機内食を食べたにもかかわらずなぜか徹夜越しの空腹を感じる。ふと見つけた開店前のバーの店員と目が合う。サンドイッチを頼んだ後、コーヒーがないことに気づきカフェで一杯頼む。

さて、ラオス入国。小さな空港で一万円ほどキープへ両替をする。ドルやバーツを用意してきても良かったが、キープが切れたら市内でどうにかなるだろう。

トゥクトゥクに乗ってもよいが、まだ具合が分からないし、空港から5キロの道は歩けそうだ。そう思って歩いてみるが、1月でもただただ暑く、汗が滲むのであまりおすすめはできない。帽子とサングラスはあったほうがよい。

街が近づいてくるが、信号はなく十字路に入るドライバーたちは各自の判断で事故を回避している。

オレンジの法衣をまとい仏寺に入っていく育ち盛りの少年たちの列に出くわし、思わず道を譲る。日本でも欧米でもお馴染みの、大騒ぎしている少年たちではない。ここで一番はしゃいでいるのはバイクにのせてもらっている女の子と、20–30代の欧米人、それから中国人ツアーだ。

やがてゲストハウス街に着く。マッサージやスパのあるゲストハウス通りで、どこもかしこもゲストハウスだ。いつも通りAirbnbで予約したゲストハウスにチェックインしてまた仮眠をとり、黄昏の夜市を逍遥する。

訪問者は多様で、白人の裕福そうな高齢者夫妻も結構見かける。ラオスはフランス領だったから、フランス人から見ればここも手軽なリゾートなのかもしれない。

飛行機の隣席に座った男性は南アジア系のようだし、空港にはスロバキアの便も乗り入れる。英語とフランス語は当然と言えば当然だが、中国語、韓国語、ドイツ語も耳に入る。タイから来ている人も多そうだ。

バックパッカーはバンコクのカオサンのほうが多いように思う。日本人が少ないことをのぞけば台湾にも少し似ているが、日本人もみかけないではなく、ここを敢えて目的地に選んだ日本人たちは本当のバックパッカーのようだ。

夜市を抜け、至近のIndigo Houseで晩御飯を頂くことにする。店の前には、入れ代わり立ち代わり外国人が買いに来る大繁盛のベーカリーがある。

サーブされた豚のソーセージにゴマをまぶした川海苔と一緒に食べる。辛味噌は思ったより辛く、ビア・ラオが進む。暗くて何を食べているのかはっきり分からない。昆虫やコウモリを食べる日はいつ来るだろうか。とりあえずその時には飲んで準備をしておくしかない。

その次に食べたのはもち米のクラッカー、平たくいえばおこしにサラダを載せたもので、この組み合わせは日本では見ないかもしれない。

添えてあるスターフルーツでお口直しをして、さらに帰りがけのフルーツ屋台で10000キープ(約130円)渡して盛り合わせを作ってもらって帰る。フルーツは南方の楽しみの一つだ。

夜の豊かな時間が流れているが、移動の疲れもまだ残るので早めに寝ることにする。筆者のゲストハウスのWifiは比較的つながるものの、時々切れる。いい感じのテラスがあるが、他のゲストたちはまだ夜市を楽しんでいるのか、あまり会わない。隣のゲストハウスの笑い声やどこかでやっているローカルなカラオケが聞こえるメロウな夜が愛おしい。世界中から人が来るわけだ。

持参の本をぱらぱらとテラスでめくる。このアジアの街でヨーロッパの小説を読んでいると、精神を定位する場所に少し困る。

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