ソーシャルメディアバブルの時代

Ayako Shimatani
Fashion-Tech News
Published in
5 min readOct 2, 2015

過去10年間で、ブランドはFacebook, Twitter, Instagram, Pinterest, Tumblr, Snapchatなどのソーシャルメディアで巨大なオーディエンス基盤を構築してきた。しかし、ブランドはソーシャルメディアでのオーディエンスを集める事に巨額の費用をかける一方、これまでオーディエンスの質について疑問視する声はなかった。

ソーシャルメディアバブルとは、どういう事だろうか。

テクノロジーバブルは、テクノロジー企業の業績が伴っていないにもかかわらず、企業評価が膨れ上がっていくということだ。ソーシャルメディアバブルは、ブランドが多くの資金を費やし、多くのfollower, fans, likes, retweetsなどを得ていく一方、その質が伴っていない場合を指す。

ソーシャルメディアバブルの一因はブランド同士の競争だ。もしとあるブランドのTwitterフォロワー数が70,000、Instagramのフォロワーが50,000で、競合ブランドのフォロワー数が両方とも100,000を超えていたら、競合ブランドに対して負けていると感じるだろう。しかし、これは実際の所、真実かどうかは定かではない。フォロワーの質は?彼らはどこに所在している?リーチ数は?彼らはアクティブか?エンゲージメントは?

こういった疑問は、比較に終始しているブランドマネージャーからは、浮かんでこないのではないだろうか。

また、こういった事は、企業役員のせいでもある。彼らはソーシャルメディアを表面上しか見ず、数字で競合と比較することでしか評価をしない。もし、大きなブランドのCEOが、自身のブランドのページを見てfollowerやfanの数を確認し、競合ブランドのfollower/ fan数を確認するだけでソーシャルメディアキャンペーンの効果を判断するのであれば、ソーシャルメディアバブルが起きてしまっても仕方がない。

それでは、ソーシャルメディアバブルが崩壊したらどうなるのだろうか。

ソーシャルメディアバブルが崩壊すると、ブランドのソーシャルメディアアカウントは、実際にはそこに存在しない、数百万もの使用されていないアカウントのフォロワーに対して発信を続けるゴーストタウンのようになってしまう。ブランドは、フォロワー数という短絡的な基準に執着する事で、ソーシャルメディアへの投資に対するリターンを失う結果となる。せっかく多くのフォロワーを得たアカウントも、価値のないものになってしまうだろう。

そこで、ブランドはどうどうすればいいのだろうか。

もし、ブランドがバブルの崩壊を避けたいのであれば、空虚な数値的基準での評価をやめ、a. フォロワーの質 b.ソーシャルメディアキャンペーンと自身のビジネスとの関係の2点を重視するべきだ。

フォロワーの質という点においては、フォロワーの数ではなく質を重視する事だ。新規フォロワー獲得に投資し、多くのフォロー・アンフォローを繰り返すのでは、良質なフォロワーを獲得する事はできない。良質なコンテンツの投稿により、良質なフォロワーを得て、維持する事が肝要だ。例えば、リッツ・カールトンはFacebookファン数があまりにも急速に増えているため、キャンペーンを控える事にした。リッツのファン数は500万人程で、ファン数が3〜4倍の他社と比較すれば少ない方であったが、同社はファン数を稼ぐよりも、宿泊客がどういった内容を好むのかを分析し、キャンペーンのビジネスへの実質的な影響力を高める事を重視した。

ビジネスとの関係という点においては、キャンペーンについて、一歩引いて考える事だ。フォロワー数、ファン数やエンゲージメントについては一度忘れてみよう。例えばあなたのブランドがナイキやアンダーアーマーのようなスポーツブランドであれば、あなたの最終目標は商品を買ってもらう事だ。そのような場合において、フォロワーのうち何人が実際の顧客なのか知ることが重要ではないだろうか?先月購入した人は?過去半年のうちはどうだろうか?あなたのキャンペーンの焦点はより多くの商品を売ることで、より多くのフォロワーを得ることではないはずだ。

ブランドは、将来的な顧客と繋がる事ができるようなキャンペーンを行うべきだ。例えばスポーツブランドであれば、近隣のファンやフォロワーに顧客やリピーターになってもらえるようなイベントを地元で行う、などが挙げられる。

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