中間業者の再来

民主的で、透明性が高く、オープンなインターネットは、複雑な産業構造を解体し、コストのかかる中間業者を省き、モノの低価格化に大いに役立った。

PricelineやExpediaは旅行会社に大きなダメージを与え、ProsperやAvantは貸金業者を潰し、人々は中古車を買うのにセールスマンを通してでなく、eBayやAutotrader、Craiglistを使って購入するようになった。

中間業者は消えたかと思われたが、今、中間業者が復活しつつあるという。

しかも、手数料を搾取する悪者としてでなく、我々にとって有益な、”パーソナル・コンシェルジュ”としてだ。

今や、Trunk ClubやStitch Fixなどを通して、富裕層だけでなく一般の消費者がパーソナル・スタイリストを持つのも普通になってきている。(Trunk Clubは1年以上前に$450 millionの投資を獲得、Stitsch Fixには$300 millionの企業価値評価が為された)

ファッションにとどまらず、こういったコンシェルジュのビジネスは拡大中だ。

一体どうしてこのような現象が起きているのだろうか。

Amazonは誰もが認めるインターネット上の最もパワフルな小売業者であるが、一つ欠点がある。サービスにおいてだ。

Amazonのマージン率は1.3%、これでは人間によるコンシェルジュサービスを始める余地はない。つまり人間らしく、人間同士の関係性に基づいた、パーソナライゼーションされたプラットフォームであれば、Amazonと強力な差別化を図ることができる。

さらに、Amazonは特定の商品や特定のカテゴリーでの検索を基にしているが、人々がモバイル端末の利用に移行するにつれて、個々の商品を検索する事が難しくなりつつある。コンシェルジュはその面倒を省き、新たな購入行動を促す事ができる。

情報が溢れる時代の今、私たちの集中力は分散し、決断力が低下しているといわれている。この問題を解決するために、はじめはキュレーションが用いられた。

しかし、キュレーションですら、ミレニアル世代の消費者には物足りないようだ。彼らは更なるアシスタンスとパーソナライゼーションを必要としている。

ECの進化

コンシェルジュは顧客獲得のツールとしても有効だ。インセンティブを受け取る形で仕事をしているコンシェルジュ達は、実質的な顧客獲得エージェントとなる。Trunk ClubやLGSはこれを利用して大成功を収めた。

これは、ピラミッド型の経費や制約のないマルチレベルマーケティング(MLM)とも言えるだろう。MLMは有益なモデルだが、社会的繋がりを利用するため、時として問題にも繋がる。コンシェルジュはエキスパートとアマチュアとしての関係のため、こういった事が起きにくい。

また、これまで”コミュニティ”には大きな購買力があると考えられていた。

例えば 、多くの投資家はGoProをただのカメラ会社だと思い、カメラは一般的にすぐにコモディティー化してしまうため投資を行わなかったが、GoProをより良く理解する人々はGoProをスポーツ好きな人々によるコミュニティーとして捉えていた。これにより、GoProは他社と大きく差別化される。

しかし、コミュニティによる購買力にも疑問が向けられつつある。Pinterestは昨年Buyable Pinを導入したが、その結果は芳しくないという。FacebookやTwitterの広告の成果も、先クリスマスシーズンの結果は思わしくなかった。コミュニティを基にしたショッピングポータルサイトPolyvoreも期待されていたよりも低い、$200 millionでYahooに買収された。

そして前述のGoProも1年のうちに75%の企業価値を失った。コミュニティの購買力は期待していたよりも高くなかったようだ。

広範囲のコミュニティをターゲットにしたオンライン業者が苦戦する中で、より特定のコミュニティに向けたECサイト(例えばSoylent)の方が好成績である事は否めない。そういった状況の中、広範囲のコミュニティに向けたオンライン業者が今後、コンシェルジュサービスによる改善を図る事も考えられるだろう。

コンシェルジュサービスの何よりもの利点は、ユーザー体験の価値を向上する事だ。一方、大きな欠点となるのがコストの増加だ。

例えばRise, Talkspace, Big Healthといった健康アプリを例としよう。完全にコンピューター・ソフトウェアを基にしたアプリであれば全マージン率が80〜

90%であるのに対して、実際の人間が関わる事とすれば…

・ 一定の顧客を管理する、専門家を雇用しなければならない。マージン率は変わらないが人件費がかかり、利率は大きく減少する事となる。

・ マーケットプレイスのように専門家を1対1で繋げ、彼らに対して利益の一部(例えば70%)を支払うという方法もとれる。人件費が増加する事がないが、ソフトウェアビジネスからマーケットプレイスビジネスへと、ビジネスの根本が変わってしまう。

この選択肢を見れば、人工知能モデルというのがいくつかのビジネスにとって素晴らしいモデルだという事がよく分かる。人工知能により、人件費を削減しながらも、パーソナライズ化されたサービスを提供し、高いマージン率を維持する事ができる。

しかし人工知能が人間によるサービスのように効果的かどうかはわからない。

今、成功するビジネスモデルは、安価に人々を雇用し、ソフトウェアや卓越したワークフローにより、良いユーザー体験を提供できる企業だ。

また、このやり方ならばコンシェルジュは深い知識を必要とせず、そのためコンシェルジュになる得る人も多いため十分に拡大可能で、それぞれのコンシェルジュの知識レベルや、サービスの整合性も保つ事ができる。

高いサービスにより市場参入を目指すスタートアップはどのように高品質な体験を提供できるかに着目し、長期的な拡大可能性に目を向け、安価な人材を雇用する事により良い成績を残す事ができるだろう。


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