小売業にオムニチャネル戦略の時代が到来

現在多くの企業がオムニチャネル戦略の採用、オンラインとオフラインの融合を図っている。
オフラインがメインであった企業はオンラインを、オフラインがメインであった企業はオンラインを活用する事例が増えて来ており、アップルペイの登場など、2014年のホリデーシーズンから、小売業は新たな局面を迎えると筆者は述べている。以下本文要約。
<オンラインの重要性>
多くの小売業において従来のオフラインでの戦略にオンラインが密接に関わるようになってきており、オムニチャネルは流行語ではなくなるだろう。
技術の進歩でオンラインとオフラインの顧客体験がつながることが現実味を帯びてきている。これは、販売員がPadを抱えながら接客するようになる、ということより遥かに大きな意義がある。オンラインでの戦略は重要になってきていると言える。買い物体験全体の3/4以上にオンラインが関わる。
ある調査によると、買い物客の54%がオンラインと店舗で買い物をし、22%がオンラインのみで買い物をし、24%は店舗のみで買い物をするという。
Forresterはオンラインでのホリデーシーズンの売り上げは890億ドルを超えると予想する。これは、去年比で10億ドル多く、ホリデーシーズンの売り上げの14%にのぼる。
<オムニチャネルのキーポイント>
オムニチャネルとはチャネル横断的に顧客の製品需要を満たすことであり、多くの小売企業はこの考えに従い、顧客の需要を満たすことに重きを置き、オンラインで買えるようにしたり、店舗で商品を受け取れたり、店舗をオンラインで購買された商品の在庫倉庫としたりしている。
今年のホリデーシーズンは従来のオムニチャネル戦略の域を越え、店舗体験を拡張することがキーとなる。
企業が過剰なプロモーションを行うなか、目立つであろうオムニチャネル戦略は、特定の顧客にターゲットを絞り買い物行動における障壁を取り除こうとするなどの目的を持って行われるものである。例えばNordstromやRebecca Minkoffのマンハッタンの旗艦店では、顧客は試着室から出る事なく店員を呼び、サイズを交換する事が出来る。
TwitterはTwitter Offers (参考:http://japan.cnet.com/news/service/35057023/) を開始した。企業はTwitter上で行う割引プロモーションをユーザーがTwitterに登録しているクレジットカード情報とリンクさせることができ、クーポンがTwitter上で発行され店舗でクーポンの利用及びクレジットカードによる買い物が行われると、その情報がTwitterにも届くようになっている。これによって、Twitterでのプロモーション活動の費用対効果を測ることができ、オンラインとオフラインの垣根は低くなる。
<店舗経験向上の例>
Minkoffのマンハッタン旗艦店の先進的なフィッティングシステムはキネクトセンサーシステムを採用しており、顧客がフィッティングルームに何を持ち込んだかだけではなく、違う色やサイズを店員に頼んだり、アイテムに関する情報を自分に送る事で後日購買することを可能にしたりする。
これら全ての動作・行動がミラーを通して行われる。Minkoffの店舗は最先端の顧客体験を提供しているとマーケティングストラテジストは言う。同様の技術を採用した店舗がサンフランシスコとロサンゼルスにもオープンする。
サンノゼとシアトルのNordstrom doorsは、Connected Fitting Roomを提供する。これは、アイテムを手動で読み取るレーザーバーコードを備えている。持ち込み点数が上限に達している時に販売員の助けを得たり、フィッティングルームでそのまま会計したりするのに役立つという。
ターゲットのアプリは、店内のマップを表示することができ、どこに何があるを表示し、顧客は全米の店舗から出来るだけ早く欲しい商品を手に入れることができる。オムニチャネルの先駆者的存在のMacy’sは、全店舗でオンラインで購入し、店舗で品物を受け取る事が出来るようにしており、AppleもモバイルPOSシステムも導入している。
<売上、支払いがどこでどう行われるか>
eMarketerのアナリストは、今シーズンは顧客が「支払い方法がいくつかある」ということを認知することになると述べている。
クレジットカードからモバイルwalletの利用へと消費者を転換させるのは一夜で起きるようなものではない。企業にとっても、店のクレジットカードやロイヤルティプログラムなど、困難が立ちはだかる。
彼は今年はアップルペイの試験期間だと言う。そして、「人々がモバイルペイメントと接触する最初の年である」とも。
もしGoogleやAT&Tなど他の企業がモバイルペイメントに取り組んでいたら失敗していたかもしれず、ブランド認知の高さがモバイルペイメントの使用を促進することができるAppleのみがモバイルペイメントを利用させることができると彼は述べる。
「どれが店舗の売上でどれがモバイルの売上が区別できなくなる。境界があいまいである。私たちは顧客がオンラインショッピングで特定の商品を閲覧していて、同一の顧客が店舗でMacy’s カードを使って買い物することと知っている。」とMacy’sの役員は語る。
Shopkickとの提携そしてShopBeaconテクノロジーを駆使することで、ShopkickアプリのユーザーがMacy’sで買い物をしようとすると、よりパーソナライズされた価格と値引きを得ることができる。このプロモーションは顧客が店舗で買い物をする時のみにアプリ上で有効となる。このような店舗のみでプロモーションの特典を受けられる仕組みは他の企業も採用している。
<ブラックフライデーのグローバル化>
ブラックフライデーなどのセールイベントがこれまでよりグローバルに知られるようになり、ホリデーシーズンのオムニチャネルでの販促活動は中国へも広まっている。
アリババはホリデーシーズンのSingle’s dayという中国でのイベントをグローバルに広めたいと考えている。中国ではe-commerceにおいて、そのイベント一日で90億ドルを売り上げている。
ブラックフライデーでもアリババは過去にサックスフィフスアベニューやギルト、アメリカンアパレルなどと組み、大規模な販促を行っている。
ブラックフライデーのセールは今は世界各地から注目されており、クリスマスを祝う事のない中東の人々もセール目的でアメリカのサイトを訪れている。
ホリデーセールがどんどん早く行われるようになるにつれ、ブラックフライデーのイベント的な意義は薄れていくと予想される。アマゾンとウォルマートはホリデーセールを11月1日に開始した。イベント的な薄れるほど、そのイベントに関係ない人にとっては、より親しみ易いセールとなるのかもしれない。