従来とは違うやり方でプロジェクト進めるべき時とは

Ayako Shimatani
Fashion-Tech News
Published in
9 min readFeb 25, 2016

Paul BerryはThe Huffington Postのオーディエンスを月110 millionにまで引き上げる事に成功した、同社の元CTOだ。彼は現在CMSスタートアップのRebelMouseを創業し、CEOを務めている。

Berryは「事業が大きくなるにつれて、一定の規則やプロセスを踏んで仕事をしなければいけないようになる」と話す。
しかし、時としてルールを破るべき時もある。
彼が、ルールを破るべき4つのタイミングについて解説してくれた。

火のおこし方

ルールを破るための第一歩はまず、”重要”なプロジェクトと、”必要不可欠”なプロジェクトを見極める事だという。

プロジェクトのうち70%においては、従来的なプロセスを踏んで行うべきだろう。
しかし、残りの10〜30%の、競合と圧倒的に差をつけるような革新的なプロジェクトにおいては、プロセスを解体する事が必要だ。なぜなら、従来のプロセスを踏んでいたようでは、時間がかかりすぎてしまいそのプロジェクトのアドバンテージを失ってしまう事になるからだ。

例えば、業界のリーダー的企業が、市場を変えてしまうような製品をリリースしようとしている。そこであなたのチームは、このリリースに便乗して、新機能を追加しようとする。

こういったシチュエーションでは、素早い行動ができるようにブレイクアウトグループを作る事だ。この小さなグループが、大急ぎで仕事をする。

ブレイクアウトグループは一般的に5名で構成される。火おこし人、残り火管理人、エンジニア、プロダクトマネジャーまたはビジネスリーダー、そして、焚き火管理人だ。

火おこし人は、プロジェクトの裏方で、先鋒となるエンジニアだ。例えば、一人で新機能のコーディングを行う。製品についてよく考え、0からモノを作り出す人だ。この人は一人で素早く仕事をする。

会社の拡大に連れて、数多くの火おこし人を側に置くと良いだろう。

残り火管理人は、製品の維持、スケール化、反復といった事を得意とするプロジェクト・リーダーだ。火おこし人と協働し、なぜ、どのようにその仕事が行われるか確認し、プロジェクトが一旦終了した後は、残り火管理人が火おこし人からプロジェクトを引き継ぎ、より大きな視点から管理する。

エンジニア、製品マネージャーやビジネスリーダーは、部門横断コミュニケーションのためにプロジェクトメンバーとなる。フィードバックを早め、製品開発のプロセスを早めるためだ。

そして、創業者及び、シニアリーダーの役割は焚き火管理人となる事だ。どのプロジェクトが必要不可欠か見極め、ブレイクアウトグループを作り、素早いフィードバックを返し、火おこし人の障害物を取り除いてあげる。

次に紹介する4つのシナリオが、そのブレイクアウトグループに積極的に活動してもらいたい場面だ。

シナリオ1:業界の波に乗る時

大至急に対応するべきなのが、影響力のある新製品と連携できる製品が作れる時だ。

Facebookが2008年にConnectを発表した時は、最初は多くのメディアがその機能に懐疑的だった。しかし、Huffington PostはBerryの元で即座にその機能を取り入れた。

Berryはブレイクアウトグループを集め、FacebookのConnect機能ローンチと同時にその機能を取り入れられるようにした。現在RebelMouseシニア開発者であるValery Jadlovskyが当時その任務を任され、火おこし人となった。彼は5日間かけて1人で仕事を完成させた。もし彼に1人でやらせなかったら、その倍は時間がかかっていただろうとBerryは振り返る。

こういったプロジェクトで、開発者にとって素早いフィードバックは必要不可欠だ。開発者は非常にタイトな〆切に向けて仕事をしている。だからこそ、皆が同様のスピードで働かなければいけない。フィードバックまでに数時間もかかるなんていうのは論外なのだ。Berryはこういったプロジェクトには、数分でフィードバックを行うという。

プロジェクトが完成し、テストの準備ができたら、品質保証や顧客フィードバックチェックをする事なく、すぐに機能をブレイクアウトグループ自身でテストする。2:00amにリリースして4:00amには元に戻すというのもありだ。こういった大きな影響力のある事に対して、この程度のリスクを負うのは痛くない。

プロジェクトが完成したら火おこし人には十分に休養してもらわなければならない。毎日こんなに大きなプレッシャーを抱えていたら、たまらないだろう。

その後、活躍するのは残り火管理人だ。

残り火管理人がリーダーとしてリファクタリング、編集、アップデートなどの作業を行い、プロジェクトの管理を行う。例えば、The Huffington Postが最初のiPadアプリを作った際、火おこし人が最初のコーディングを行ったが、残り火管理人が現在もアプリの維持やアップデートを行っている。

良き残り火管理人となる人と火おこし人をペアにしてあげる事が大切だ。

シナリオ2:製品ロードマップの速度を上げたい時

CEOレベルの人間にとって一番重要な事は、企業にとって何が重要かを見極める事だ。Huffingtonの委員長Ken Lererも、Twitterが流行る前に、Twitterがこれから来る、Twitterには力を入れた方がいいといった。

CEOが、製品についてよく分からないのであれば、製品チームのヘッドを右腕にし、この仕事を委任する事だ。

Eric HippeauがHuffington PostでCEOを勤めていた時、Berryはこの任務を負っていた。会社にとって何が重要かを見極めるには、チームメンバーやシニアリーダーが強く推奨するものや(LererのTwitterのように)、顧客の意識的、無意識的な期待を上回る製品を探る事だ。

そのためには、チーム全体が企業の優先順位をよく理解してなければいけない。なぜなら、”魅力的な妨害”により脱線する事があるからだ。なんとなくかっこよくて素敵な感じがするものでも、根幹のビジネスに関わるものでなければ意味がない。

必要不可欠なプロジェクトを見極めるために、次の3つの質問に答えると良い。

・このプロジェクトはビジネスにどれほど影響を及ぼすか?
・このプロジェクトはオーディエンス数や収益を変えるか?
・このプロジェクトの実行はどれほど大変なものか?

広告ブロック機能やFacebook Instant Articlesのようなソーシャル・パブリッシングが生まれる中、様々なコンテンツを複数のサイトでシームレスにシェアできる新機能を足したRebel Mouse 2.0をリリースする際にもこの、ブレイクアウトグループが活躍した。
複数のブレイクアウトグループがプロジェクトを部分的に担当し、素早く仕事を完成させた。その際も、製品マネージャーやBerryが即座にフィードバックした。

シナリオ3: 社内分裂を回避する

新しいプロジェクトは、共同創業者やシニアリーダーとの会話の中から生まれる事が多い。そしてそのプロジェクトが素早く行われる必要がある際は、従来のやり方から離れる事だ。

Berry自身も、元Huffington Post CEOのJonah Perettiとは毎晩チャットしていたという。その会話の中から、エディター向けの検索ツールのアイディアが生まれた。または、会話の中で会社にとって重要だがこれまで重視されてこなかったプロジェクトについて取り上げたりした。

火おこし人がどうしても3日間の集中期間が必要な時や、完成の1分1秒が結果を大きく左右するような時もある。例えば、翌日にパートナーとのミーティングが控えており、開発者がそれまでに仕事を終えられるという場合だ。こういった際も、積極的に従来的なプロセスを破るべきだ。

このような決定をする時、シニアリーダー達にプロセスの解体が必要な根拠を示すべきだ。そうする事で、マネジメント側もそのプロジェクトについて理解し、シニアリーダー間での話し合いの大切さが強調される。何が、なぜ起こっているか組織の皆が理解する事で、リーダー達の照準を同じにするのだ。組織内でのサポートがあれば、よりスムーズに事が運ぶ。

会社の規模に関わらず、皆が会社を形成していっている雰囲気や、どのように会社が形成されているかを理解できる環境を作る事が理想的だ。こうした事が、チームのコミットメントを高め、企業の目標達成に近づく助けになる。

シナリオ4:未来の火おこし人を発掘

リーダーは、クリエイティブチームのメンバーが自由に個人のパッションに従い行動する事を奨励するべきだ。これが、次の火おこし人を見つける手助けになる。

もし物凄く才能のある人物がチームにいれば、その人に期待して、時間を与える事だ。こういった個人を探し、その人が素晴らしいアイディアを思いつき、ブレイクアウトグループを率いる事に期待したい。

しかし、問題となるのは、許可や相談もなく、開発者が物凄く頑張って作った新たなプロジェクトが既にロードマップに描かれていた場合だ。
RebelMouseではこういった事は頻繁に起こるという。

例えば、ある開発者が週末をかけてとあるトピックに関連するtweetをページに表示する機能を作った。しかし、Twitter関連を正式に担当しているチームの人たちはこれを喜ばなかった。既に他の事で手一杯なのに、さらに新しいプロトタイプが持ち込まれてしまったからだ。

すべてのプロジェクトがブレイクアウトグループに繋がる訳ではないが、こういった努力を認める事が組織内で新しいアイディアが次々と生まれるためには重要だ。その人が重要だと思った事に関して情熱を持って頑張ったのであれば、できる限り認めてあげるべきだ。そして、CEOとしてその機能の素晴らしさや、そこから何が学べるかといった事を一つ一つ取り上げるべきだ。

Content curation: Yujiro Numata
Translation: Ayako Shimatani

--

--