急成長スタートアップにとって必要な事

Ayako Shimatani
Fashion-Tech News
Published in
6 min readFeb 9, 2016

Paul Arnoldは、クラウドサービスマーケットプレイスのApp Directを20名から120名が勤める企業に成長させたエンジェル投資家・アドバイザーだ。彼はそのほか様々な急成長スタートアップのアドバイザーを行っている。

組織図の作成

Arnoldによると、組織の急成長に対応するには明確な組織構造を作る事がスタートアップの初期段階から重要だという。

彼は、企業が20名程になった段階から、組織図を描き始める事を勧めている。

そしてその際考慮するべきなのが、

1) 自身の企業がどういったものなのか決定する事。成功するためには何が必要か、プロダクトデザイン?営業?国際化?

多くの企業はいくつかの領域で素晴らしい結果を残さないと、成功できない。例えばソフトウェアのスタートアップであれば世界レベルの営業力と顧客の期待に添える目的に沿ったカスタマイズができる製品が必要だ。その中でも、より重要な要素というものがある。全ての領域で素晴らしくあるのは難しいため、どこに強くなるのか決めなければならない。

2) グループを作る。上記の点を年頭に置いて、細かなチームに分けていく。企業の性質によって、一部の役割の権限が変わる事になるだろう。例えば、プロダクトファーストの企業であれば、Product Managerが様々なチームのまとめ役になる。マーケティングが重要なビジネスであればマーケターが重要な決定を行うポジションに居るべきだ。

現在の従業員だけでなく、将来的な従業員についても彼らはどこのポジションにつくのか考慮するべきだろう。

実際の組織図を何個か実際に描いてみて、現在の従業員を当てはめ、将来的に雇用する部分は空白にするといい。

組織図を描くと、それぞれの役割がより専門的なものになっていく。例えばAppDirectでは、2つのグループを作った。関係性を構築するのが上手な人と、製品向上が上手な人のグループだ。そして、営業チームが拡大した際も同様にセールスエンジニアとその他のエンジニアを分け、他のエンジニアは製品向上に集中できるようにしたのだ。

3) 企業の重要人物と相談する。共同創業者や役員、外部のアドバイザー、人事部長などと相談し、組織図をより詳細にしていく。

4) 計画を明確に発表する。このステップが最も繊細だ。組織的な変更は従業員たちに受け入れられなければいけない。社長以外の人物の下に初めてつくという人々は、降格されたように感じる人も居るかもしれないため、無用な摩擦を避けるためにも全体に発表する前に1対1で話し合う事が必要だ。

製品部門ごとの組織図 例)

役割ごとの組織図 例)

手順書の導入

次に、急成長企業にとって必要なのは、手順の導入だ。新入りが多く入り、様々な役割や部署が増え、責任者の変更…があればそのうち誰がどこで何を担当しているのかすら分からなくなってくる。

例えば初期のAppDirectでは、大きな新規顧客に製品を渡すまでに数週間から数ヶ月かかる事もあった。様々な部門の人々に製品が渡されたが、彼らがそれにどのように関わればいいのか分からなかったのだ。様々な進行の阻害、意見の決裂、時間の浪費、そして不明瞭な基準により多くの弊害があった。

そこで、AppDirectではこうする事にした。

1) 責任を一部の人(なるべく少ない人数)に限定する

2) どういった事が習慣的に頻繁に行われているか明らかにし、標準化した。これにより一人では大変な大きなタスクを細かく分けたステップに分け、それを割り振りする事ができるようになった。

3) Account managersとtechnical project managerをはじめから終わりまでの最高責任者にした。彼らがプロジェクトに関わる全ての監督責任を負うため伝達ミスや不足がなくなった。責任者はなるべく少ない方が良い。

4) 仕事を完成させるために必要な手順を全てを記録。後に振り返り、不要な手順を無くす事ができた。

一番良いのは作業に問題が発生する前に手順書を作成する事だ。作成時には手順を書き出すだけでなく、誰が、何を、いつ、といった点も書きだすと良い。

目標数値を有効活用する

さらに、目標数値を有効活用する事も重要だ。

特に企業が大きくなればなる程、数値により従業員が何をしているのか、そして、どういった意思決定が必要かを理解する事が必要になってくる。そのためにはまず、1)どの数値が自身のビジネスにとって重要かを決定、
2)その数値を効率的に収集・トラックするシステム導入
しなければいけない。

目標数値を決定する際に重要なのが

・収集が容易である事
・企業の目標や価値観に関わる数値である事
・アクションにつながる数値にする事

目標数値は上流から決定するのがいい。
まずは、企業の大きな目標(顧客エンゲージメント・収益向上)から始め、それぞれの部署やチームがそれにつながる目標を持つ事が重要だ。その後にそれぞれのチームに所属する個人について考え、それぞれの個人目標を作る。

これにより全員のモチベーションを保ち、同じ方向を向く事ができるだろう。

数値目標 例)

そして以上、挙げた様々な事に共通して言えるのが、常に新たな試みを行う事だ。新たな役割、プロセス、ダッシュボートやコミュニケーションチャネルを作り、良くないものはやめればいい。
常により良く、早く、シンプルに物事が進められるか模索するべきだ。

成長には常に変化し続ける事が必要であり、従業員皆を味方に回す事ができれば、成功できる。

Paul Arnold, an angel investor and advisor talks about three methods necessary for hyper-growing startups to have a successful organization.

記事セレクト: Yujiro Numata
翻訳: Ayako Shimatani

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