消費者にとって明るいとは言えない、小売の未来

Taiyo Uchino
Fashion-Tech News
Published in
8 min readOct 29, 2015

オンライン・オフラインに関わらず、ショッピングは近代社会においての大きな快楽享受の方法と言える。

しかしながら、消費者が”ケーキを食べたら、そのケーキを所有し続けることはできない”ように、今日私たちが知る小売業の世界はもうそれらを供給できなくなるかもしれないのだ。

永遠に変わってしまうであろう小売

テクノロジー技術は生活必需品や消耗品を販売する従来の小売業者を消滅させるだろう。

価格競争やテクノロジーへの切り替えにより、対応できない企業は取り残される。オンライン販売の拡大により、今日商売を行っている多くのベンダーが商売を諦めることになるだろう。

店頭販売を行う小売業者はいくら適応しようと出資しても、物質的なインフラによる重荷は重大だ。

そして、後に残るのは一番大きく、一番売り上げの良い企業だけになる。オンラインではAmazon、インストア・オンライン提携モデルではWalmart、そしてその他のニッチなオンライン競合企業が残るだろう。

転換期

この新環境では、OEMが消費者に提供できていた”触って試す”機会を失うことになる。

この格差に直接働きかけるには現在アジアのデパートに既に見られるように、大型店舗内にそれぞれのブランドの店舗スペースを設けて横並びに並び販売を行うスタイルを行うようになるだろう。

そこでは消費者が中に歩いて入っていくことができ、OEMに雇用された知識豊富なスタッフから様々な商品の接客を受けることができる。商品は希望小売価格(MSRP)で設定され、小売パートナーは既存のチャネルで共食いをしないように値段を自由に操作できるようになる。

OEMはどこで売られるかを考える必要もなく流すことができ、小売業者にとっては彼らの店舗で売られる商品の”触って試す”サポートを享受することができる。

このモデルの発達により、OEMはドロップシッピングや即日配送のために現地の物流インフラを築き、来る劇的な転換に備えるだろう。

OEMの崩壊

OEMが直通販売の経験を積むにつれ、彼らの考えはさらに小売に集中したものとなる。OEMのメーカー希望小売価格(MAP)への戦略的な動きは競争力のある市場モデルを破壊せざるを得ない。MAP価格はメーカーが設定した価格通りに全ての場所で販売する必要があり、結果的に全体的に価格が釣り上がることになるのだ。

OEMは直通販売により小売業者から得る売り上げより多くの利益を稼ぐことができる。この新しい利益分は商品PRや市場を独占するための資金として使われる。

Apple, Samsung, ビデオゲーム機, Beats やスマートフォンはOEMが価格を厳しく操作している主な市場の例と言える。

そのようなOEMの直通販売によりある程度の売り上げ減少があるとは言っても、依然として全体を見れば小売業者は、より多くの利益を得ながら、幅広いセレクション・サービス・ブランド認知により顧客獲得することができだろう。

新しい小売

OEMに価格を設定されることにより、消費者は提示された価格を払う他なくなる。

安価なブランドや価格設定のされていない商品は、日の目を浴びることも少なく、低いマージン率からも、小売業者に市場操作をされてしまう。

市場に参入したい小売業者はOEMに認められるため、ある程度の規模を持ち合わせる必要がある。しかし、参入はOEMと既存小売業者の操作により難しくなるだろう。これにより、新たな競争が制限されてしまう。

新規生産者はそのマーケティング力の欠如から需要を獲得することに困難を見出すことになる。そこにかち割る為には、市場を牽引し、ソーシャルでの規模の大きなマーケティング戦略により地位を確立し、メインストリームとして認められなければならない。

テクノロジーは私達が知る現在へと急速な経済変化をもたらすことに成功した。Web 1.0では、競争の激化により価格が下がり商品へのアクセスが上がり、消費者に利益をもたらすと思われたが、最終的には、切り抜けることの難しい高価格システムに進んでいくであろう。

最後には、消費者にとって良い未来は待っていないのだ。

小売業者はどうやって未来を変えられるのか

まず初めに、小売業者は人々を引きつける展望を持ち、コンセプトを拡散し、戦略を練る専門家を見つけることが必要だ。外部から専門家を見極め、雇用することは時間の節約とコスト面でのリスク回避につながる。さらに言うと、学びを共有し、コストを抑え、より早く答えを導く為の団体を結成することも考えたほうがいいかもしれない。

オンライン上での即日発送モデルの発展により、小売業者はさらに消費者に身近な場所に進出する事にになり、サービスや利便性の水準は上がる。スピードの優位性は突如として、オンラインへと移行してしまう。小売業者は同じようなサービスを導入することで早急にこの動きに対処する必要がある。

オンライン上で全商品を即日配送を行うことのできる業者は今の所いない。だから、今こそ小売業者にとってのチャンスが来ていると言えるのだ。小売業者は消費者の意識の中にできるだけ早くそのポジションを確立させ優位な立場に立たなければならない。

テクノロジーが継続的に地元ビジネスへの介入を手探りする中で、地元店舗は注文の利便性とUIの改良に焦点を絞った投資することで立ち向かう必要がある。これこそが、店舗へのロイヤリティーを保ちリピーターを増やす消費者体験の重要な一要素なのだ。

さらに、小売業者は地域インフラや注力分野での提携関係において優位点を探し出す必要がある。だからこそ、この質問を考える必要がある。
「地元における存在感とディストリビューションを持つ小売業者は、どのような新しい方法での取り組みをすればいいのか?」

このことで、小売業者は新規の競争を避け、または新規事業者と協力関係を結ぶことによりリスクヘッジをすることができる。その上、購買力の高い小売業者は自身の商品を市場へと送り出すことができる。こういった取引は、利潤率は低いあもしれないが、それでも小売の発展を生む方法であり防御策になり得る。

さらに、情報採掘能力の欠如には適切に対処しなければならない。多くの小売業者が消費者についての情報を持たず、受け継がれたシステムにより遅れている。例えば、小売業者は販売する際に彼らがどのような消費者かという情報がないまま、地元に広告を出し続けていたりする。

この大きな溝が埋まらない限り、長期での成功を獲得するのは難しいと言わざるを得ない。なぜならば、特定の消費者に対するデータを有効活用できる企業こそが常に改善し、競争に勝利することができるからだ。もし、小売業者がこの格差を埋めることができれば、小売業者はよりシステマティックで、価格効率がよくターゲットが絞られた方法で顧客へと直接つながることができる最高の機会を手にするだろう。

その上、意に反することかもしれないが、小売業者は喜んでOEMのMAP価格を受け入れるべきだ。そして、皆んなが公平に利益をあげることができるようなMAP価格を促進させるため、団結するべきだ。そして、組合や団体により、価格の自由化を阻む巨大な購買力を柔軟にさせるべきだ。消費者にとっては依然として十分ではないが、市場の変化を止める一つの防御策にはなるだろう。

最後に、製造業者がどうしようとも小売業者は緊急性を持って動き、学び、適応し、遂行しなければすぐに忘れられた存在となるだろう。

未来に待ちうけるもの

小売業の戦いのほとぼりが冷めることはないと言える。必要に迫られた企業は革新を生み、生き残るための方法を探し出す。生き残りは早く、”偶然にも”正しいモデルを見つけることができた企業となるだろう。

何が起きようとも、OEMはこのゲームでも一番のチップを手にしている。つまり、ゲームをプレイする方法とタイミングが、今後小売の景色に大きな分岐を生むことになるのだ。

記事セレクト: Yujiro Numata
翻訳: Taiyo Uchino

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