高まるソーシャルメディアの声、ファッションブランドへの影響

Ayako Shimatani
Fashion-Tech News
Published in
5 min readOct 8, 2015

インターネットの普及により顧客達に’声’が与えられた。

賢いリテーラーはこれを利用し、情報をビジネスに活用している。例えば日本では平日の昼間にはほとんど購入は行われないし、ドイツでは日曜日の購入が多いなどといった顧客のデータも容易に得る事ができる。

更に、ソーシャルメディアの出現により、人々は自由に好きなものや、嫌いなものを共有する事が可能になり、素早いフィードバックが行われるようになった。従来エンド顧客と遠くあったファッション企業も、彼らと簡単に繋がる事が可能となった。ソーシャルメディアにより企業は顧客の情報を得る事ができ、更に顧客の意見と共に、様々な情報をシェアする事ができる。Twitterも、顧客の意見に耳を傾けるための最も重要なプラットフォームのうちのひとつだ。

多くの顧客は、ソーシャルメディアにて与えられた声を大にしている。最近では、TopshopとVictoria’s Secretが間違った女性のボディイメージを広めているとして受けた顧客からの非難の声に応える事となった。

10年前に、マネキンが細すぎる!というクレームがあれば、店舗の販売員に直接クレームを言うこととなっただろう。店員は真摯に対応してくれるかもしれないが、顧客一人の声では影響は少ない。しかし、2015年現在のソーシャルメディアで同じクレームをつけたらどうなるだろうか。TopshopのFacebookページ上でクレームをつけたLaura Berryのメッセージは3,000ものLikeがされ、700ものコメントが付けられた。

結果、Topshopは現行サイズのマネキンを今後注文しない事を役員会議で決定し、Facebookページ上で謝罪を行った。同ブランドのFacebookページは400万以上のLikeがされており、この対応からも、ソーシャルメディアがブランドにとってどれほど重要かが伺える。

「多くのブランドは昔と比べるとてもレスポンシブだ。ソーシャルメディアはすべての人に声を与え、それによるパワーシフトがあった。そこで、ブランドは悪い噂が拡散する前に対応しなければいけなくなった。」と、DrapersのエディターGraeme Moranは話す。

高級ブランドも例外ではない。動物愛護団体PETAがクロコダイル農場での虐待の動画を公開し、Jane Birkinが自らの名前をクロコダイルバッグに使用しないでほしいとHermesに要求した事から、同ブランドは早急にBirkinのバッグに使用されている革の製造農場で調査を開始した。

これはJane Birkin自身のクレームがなくとも、起こり得たのではないだろうか?

景気後退以降、ブランドやリテーラーは顧客との関わり方に敏感になっている。どのように彼らと関わり、今後も関係性を維持していくかという所で、ソーシャルメディアは要となっている。顧客側に大きな力があると話すのは、Net-a-porter.comのvice president Sarah Watsonだ。「リコメンデーションであれ、レビューであれ、セレブやインフルエンサーによるお勧めであれ、顧客の情報量が多ければ多いほど、彼らの力が強くなっていく。」

つまり、その”力”により、顧客はリテーラーを配達日数から製品の質、サービスまでと様々な点において、自分の好みに変えていく事ができるのだ。Net-a-porterが最近リリースしたアプリThe Net Setは、様々なソーシャルチャネルの情報に一括でアクセスでき、最新のトレンドを掴むのに最適だ。

大規模なマーケットリサーチが難しい小さなビジネスにとっても、顧客との直接的な繋がりは大変貴重だ。そしてそれは顧客にとっても同じである。例えば、メンズウェアのCraig Greenは女性顧客の懇願に答え、2016 SSから女性物の発売を決定した。

昨年終わりに創業したイギリスのブランドFineryは、卓越した顧客リサーチにより、創業直後から好調だ。同ブランドのコンセプトは顧客プロフィールと深く共通するものがあり、ブランドは顧客との強い繋がりを感じているという。また顧客からの良いフィードバックのメールも頻繁に受け取るそうだ。

そのような直接的で素早いフィードバックは魅力的だが、デザイナーたちはそれに縛られてはいけない。ブランドはポジティブなフィードバックから更に発展しなければいけないのだ。人気商品を販売しているばかりでは、顧客は飽きてしまう。高級ブランドにとっても、素早いフィードバックはとても有効で、彼らが流行を左右するため、顧客のエンゲージメントも高い、とMoran。

記事セレクト: Yujiro Numata
翻訳: Ayako Shimatani

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