Bag SnobによるマルチブランドECとは?

Shingo Yokoyama
Fashion-Tech News
Published in
5 min readOct 16, 2015

Tina Craig氏 と Kelly Cook氏は彼女らのハンドバッグについてのブログである「Bag Snob」を現在までにコンサルティングやアフィリエイト、ライセンス契約を行うビジネスへと進化させたが、今後はそれをECにつなげようと試みている。

2005年9月、アメリカ合衆国テキサス州ダラスにてMovable TypeにおいてHermèsのトートバッグ好きの友達であった2人はブログを開始した。Cookによると「初めは遊びであった。」とのこと。その10年後、彼女らのブログは現在の多面性を持ったビジネスへと進化している。

Bag Snobは今月、公式オンラインショップをローンチし、デザイナーによる独占商品のコレクションも控えている。その中には、価格帯にして$200以下のものから$2000以上のものまで含まれており、Mark CrossやValextraのバッグ、またRag & BoneとPaul Andrewによるアクセサリー、Dreak Lamのブラウス、さらに彼女らがデザインしたジュエリーもラインアップされている。Craig氏によれば、読者を他の小売店に向かわせるのではなく、自分のサイト内で全てを完結させるというアイデアは当初からあったそうだ。原資の調達先である投資家もすでに見つけているそうだ。しかし、彼女らはどのようにしてここまで至ったのだろう?

2011年、我々BFが彼女ら2人にインタビューした際、Bag Snobは月250,000人のユニークユーザーを抱えており、広告やアフィリエイト、DKNYなどとのコラボレーションにより、$500,000にも及ぶ収益を上げていた。その4年後である現在、月間ユニークユーザー数は300,000人にまで達しており、7桁の年間収益を記録している。

この収益の増大はBag Snobの要石である、昨年の5月にローンチされたハンドバッグラインによるところが大きいだろう。このラインの商品は、テレビジョンネットワークであるHSN (Home Shopping Network)で主に販売されたが、初めの数シーズンはNordstromなどの伝統的小売店でも販売された。しかし、HSNとこれら小売店の二つに等しく焦点を当てることは不可能であった。

「HSNのフォーマットは、顧客に直接語りかけられるという店で非常に魅力的であり、デパートなどに入る小売店ではできないセールス手法が可能となります。」とCook氏は言う。実際に2014年5月に行われたHSN Collectionでのバッグのセールスは32,000点にも昇った。

また、アフィリエイトによる収益の影響も大きい。通常、ブロガーたちはRewardStyleなどのASPを利用するが、Bag Snobのアフィリエイトは小売店やブランドと直接契約をしている。読者には通常4桁、中には5桁の値段の商品を注文する人もいる。SnobEssentials.com内のリンクを通して$35,000の注文があったこともある。しかし、Craig氏曰く、ブログで商品を販売するという意図は無く、ただ彼女らは20年以上も収集や批評をしてきたのでエキスパートだと人々から思われ、それが信頼につながっているとのことだ。

ネットビジネスの形態が変化していくのと同時にBag Snobのビジネスモデルも形を変えてきた。今はHSNラインを取りやめ、アフィリエイトやスポンサー契約などWeb事業に注力している。「今までは読者と繋がることしか意識していない内容でしたが、最近はスポンサーによるコンテンツもあります。読者は我々自身の声を求めていますが、Bag Snobがビジネスと化した今、スポンサーの重要性も無視できません。」とCook氏は言う。また、サイト自体の形態も変化してきた。以前は別々だった様々なチャネルを一つのウェブサイトにまとめた。これは、よりよいユーザーエクスペリエンスを生む。

「EC事業を大きく打ち上げるべく、現在は資本を集めています。顧客達は、熱意を持って作られたコンテンツや製品を求めており、私たちは、プロジェクト一つ一つにじっくりと向き合っています。私たちのペースを守り、戦略通りに進めていけば、我々の躍進は約束されるでしょう。」とCook氏は未来の展望について語った。

今後は季節ごとにデザイナーによるエクスクルーシブコレクションの開催を予定している。そこでしか手に入れることのできない、長く使えるものといったコンセプトで構成を組む。また、ブログの編集スタッフも拡大する予定だ。個人レベルだった事業が、次のレベルへと移行しようとしているのだ。

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