木材自給率50% は5年先送り。国産材産業の創生に向けた視点。

林野庁が「森林・林業基本計画」の素案を発表しました。2016年2月27日の日刊木材新聞は、このことを報じています。概して説明すると「目標値に達しそうもないため目標を見直します」という内容です。

J-FIC(日本林業調査会) でもニュースとして取り上げられていました。

もう少し具体的に説明しますと、

林野庁は、2016年度に決定する新たな「森林・林業基本計画」の素案を発表しました。

2015年の木材供給量は、現行計画で、2800万㎥の目標に届かない見通しのため、2020年の目標を、現行の3900万㎥から、3200万㎥に引き下げ、2020年に設定していた、自給率50%の目標達成時期も、5年先送りする。といった内容です。

2011年7月に決定した、2020年の自給率50%は、このままでは、とても、達成できそうもないと思っていましたので、実現可能な計画?に、見直されたことは適切だと思われます。無理くり、目標達成させようとすると、戦後自給率が高かった時代と同様、持続可能でない伐採という手段を取らざるを得ないと思っていたので、ちょっと安心しました。

そもそも、長期にわたり、幼木が育つ間、本格的な木材販売ができなかった日本の林業が「木の伐採適期到来」と同時に、そう急速には生産量を増やせないのは当然のことですよね。

それに、今の日本には、全産業共通事項としてですが、人手不足、高齢化、若手の業務継承の困難があります。

これから、林業は、工業製品等の主要な輸出産業と同様に、日本にとってきわめて重要な産業になります。国を上げて、世界と競争できる産業に再構築しなければならないのは確か。

 2014年度の木材供給は、2400万㎥で、戦後に植林した木が、伐採可能にさしかかった2009年時点の、1800万㎥と比べれば、大きく増えましたが、この程度では、林業再生とは、とても言えません。目標としていた2800万立方メートルの85%%で、目標にも、今一つ、乖離があります。ですから、今回の修正は適切だし当然。

ちなみに、今回、以下のように修正しています。

2020年(5年後)の目標 :2020年(5年後)の自給率、40.5%

(1)木材供給量 3200万㎥ (現行の計画 3900万㎥)
(2)製材用 1500万㎥ (現行の計画 1900万㎥)
(3)パルプチップ 500万㎥ (現行の計画 900万㎥)
(4)合板用 500万㎥ (現行の計画 500万㎥’)
(5)燃料 600万㎥ (現行の計画 600万㎥)
(6)その他(注1) 100万㎥ (現行の計画 100万㎥)


2025年の目標(10年後) :2025年(10年後)の自給率、50.6%

(1)木材供給量 4000万㎥ 
(2)製材用 1800万㎥
(3)パルプチップ 600万㎥ 
(4)合板用 600万㎥ 
(5)燃料 800万㎥ (2014年の予測300万㎥)
(6)その他(注1) 200万㎥ 

(注1)その他:しいたけ原木、原木輸出等。

5年後の2020年の目標としては、製材用とパルプチップの目標を下方修正しました。10年後の2025年の目標では、製材用が、計画通り増やせるかが鍵でしょう。
この計画では、2020年の自給率は、40.5%、2025年は、50.6%で、目標の50%以上を、5年伸ばして達成します。

 5年後、10年後に、国産材の利用を増やす具体策は、製材は、外材から国産材への転換、非住宅や土木分野での需要開拓、合板では、外材からの転換です。特に、国産材が、外材に競り勝てるかが、鍵を握ります。

競り勝つためには、商品開発が必要で、スペック、コンセプト、コストあらゆる面から外材に勝る価値を付けていく必要があります。そうすることで新たな需要を拡大。さらに、伐採後の無駄を少なくする努力もしていかなければいけません。

また、燃料の総需要は、現行計画の3倍に増やし、国産材利用の拡大を期待しています。バイオマスに対する期待です。しかし、近年、良材までチップにして、バイオマスで燃やしている傾向が見られます。この安易な利用量拡大は是正しなければならないと思ってます。

国の富の浪費は許されません。

 今回の見直しで、大分、実現できそうな計画になりましたが、実行は、決して容易ではないと思います。何しろこれまで積み上げてきた構造を抜本的に変えなければいけないタイミングなのですから。目指すところは海外の林業最大手に競り合う日本の林業再生。

そして、忘れてはいけないのが、山側のこと。

生産地にケアのない計画はまた過去を繰り返すことになりかねません。日本の林業再生における重要な点として、

・山側における一過性でない持続可能な森林経営手段の確立

があることを忘れてはいけません。

(参照資料)日刊木材新聞、2016年2月27日

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