カスタマーサクセスの実現のためCustomer Reliability Engineering(CRE)チームを立ち上げました

小林毅志
FiNC Tech Blog
Published in
7 min readJul 10, 2020

こんにちは。つよぽそです。FiNCでは2020年からCREチームを作ったので、CREチームがやってきたことを紹介しようと思います。

何故CREチームを作ったのか

CREとは

CREはCustomer Reliability Engineering(顧客信頼性エンジニアリング)の略で、googleが提唱した専門職です。※googleの記事はこちら

FiNCが抱えていた課題

FiNCでCREを作ろうとしたきっかけとして、下記の課題感がありました。

  • Customer Support(以下CS)からのエンジニアへの問い合わせが大量にあり、エンジニアが自主的に拾っていく状況だった。
  • 新規機能の開発で手一杯な状況であり、問い合わせに対する返信も滞りがちになっていた
  • CSの使用する管理画面や業務フローも整備されておらず、作業効率が悪かった
  • エンジニアが問い合わせに対して本質的な改善に動く余裕がなかった

カスタマーサクセスの実現

実際、CS対応がほぼ個人の善意と責任感に頼る状態だったため(それでも皆んな頑張って積極的に対応してくれていた)エンジニアもCSも限界に近い状況になっていました。何よりお客様に迷惑をかける状況になりかねないって危機感がありました。そんな状況を鑑みて、健全なサービス運営をしていくためにはCREの存在は必要不可欠だと訴えていました。そこで更に後押しとなったのが弊社でカスタマーサクセスの実現が全社で取り組むべき課題として、経営レベルで重要なテーマになった事です。FiNCのvalueでもあるcustomer’s smileを実現させるためよりカスタマーサクセスと向き合っていこうという方針になったため、お客様の課題と向き合えるチームが必要だとなり2020年1月中旬にCREを組成できる事になりました。

CRE結成

最初にやったこと

CRE結成時のメンバーは僕とPMのみでした。他の開発メンバーがジョインするまでに最初にやったことは、CREが何をするチームか定義することでした。その中で決めた事は大きく2つの方針に分けました。

  • 守りの施策
  • 攻めの施策

守りの施策

まず、守りの施策ですが、お客様からの問い合わせに迅速に対応できる体制を作ることに焦点を当てました。問い合わせに迅速に対応する事でお客様の不安を取り除きアプリからの離脱を最小限にするための施策です。

  • 問い合わせの多い案件を分析しCSだけで対応が完結するような管理画面の作成
  • エンジニアの問い合わせフローの整備
  • 問い合わせ状況の可視化

この両面とも当時は全く整備されていない状況でした。管理画面がないことによってCSからのエンジニアへの質問や対応依頼が大量に来る状況だったし、そもそもチケット化もされていない状況でslackでの質問で全てのやり取りをしていたため質問が流れてしまうという状況も発生していました。なので、asanaのformを利用してチケット化することと、チケットをボードで進捗管理することで問い合わせの可視化を行いました。また、問い合わせを分類し、問い合わせに対してCSのみで完結するよう管理画面の開発を効果の高いものから開発していける体制を作りました。

攻めの施策

攻めの施策はそもそもの問い合わせ数を減らすためにアプリの改修を行うことです。そしてアプリの体験を良くしていき、お客様にFiNCのファンになってもらう事を目指しています。

  • 問い合わせの多い不具合の根本解決
  • 問い合わせの多い原因を分析し、そもそも問い合わせが来ないようにプロダクトを改善する事

CREチームの最終到達点としては迅速に問い合わせに対応出来ることではなく、そもそも問い合わせが来ないサービスであることだと定義しています。したがって、一番するべきことは問い合わせの原因を解決し問い合わせが発生する状況をなくすこと、また不具合ではなくとも問い合わせが来る原因を突き止めUXを向上させることでお客様が迷わずわかりやすい設計をしてあげる事です。その両面とも効果を最大化させるためにチケット作成段階から明確に優先順位を付けれるような体制を整えました。CREで対応しきれないことは各開発チームに修正依頼をだして対応してもらうような依頼も積極的におこないました。

CRE結成6ヶ月の成果

CRE結成から約半年、今ではPM1名、バックエンドエンジニア4名、iOSエンジニア1名とチームのメンバーも増えてきました。※androidエンジニアもジョイン予定。CREを作ってどういう効果があったのか紹介したいと思います。

定性的な効果

業務フローを整備したことで、CSのメンバーも安心して問い合わせをエンジニアに聞くことができるようになりました。問い合わせをCREで一次受けすることで、エンジニアも自分達の開発に集中できるようになりました。朝会等の定例ミーティングをCSのメンバーも招いて行うことでCSとエンジニアの壁もだいぶなくなってきています。またCSと協力しVoC(Voice of Customer)を全社にシェアすることで、CREだけでなく企画、デザイナー、開発者、QA全員がお客様を向いて開発するようになりました。

定量的な効果

実際、効果の高そうな問い合わせを無くしていく作業をしてきた成果か2019年から比べて1/2近く問い合わせ件数が減りました。当然、エンジニアにくる問い合わせ自体も減っています。※数値は見せれないがDAUは上昇しています

所感

CRE結成から約半年経ちましたが、この半年はまさに土台作りのフェーズでした。愚直に効果の高いものから問い合わせに繋がるようなバグを無くしていくことと、問い合わせが回る仕組みを作る事でした。正直、どこまで効果が出るのか不安でしたが、目に見えて問い合わせ数が減ってきたのは嬉しい驚きでした。地道にしっかりとバグを無くしていく事はそのままアプリのクオリティーに繋がるのだと強く実感した半年でした。※CREも各開発チームも対応をしてくれて本当に感謝しています。

CREで将来やりたいこと

CREは現状ようやく土台が整ってきた状態です。これからやっていきたいこととしては、よりお客様の本質的な課題を発見し、それを解決する機能開発を増やしていきたいと思っています。さらに未来はお客様の行動を分析できるようにし、各開発チームがユーザー行動を詳細にトラッキング・分析して自律的に改善できるようにする、そもそもユーザー体験の悪い状態の機能をリリースさせない体制を作りあげたいです。今は地道な作業の積み重ねなチームですが、CREは安定していけばいくほど技術的な要素が高くなってくるチームだと思っています。

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