エンジニア組織の期初目標は結局どうなった?-2019振り返り VPoE編-

Takayuki Shimizu
Jan 8 · 16 min read

新年あけましておめでとうございます、清水 (@takayuki_shmz) です。

年末にFiNCのエンジニアリングマネージャー陣で振り返りブログを書くこととなり、その先人を切らせてもらいます。このあと android / ios / backend / sreと続いていきます。

今回は自分はVPoEとしての振り返りということで主にエンジニア組織に関することを書こうと思います。

2019年は登壇も3度ほど機会をいただきましたが、登壇の内容につきましてはSpeaker Deckのリンクを貼っておくのでそちらからご覧ください。

Presentations by takayuki shimizu — Speaker Deck

2019年当初の目標から振り返る

年はじめに組織戦略と名うって決めた重点項目は以下の3つでした。

  1. 若手・リーダー育成
  2. アウトプットFirst
  3. 全員採用

そもそもなんでこの3つ?という疑問が来るので、当時の状況をもとに社内のscrapboxで5,000文字くらいその説明を当初は書きました(社内の人は”2019技術開発部 組織戦略”で検索!)が、ここではそういった説明はさらっとにしておいてそれぞれ簡単に振り返りをしていきたいと思います。

1.若手・リーダー育成

1–1.背景

エンジニア組織の数が20を超えたくらいから、一般的にもCTO/VPoEとプレイヤーという2レイヤーでは細かくチームやメンバーをみることが難しくなりますが、FiNCでも数年でエンジニアリングマネージャーやテックリードという役割をもつエンジニアを徐々に増やしてきました。 一年前の次点でもすでにエンジニア組織は30を優に超えていて、今後も事業を伸ばす上で技術組織の拡大は必須と見ていました。

もちろん組織拡大となると第一に採用という話がでてきますが、そこを頑張るのはほぼ当然の話で、あくまで”採用”×”育成”の両方が大事。育成というのは正確には人を育てる・育つことを支援するシステムのことで、ここを早めに設計しなければという危機感がありました。
なぜなら採用だけを当てにするのはこの厳しいエンジニア採用市場を見ると一定のリスクがあります。また採用できたとしても新しい人が社内でうまくワークするのには様々な理由で簡単ではないのはわかっていましたので、それらのリスクヘッジや本質的に組織を強くすることを考えると、短期の効果が出なくてもあえてフォーカスを当てて中長期で投資していかねばいけない、そう考えていたからです。

1–2.やったこと

育成、という大きなワードで話を始めだすと本当にさまざまな話がでてきてしまいますが、FiNCでさまざまある課題感の上で具体的に取り組んだことは大きく分けて3つあります。

  1. EM/TL/Tech OKRの設定
  2. 大胆なアロケーション・アサイン変更
  3. 外部講師によるエンジニアリーダー研修

1の「EM/TL/Tech OKRの設定」というのは、EM/TLなどより役割に合わせた目標設定をするように、運用方法の改良をしたということです。EM/TLのジョブディスクリプションをガイドラインに、より戦略的に各々の責任範囲において成果を出す方法を考え、それをOKRに落とすことをしてもらうようにしました。

たとえばEMなら見ているチームの「QCDSの担保・改善」がJDにありますが、それを次の半期でどういう状態にするのか、具体的に何を目標にして進めていくか考えてもらうようにしました。

OKRときくと評価関連と思う人もいるかもしれませんが、評価方法の改善の意味合いは強くありません。メインの目的は、思考訓練の機会をより多く・精度もより高くし、個の成長を支援することです。もちろんそのうえで出す結果をよいものにする意図があります。

2の「大胆なアロケーション・アサイン変更」についてはそのままで、より本人個々に魅力的かつストレッチな仕事をお願いするようにしました。具体的には今まであまりなかった事業間のメンバーの移動や、テックリード・エンジニアリングマネージャーに新しい未経験のメンバーを積極的にアサインしました。

3の「外部講師によるエンジニアリーダー研修」についてはその名のとおり研修です。FiNCのエンジニア組織としては初めて外部の講師に依頼し、開発プロセスやプロジェクトマネジメントについての学習機会を作りました。

これらの施策の根底には、基本的に経験学習を重視する考え方があります。(わりと組織というよりぼく個人の考えですが)
研修のように学ぶと実践するが別々な学習移転モデルよりも、経験→内省→抽象化→実験のサイクルを通して成長していく経験学習の機会を増やし、いかに個人の努力による成長でなく、組織から提供した機会から学び・成長してもらえるかにトライしました。ですので3の研修も少しの座学とインタラクティブな議論や実際のケースに対するメンタリングなど、かなり経験学習によったプログラムにしてもらいました。

1–3.成果と振り返り

一言でいえば、まだ道半ばという感じですが、一定の手応えはあった、ともいえると思います。

成長を促す機会は数としては確実に増えましたし、特にTL/EM感での目標設定の質は底上げできました。開発に対する知識やナレッジのレベル感も特にテックリード間で前より揃ってきており、前にはなかった課題の連携や知恵の共有が少しずつ起こりつつあるように思います。

アサインの工夫についても結果的にやってよかったと思えるものばかりで、それの半分以上は本人の努力の賜物なのですが、機会をもっとつくっていくべきなんだなという確信はより強く持てました。

ただVPoEとしての反省は多々あり、施策の実行精度は特に課題が残るものになりました。目標設定を通して鍛えたいものは戦略思考などコンセプチュアルスキルですが、そこはもっと綿密にフィードバックしたり内省を一緒にしていかなければいけなかったなと思いますし、結果を出すまでのフォローアップももっとできたと思います。
アサインやアロケーションに関しても、今思えばもっと工夫したり目的にも個人にも刺さる渡し方ができたんじゃないかと思います。このあたりは今年の課題になります。

2.アウトプットFirst

2–1.背景

FiNCのエンジニア組織では、組織の成長にも個の成長にもアウトプットが大事だと一昨年の大きな組織方針を掲げたときから社内では言ってきていますが、より方針だけでなく具体的に強化してこうと考えていました。

下の図でいうところの左上の発信というパートです。簡単にいえばエンジニアとしての発信=アウトプットしていくことは組織の成長サイクルにとっても個人の成長サイクルにとってもいいよね!それが文化になってるエンジニア組織はうちっぽいし強くもなるよね!どんどんやっていこう!ということです。

..とまぁここまでの大義は比較的受け入れてもらえやすいものだと思うのですが、見方をマネジメント側に戻すと、意外とこれが難しい。

アウトプットしていくことは業務+αになるので、アウトプットをもっとしていこう!というのは言うは易し行うは難しですが、だからといって勝手に増えていくということはなかなかないと思います。
かといってじゃあそれを安易に依頼してやってもらうとなっても、業務はもちろん大事ですので、それに加えてblogやら登壇やらなにかしらの情報共有やらを文化を言えるほど根付くまでやってもらうというのは、なかなか簡単ではないものです。

なので何かしら施策が必要でした。

2–2.やったこと

直接的・間接的な施策両方含めてやったことは以下でした。

  • Weekly LT:週次MTGでチーム交代制でだれか一人が5分LT
  • LT Night:LTつのってビール片手に社内LT大会
  • カンファレンス参加・登壇支援 制度化
  • カンファレンスのスポンサー(try!Swift 2019, RubyKaigi 2019 etc)

施策自体はシンプルで、そこまで説明がいらないものかと思います。
カンファレンス参加支援は支援する分学んだことをアウトプットして共有してね、というルールで運用してきました。
スポンサー活動は、ブランディングや採用要素もあるのでアウトプットに対しては間接的なものになりますが、内部的にも身近なコミュニティに貢献する姿勢を組織として見せるというのは個々も参加の動きを取りやすくなりますし、スポンサー枠での登壇もいくつかあったのでここにも含めました。

2–3.成果と振り返り

ここは定量的にもとれたのでまずはこちらから。

  • 登壇:33回
  • Blog:22 posts
  • LT:50回(くらい)

(LTはweekly LTとLT Nightとあとその他もろもろ機会があったので正確ではないですが大体最低でもこれくらい、としておきます)

こう見ると「思ったよりやってきたんだな」というのが率直な感想で、特に登壇とLTが前年比で考えてもかなり増えたことが成果といえるように思います。派手に新しいことをするというより、2018年末に始めた取り組みをじっくり継続させることにフォーカスを当てていました。
あともともとアウトプット志向の強いメンバーが多いというのも前提にあります。採用時にも見ています。

Blogについては専用チームが推進して頑張った昨年に比べると質・量ともに下がっています。施策自体がここにフォーカスしていなかったのもありますが、数や質については 150社のTechブログを分析して見えた、エンジニアが今転職するべき企業ランキング! なんてnoteにも31位!と書かれひっそりと落ち込みましたが笑、次に活かしていければと思います。あとこの記事、純粋にまとめている人すごいなーありがとうーと思いました。

こう一年を振り返ると、今後は社内LTと登壇を増やしていくのがいいかなと今は考えています。blogもあとから読み返せて資産にもなるのでとても重要ですが、メンバーの成長やカルチャー醸成という点では発信した本人の労力とリターンのバランスがとても重要と感じており、登壇や社内LTの2つはそのバランスがよいからです。
もちろんblogも同じでリターン設計次第であると思いますが、やはり直接誰かに伝えて、その人のためにもなって、そこで直接フィードバックももらえるというのがシンプルに嬉しいし、次のモチベーションにもなりやすいので、うちではうまくいきやすいなと感じたからです。

2–3のおまけ:社内で生まれた良い流れ2つ

おまけに(自分がなにかしたわけではないが)アウトプットに個人的によいなーと思う流れを2つ紹介します。

一つは、大きな登壇のときは、登壇内容のレビューや社内での予行練習をエンジニア同士で自主的に行っていることです。もともと細かいルールはなしで各自の判断で業務時間を外部の登壇発表や資料作成に当てていい雰囲気が社内にあり自分も奨励していますが、アウトプットのクオリティを上げるために社内のメンバー同士がフィードバックしあっています。

あとよくシニアエンジニアリングマネージャーの kenjiszk san と登壇者がそもそものアウトラインからどうするみたいな相談もされていて、このあたりもすごくよいなと個人的に思います。

2つ目は、アウトプットした人や内容を週1のエンジニア全体のweekly mtgで共有しみなですごいー!おつかれー!と👏👏👏することです。

え?それだけ?っておもうかもしれませんが、2018年の後半から初めてことしはほぼ毎週なにかしらいいニュースが共有されました。アウトプットFirstという重点項目も最後はアウトプットが当たり前になって文化に溶け込むことがゴールですから、それを称賛する雰囲気が自然に感じられてきたことは良いことだと思います。

3.全員採用

3–1.背景

2018年から引き続き、2019年も明確に課題だったのは採用でした。

ですが2019年当初、もろもろの事情でFiNCのエンジニア採用にはほとんどHRの人員を配置できていませんでした。採用に苦戦している現状を打破するには、現場主体で動いていくしかありませんでした(今はしっかりHRチームも専任がついて動いていただけてます)。

仕込みは2018年からしており、採用ペルソナや面接・評価方法など骨組みができたうえで、自分だけでなくほかのエンジニアも巻き込んでスピードを上げて採用を進めていこうというフェーズでした。
そこで全員採用の名のもとに、情報共有をしつつ実際の採用業務までみなでやっていき自分たちで新しい仲間を探していこうとして進めていきました。採用活動のスケールとメンバーの採用へのコミットメントを上げてもらうことが目的でした。

3–2.やったこと

基本的にアウトラインをこちらでつくり、仕組み化したらみなの負担のすくない形で委譲していきました。

  • 面接プロセス
  • ペルソナ・募集要項刷新
  • 面接の質問・評価基準
  • 面接官育成
  • クロージング改善
  • レスポンス・オペレーション速度改善
  • スカウト・エージェントなどチャネル開拓
  • etc…

ただ1Qは、それこそ本当にほぼすべての採用業務をみなで手分けしてやっていました。自分がカジュアル面談とリクルーターや採用のディレクションをやりながら、全職種の各メンバーにスカウト業務をやってもらったこともありました。
あとからきたHR系の方に言ったらエンジニアそこまでやってくれるの?!すごいね笑 と言われ、あ、そこまではやらないのかと初めて知りましたが、まぁ経験もないのでひとまずみなでスカウトもするしTwitterでよい人がいたら共有して声かけるし、どうやってクロージングしようか作戦を練って面談に向かったりなんでもしました。今ではスクラム採用など響きのいい言葉がありますが、わりと泥臭くみなでやっていたのがこの頃でした。

その後、2Qにカジュアル面談のマニュアルをつくりガイダンスをし、面接官を育てていき、3Qにはカジュアル〜最終以外の面接を現場のメンバーに引き継ぎ、増えたHRエンジニア担当がいろいろな仕組みを整えてくれるようになりました。

3–3.成果と振り返り

採用目標数でいえば未達となりました。ここは組織の拡大の責任をもっている身としては大きな反省点となりました。

ただ採用に望む体制的な進捗は大きく、一定の仕組み化の上で負担もうまく分散し、HRと連携しつつエンジニアメンバーも多く関わりながら採用に望める体制ができてきたと思います。一番重要なオペレーション体制も安定してきました。

また数としては未達でも今年入ってもらったメンバーが入って早々漏れなくそれぞれの分野での活躍も目立った一年でしたので、採用の質は上がり、組織に活気と新しい成果が採用に強く後押しされて生まれた面もありました。

総括

一年前の方針にそって2019年をVPoEとして振り返ってみました。

素朴に感じたのは「年初に方針だすって大事だな」ってことです。当たり前じゃん!というツッコミが聞こえますが、振り返りをしてみて改めて思いました。実際には当初のこの方針がすべてではなくアップデートされたり変更されたりもありましたが、方針自体はあってよかったなと思います。当時の納得感という意味でも、今次点での振り返りの質が上がるという意味でも。

また改めて実感したのは「長い目ではること」の重要性です。

VPoEの仕事は特に成果が見えにくく、はかりにくいです。ですが3ヶ月、平均で半年くらい我慢することで初めて、組織に大きな流れが生まれることを感じるようになりました。
育成もアウトプットも採用も、短期的にできることはもちろんありますが、それはどの会社・組織でもできることで、差別化にならないし効用も短期的です。それはもちろんある程度やったうえで、いかに中長期で本質的なところにリソースを我慢してはり続け、変化を起こし、それを消さずに組織に定着させて積み上げることがエンジニアリングマネージャーもそうですがVPoEだからこそ特にやるべきことと思いました。


宣伝:そんなFiNCのエンジニア組織もまだまだ発展途上ですので、まだまだ課題は多く一緒に解決に向けて主体的に動いてくれる仲間を探しています。2020年はエンジニアリングマネージャーとしてのキャリアにチャレンジしたい!エンジニアリングマネージャーが必要とされるチームでの威力を高め合いたい!という方はとりあえずご連絡お待ちしております!とりあえずランチでもOK。有楽町周辺も美味しいランチけっこうあります。

明日はandroidチームのエンジニアリングマネージャーを努めた Yuki Nanri です!

FiNC Tech Blog

FiNC Technologiesは、「すべての人にパーソナルAIを」をミッションに掲げる予防×ヘルスケア×テクノロジーに特化したベンチャー企業です。

Takayuki Shimizu

Written by

VP of Engineering & Product Manager at FiNC Technologies,Inc.

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