あの人はまるで王子様で、あたしに振り向くわけないって分かってるのに

子供の頃、近所の公園の隅に雪うさぎを作った。緑の葉っぱの耳、赤い南天の目、ころっとした小さな白い雪うさぎ。うさぎさんかわいいねって、弟の聖良はそれをずいぶん気に入って、毎日公園に通ってかたちを手入れしていた。でも、冬が終わると、もちろん雪うさぎは溶けてしまって──
「春が来るんだよ。あったかくなるんだから、泣くんじゃないの」
うさぎさん死んじゃったと泣く聖良を、そう言って私はなぐさめた。それでも聖良はぐずぐずと泣いている。そんな聖良に私は──
「お前なんか、もう女のとこで泣いてろ!」
はっと目を開けた。私はビーズクッションの三日月の抱きまくらを抱きしめて自分のベッドにいた。明るい窓で朝の鳥がさえずっている。ちょっと寒くて、無意識にぬくぬくしたふとんを頭までかぶる。眉を寄せて今見ていたものを思い返し、夢かと思う。…


