あるとき、その曲にそっと耳を傾けて、
中にとけ込むような“誰か”が現れる。
すると今までソロだった音楽が、デュオになる。
初めて出会う音色とリズムを重ね合わせて。
複雑に重なり合って、重なり合って、やがて、シンプルになっていく。
いつしかコーダへ。
フルオーケストラの盛大なラストか、あるいは霧に消えていくような。
ある曲が止まるとき、ようやくそのスピーカーは、リズムを刻むのをやめる。
私の底で今も続いている音楽は、どんなものなんだろう。
聴いていてとても落ち着く曲がある。
懐かしいような、体内に入り込んでくるような。
単にすきな曲と少し違って。
いつ聴いても、その曲に対する落ち着きは変わらない。
もしかしたら、私の底にある音楽と、似ているのかもしれない。
それは血流のように、巡って、やがて心で重なり合う。
—Lovely Bloodflow