クリエイティブな人が成功するためにしている内緒のこと

Erika Ito
for Shirusu
Published in
10 min readOct 12, 2015

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ネットワーク、人脈作りと人間関係について

By Jeff Goins

先日、わたしは友人に誘われて食事会にでかけました。その食事会には、わたしが何年も前から尊敬している人も参加していました。その途中ふと、「僕はどうやってここまでやってきたんだろう?」と静かに問いかけました。

わたしは何年間も、友人関係に恵まれて成功したという話を聞くたびに、どうしようもなく嫉妬し不公平だと思っていました。もちろん、その人たちは成功者でしょう。彼らは正しい交友関係があったし、その時その時で正しい場所に居合わせていたのですから。運がよかったのです。

何年か経ち、成功は運がもたらすものだということを知りました(まともな人で、これについて議論しようとする人はいないと思いますが)。でも運も様々な方法によって作り出すことができます — 最低でも改善することは可能です。

事実、人生は公平ではありません。あなたの創作物が注目されるには、才能だけでは十分ではありません。正しいグループに向けて露出する必要があります。それがどんなに不公平に見えても、世界はそうやって回ってきたのです。

いい知らせは、あなたが思っている以上に成功はコントロールできるということです。

クリエイティビティ(創造性)のシステムモデル

なにが人をクリエイティブにするのでしょうか?もちろん、どんな人でもなにかを創りだす力を持って生まれてきます。その上で、小さなクリエイティビティと世界や業界をガラっと変化させ、将来もずっと残るような大きなクリエイティビティはなにが違うのでしょうか?

ミハイ・チクセントミハイは10年にも渡る研究でクリエイティビティ(創造力)を「創造性のシステムモデル」と呼ばれる方法で説明しています。創造の過程は主観的にながちですが、チクセントミハイは以下の3つのシステムから成り立つと仮定しています。

  • 領域
  • 個人

なにかがクリエイティブだとみなされるには(世の中がしばらく覚えているという意味で)、この3つ全ての項目を満たさなければならないそうです。これがどういうことか説明しましょう。

まず、個人が特定の領域(芸術、科学、数学)で技術をマスターする必要があります。次に、彼/彼女はその領域の中でエキスパートとして信頼のある人たちのいるで創作物を発表しなければいけません。最後に、成功の鍵を握るエキスパートたちがその創作物をその領域で権威があるものと認めなければいけません。

それがクリエイティビティのシステムモデルです。

「成功の鍵を握る」という言葉を使うことに躊躇はしましたが、なにが創造物を成功に導くかということを考えたとき、著名な画家、科学者、音楽家などのバイオグラフィを読んでみたらとても意味が通じました。才能は方程式の一部でしかないのです。残りは人脈です。

ヘミングウェイとパリと永続的な作品

20代前半のまだ若い頃アーネスト・ヘミングウェイは、イリノイ州のシカゴからパリの貧しい地区に引っ越しました。その少し前、第一次世界大戦下の赤十字で短期労働を終えたヘミングウェイは作家になろうとしていました。ひとつだけ問題だったことは、他の作家たちへ作品を見せる機会がなかったのです。

誰が彼に教えたのでしょうか?

ヘミングウェイはシカゴでシャーウッド・アンダーソンと出会いました。アンダーソンは、パリで作家をあつめたコミュニティを率いていたガートルード・スタインに会うことを勧めました。パリのほうが物価が安かったので、ヘミングウェイは倹約しながらも旅に出たり物書きをすることができました。

ヘミングウェイはパリでスタインだけでなく、エズラ・パウンド、ジェームス・ジョイスなど、以後彼の多くの作品に影響を与えたたくさんの人に会いました。F・スコット・フィッツジェラルドの紹介で、後に彼の作品を発表しキャリアを大きく変えた出版社スクリブナーズともここで出会っています。

パリでの10年間を過ごす前からヘミングウェイは才能のある作家であり、腕のいいジャーナリストでした。ただ、才能のある作家たちの作品にどっぷり浸かった数年間があったから彼の名は広く知れ渡ることになりました。

ヘミングウェイはそのコミュニティで出会った人との繋がりがあったから、20世紀で最も有名な作家として名を残すことができました。ほかの場所では同じように成功できなかったでしょう。その頃のレフトバンク(セーヌ川より南側の地域)が特別だったわけではなく、ネットワークがなければ創作物は生き残ることができないのです。

ネットワークががなければ創作物は生き残ることができない。

つまり、パリがなければヘミングウェイもなかった。わたしたちのような普通の人間にとってそれはなにを意味するのでしょうか?

あなたにとってのパリを見つけること

正しいタイミングで正しい場所に住んでいない場合、私たちは失敗する運命にあるのでしょうか?

もちろん違います。でも、わたしたちが考える以上に人脈は大切です。ゴッホもフランス印象派の画家たちに出会ってから急速に成熟しました。それは何故でしょうか?ゴッホが出会った画家たちは、彼の作品を批評したり認めてくれる「成功の鍵を握る人々」だったのです。

それが好きでも嫌いでも、わたしたちは自分の作品を測る客観的な基準となるものが必要です。ゴッホの絵画は生涯あまり売れませんでしたが、コネクションを持っていた義姉が、彼の絵を販売したため後に市場で注目されるようになりました。事実、今日わたしたちが目にしたことがある有名な絵画も画家の才能だけはでなく、コミュニティの絶えない努力があったから有名になったのです。

今日わたしたちが目にしたことがある有名な絵画も画家の才能だけではなく、コミュニティの絶えない努力があったから有名になったのです。

人脈。パートナーシップ。クリエイティブなコラボレーション。これが長持ちする創作物の秘訣です。ついでに紹介すると、ロード・オブ・ザ・リングやホワイト・アルバム(ビートルズ)もそのひとつです。クリエイティビティは個人の発明ではなく、共作なのです。そして、コミュニティが成功に導く機会を創りだします。

ではパリ、ニューヨークやローマのような都市に住んでいない場合、どうやってこの手法を取り入れたらいいのでしょうか?

もちろん、あなた自身が引っ越すことはできますね。チクセントミハイによると、クリエイティブになるにはどこか新天地へ引っ越したほうがよいそうです。短期的でも、どこか良い刺激をもらえるところへ移住することは今までで一番簡単になっています。私自身も8年前にイリノイ州の北部からナッシュビルへ移り、知らないうちにクリエイティビティ、テクノロジーとアントレプレナーシップの中心に身を置いくようになりました。そうしてよかったと思っています。

それでも引っ越すことが難しくても、それを言い訳にさえしなければ、どこにいても参加することができるネットワークがあります。それは識者が集まるオンラインのグループやイベントかもしれないし、もしかしたらあなた自身がその場を作るのかもしれません。本当のところ、コネクションはどこにでもあり、探す気さえあればたくさんの情報を見つけることができるでしょう。

食事会に参加すること

5年前、わたしは革命的な行動を実行しようと決めました —少なくとも、 わたしにとっては革命的でした。斜に構えることをやめて、有名なブロガーや作家など、わたしが何年も追っていて会ってみたいと思っていた人たちに連絡をとってみることにしました。お茶しませんか、と誘ってみたのです。信じられないことに、ほとんどの人がイエスと言いました。

わたしは内気なタイプですが、自分がヒーローだと思う人たちに会い、連絡を絶やさず、なんでも手助けになることはしました。あるときは彼らのコーヒーを買うことでした。また別のときには私の小さなブログで彼らをインタビューすることでした。分かったことは、最も影響力のある人たちでも、彼ら自身のことを話すのに抵抗はないということでした。

わたしは、そんな人たちが期待するような人になれるように努力しました — 彼らのアドバイスを全て受け入れ、言われたことを実行し、疑問を持たないこと。そうしているうちに、運が巡ってきたのです。

成功に運は関係ないというのは、世間知らずの言うことです。もちろん運も関係しています。信じられないようなことは常に起こり、私たちにはコントロールできないことが有利な方向に動くこともあります。同時に、運は全くコントロールできないかというと、そうでもありません。運は計画し、予期することもできます。いつどこから運が向いてくるかは分かりませんが、素晴らしいもの中に自分を置けば置くほど、その素晴らしさがあなたにも備わってくるのです。

あなたもその食事会に参加したいのなら、そこまでの道のりはこんな風かもしれません。

  1. 成功への鍵を握る人を見つけること。ヘミングウェイにとってそれはシャーウッド・アンダーソンと、後はガートルード・スタインでした。彼らが「王国」への鍵を握る人物で、ひとつの領域に必ず1人はいます。会いたい人と繋がりを持っている人を見つけ、戦略的に近づき、しっかりと連絡を取り合い、意図的にあなたの能力を示しましょう。
  2. 同じネットワークにいる人と繋がること。スタインはヘミングウェイに助けになりそうなパリに居るほかの作家たちを紹介し、ヘミングウェイも貪欲にその作家たちと繋がろうとしました。彼はエズラ・パウンドと日常的に口論をし、ボクシングのように彼とやり合いながら簡潔な散文の書き方を学びました。鍵をにぎる人たちへ学ぶ意欲を見せれば、彼/彼女はきっと、あなたに投資する人を紹介してくれるでしょう。
  3. できるだけたくさんの人を助けること。これは決定的です。誰を知っているかではなく、誰を助けているか、です。人は思っている以上にあなたの賢さよりも、あなたがしたことを強く覚えています。ボス的だと有名だったヘミングウェイもたくさんの人を助けました — スタインが出版できるように手助けし、スランプに陥ったフィッツジェラルドをはげまし、レフトバンクの作品が注目されるようにしました。

もちろん、一人一人によってその方法は異なるでしょう。ただ、わたしが今なによりも自信を持って言えることは、どんなクリエイティブな分野でも人脈がその成功を大きく左右するということです。あなたはネットワークの力を活かそうとしますか?それとも、成功している人をただの「ラッキー」な人だと思い続けますか?

運は誰にでもまわってきます。その運に気づける人が成功する人なのです。成功談は詰まるところコミュニティの話で、あなた自身のコミュニティは自分から手を伸ばし、与えられたチャンスをモノにするかどうかなのです — それがパリでもシカゴでも、あなたの生まれ故郷であっても。

この記事は元々goinswriter.comに投稿されました。

ジェフ・ゴインスはベストセラーのThe Art of Workを含む4冊の著者です。執筆活動や生活についての考えを読むには、無料のニュースレター(英語のみ)を購読してください。

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Erika Ito
for Shirusu

Product Designer at VMware Tanzu Labs (former Pivotal Labs) in Tokyo. Ex Medium Japan translator. | デザインに関すること、祖父の戦争体験記、個人的なことなど幅広く書いています😊