プロジェクトTNT

Mediumでの「字のカタチ」の次なる進化

Ray Yamazaki
for Shirusu
6 min readOct 19, 2015

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by Brad Birdsall

Medium 2.0をローンチする1週間前の木曜深夜、Mediumのオフィスで。デザイナーであり、タイポグラファーでもある同僚のMarcinは私の数フィート先に座っていた。私たちはどのプロジェクトでも起こりうる、本当に疲弊しきり、自分たちのやってきたことすべてを再考慮する瞬間に直面していた。

私たちは立ち止まって考えた。今までのフォントを続けるべきか?これまでの悩み抜いた旅路が役立つはずだった。

1ヶ月前、まず手始めとしてMediumのプラットフォーム上のすべてのタイポグラフィーを再確認することから始めた。

字体はMediumのデザインでは重要な位置を占める。私たちはストーリーのためのプラットフォームであり、ストーリーを文字で伝える。そのため私たちは書き手や読み手のためタイポグラフィーに細心の注意を払う。ありきたりの引用をスマートなものに変えアンダーラインの強弱を調整しストーリーをずっと素晴らしいものにする

枷になるようなものもなくなりつつある。Mediumで文章を書くことはもっとカジュアルになったし、ウェブと同様の体験をiOSでも出来るようになった。また、この直後にはAndroidにもサーヴィスを拡大した。これらはすべてこの6ヶ月のことだ。私たちは新しいキャンバスとも言えるものを生み出したわけだが、結果的にはこれらが私たちのデザインにどれほどインパクトを与えるのか考慮する必要性を生み出したわけだ。

今回のMediumのタイポグラフィーの刷新は進化と呼ぶにふさわしい。私たちは今まで以上にヴァライエティーに富んだストーリーをサポートし、Mediumにより豊かなタイポグラフィーをもたらすために旅を始めることにした。その過程で睡眠時間を削ることになるかもしれなかったが。

プロジェクトの初日はスペース作りからだった。オフィスの中に場所を貰い、家具類をそこに移動させた。そしてプロッターにプロジェクト・ロゴをプリントした。ああ、まぁ私たちのロゴではない。TV局のロゴをジョークにしたものだった。と同時にそれは「ニュー・タイポグラフィー・ムーヴメント」への半ば内輪のジョークでもあった。

この過程は、同僚のやる気が出るようにしたくてやった。考えや進捗状況をシェアし、採用候補のフォントで埋め尽くされた壁を作った。また、巨大なカレンダーに今後の予定を書き込み、議論が活発になるようにSlackのチャンネルも準備した。

テストの役に立ち、MediumのUIでフォントを比較できるカスタム・ツールも組み立てた。私たちは、これをジョークで「the Bloomberg terminal of type」とか「the Fontificator」と呼んでいた(まったく、どっちもひどい名前だな)。これによって、多くのMediumのストーリーをどのブラウザーで見ても字体はジャスト・フィットするようになったし、デスクトップだけでなくiOSやAndroidのデバイスでもスムーズに同期できるようになった。

実際に使われる状況でテストすることがカギだった。そこで私たちはウェブとアプリで様々な字体を用意し、新しいフォントで読んだり書いたりを始めた。内輪でテストするだけではなく、何人もの信頼できるテスターの方々や、本当に優秀な字体についてのプロフェッショナル(あなたも知っている方々だ)を訪問する光栄に浴することもできた。数日おきに新しい字体をテスター全員に送り、フィードバックを切望した。これはある意味とても情感豊かな旅と言えた。恋に落ち、すぐにそれが憎しみへと変わるような(すまない、Riona)。

幾晩も夜遅くまで仕事をして、何百ものフォントを試し、Marcinが「タイポグラフィーが俺を殺しに来る」と何度も愚痴り、2,000以上のSlackメッセージのやり取りをした後で、ようやく新しい家族とでも呼ぶべき2つのフォントに落ち着いた。

Kievitは新しい見出しのフォントだ。 Kievitはデザイン性と読みやすさが見事に混成している(以前のサンセリフ・フォント、Berninoは見出しとUIをサポートしているが、Kievitで十分だろう)。ボーナスとして、Kievit Slabもお目見えするが、もしまだKievit Slabのアンパサンド(="&")を見ていないなら、絶対にこのcast of charactersをちらっと見てみるべきだ。

インターフェイス周りについては、システムフォントを使うことに決めた。iOSについてはAppleの新しいフォントであるSan Franciscoであり、AndroidについてはGoogleのRobotoである。私たちはUIはMediumで書かれたストーリーにとって二の次であると信じており、それぞれのOSのフォントに似たものを使うことによって、この考えを一層おし進めようとしている。

今まで述べてきたことをMediumを利用される皆さんとシェアできるのはとても嬉しい。一瞬一瞬に打ち込む価値のある、とても早いペースではあるが楽しい旅だった。今回のことについては皆さんそれぞれに意見があると思うので、ぜひその意見を聞かせてもらえるとありがたい。結局、私たちはまさに皆さんがそうしてくれるようなプロダクトを作っているのだから。

そうそうーきれいな新しいカラーパレットもある。多分、もうすぐBrad Simpsonに色の妙技についてもっと書いてもらえるかもしれない。

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