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Medium の組織体系とマネジメント

by Andy Doyle

Medium では従来の組織体系に代表されるガバナンス体制や社内政治などの要素を可能な限り取り排除し、社員一人一人の声を大切にしています。結果として Medium では組織マネジメントにおける新しいフィロソフィー — それもいまの Medium にフィットし、スケーラブルなもの — を探求しつづけました。ここ数年で我々は「ホラクラシー」を採用してきました。最近ではホラクラシーの先を見据えて、次世代 Medium のあるべき体験やそれを支えるシステムを密に繋げる構想を検討しています。

ホラクラシーは既存の上から下に命令を下すレガシーな組織体系から脱却し、分権型マネジメントとダイナミズムを可能にします。個々のチームは自律したサークルのように成形され独自の裁量と判断の基、運営されています。結果としてこれまでの組織図や人ありきで成立していた編成から、やらなければならない仕事を中心に組織が編成されるようになります。ホラクラシーの提唱者であるトム・トミソンが言うように、「仕事を邪魔する要素がなくなります」。

私たちはホラクラシーのフィロソフィーにとても共感しています。ホラクラシーでは権限が一カ所に集中する必要はないことを強調し、すべてのレベルに信頼と責任を委譲すべき、と謳っています。これは Medium が大事にする、素晴らしいアイディアや新鮮な視点はどこからでも生まれる、という精神と共通しています。そのため、ホラクラシーの考えを取り入れることに懸念はなく、むしろ同じ流動性を求めて互いに成長できることを意味していました。

また、ホラクラシーは働くことに対する近代的な見解を反映しています。古典的な組織図や組織体系は多くの場合、リニアで柔軟性に欠けています。しかし、現実では人は組織において複数の役割を担うことも可能です。ホラクラシーは役職や部署を問わず、それを可能にしてくれます。組織図はあるものの、そしてリーダー的存在はいるものの、古典的な組織体系と比較して軽量でありながらも共創を可能にし、透明性を維持してくれます。各チームやグループや共通の目的の基、集合し、形成され、完了した段階でチームは解散します。

同時に、ホラクラシーという思想を組織内でスケールさせることに我々は課題を感じていました。各チームはそれぞれに目的を掲げ、到達すべきゴールまでの道のりを描いて突き進みますが、一方で機能を超えた調整などを進めるためには時間を要し、アラインさせるためにもかなりの労力が必要になります。

まだ、ホラクラシーは従来とは異なり、記録管理とガバナンス(組織統制)への深いコミットメントを必要とします。すべての業務を進めるためには特定の役割が必要となり、すべての役割を担う人にはある程度の責任が問われるようになります。結果として透明性は維持できるものの、ディスカッションのための時間がかなり要されます。さらに重要なことは、各々の責任範囲や裁量を言語化することで当事者意識を醸成する必要がありました。

まだ数は少ないものの、ホラクラシーに対する社外からの評価にも目を向ける必要があります。ホラクラシーに関する深い洞察を示した記事がいくつかありますが、その記事の見出しはこのようなものでした:

ホラクラシーに対する社会の見解は実に誤解で満ち溢れています。社員のリクルーティングにおいて、上記に挙げられているような批判によって苦戦したこともあります。例えば、中間管理職が不在の組織で中間管理職として働くことに意欲を見せる人が不安になることもあります。

だからと言って、Medium を決して同じ目で見ないでください。私たちは確かに恵まれていると感じます。意欲的で、セルフマネジメントに長け、戦略から設計まで上下関係や組織構造に左右されずにコミットしてくれる人が多く在籍しています。そして中間管理職もいます。Medium における中間管理職は難題の経営課題に対するコミットメントとその実現に向けたチーム編成が求められます。様々な人とのコンセンサスを構築し、時には(難しくない場合でも)難しい意思決定を下すこともあります。

我々は、社員と Medium が共に繁栄できる場所を構築したいと考えています。

そしてこの度、ホラクラシーから「卒業」することにしました。それは決して上手くいかなかったからではありません。我々はその先を見据えていきたいのです。なぜなら、組織として Medium は常に変化し続けなければなりませんし、変化を受け入れる姿勢を保たなければいけないからです。これまで述べたホラクラシーのフィロソフィーのほとんどは Medium という組織に組み込まれており、共創文化の醸成や変化の継続を可能にしてきました。

私たちにとってホラクラシーは仕事の、そして組織としての変化の邪魔になっていました。

更に組織として前進するために、Medium ではどのように組織を構成し、マネジメントしているかを示すためにプリンシプルをまとめています。これらのプリンシプルは時代の流れと共に色あせず、常に普遍的な要素として組織の奥深くまで根付くことを願っています。

  1. 個人は、常に変化を引き起こすことができる。
  2. 裁量は常に委ねられる — 均等でもなく、恒久的でもなく。
  3. オーナーシップは個人の責任であり、コントロールではない。
  4. 良い意思決定はコンセンサスではなく、合意を意味する。
  5. システムはどのような環境下でも適応できるように設計する。
  6. 企業の透明性は、テクノロジーによって解決する。

Medium ではこれらのプリンシプルを各チームに展開できるよう翻訳を進めています。その目的は、意思決定をより有効に進めるためであり、一人一人が当事者意識を持って、一定の裁量の基、業務におけるイニシアティブを得ること、そして私たちの組織や業務をマッピングし、トレースするために存在します。

ホラクラシーと歩んだここ数年はポジティブなものでした。ホラクラシーなしではいまの Medium の組織やプロダクトは存在しなかったことでしょう。私たちは組織地形や個人としての情熱を保つためにホラクラシーを必要としていました。

私たちが経験したことは、Medium の全員が経験したことではないことは、重々承知しています。同時に、ホラクラシーを世に広めたクリエイターの方々に深い敬意を表します。ほとんどの企業が現在採用しているマネジメント・モデルは数世紀前に誕生したものです。情報は常に流れ、個々のスキルは多様化し、未来への約束すらありません。ホラクラシーを世に広めた HolacracyOne は、そんな時代だからこそ、組織として変化し続けられるためのヒントを考えてくれています。

我々は、Medium がそのパイオニアであるべきだと考えています。このストーリーを読んでくださっているみなさんからのアイディアをぜひ聞きたいですし、ご自身が調整して上手くいったケースがあればぜひ教えてください。私たちも、今回のように時代と共に経験したことなどを不定期でも記していこうと考えています。

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