チョーヒカル(趙燁) さんインタビュー

非日常のARTをテーマに掲げ、体にリアルな目や物を描くボディペイントや、さまざまなブランドとのコラボレーション作品で注目を集めるクリエイター、チョーヒカルさん。彼女に、制作の過程やその面白さについてお話をうかがった。 (学芸カフェ2015年7月号より再構成/掲載)

— — チョーさんの作品では、その画力はもちろん、 いつも意外性に驚かされます。 魚に見えるけれどじつはバナナだったり、あるいはミカン みたいなトマトだったり……。こういう「非日常( UNUSUAL )」なテーマは、どんなときに思いつくんですか?

「banana-fish」
「It’s not what it seems」

チョー: こういう作品のアイデアは、実際のものを見ながら考えることが多いです。たとえば八百屋さんとかにいるときに思いつきます。野菜の形を眺めながら「これとこれは同じ形だなあ」とか、バナナを見て「このバナナにサンマを描けるかなあ?」とか(笑)。

— — ひとの体に描く ボディペイントだと、紙に描くのとはぜんぜん違うと思いますが、いかがですか?

「Wireless Charging」Samsung Galaxy S6 phones

チョー: ひとの体は物みたいに扱えないですし、動くので苦労しますね。私は、ボディペイント用の絵の具よりも発色がいい絵の具を使っているんですが、これだと、体が動くとヒビが入ることが多いんです。だから「動かないでください」とお願いしないといけません。初対面のひととの会話が得意なわけではないんですが、なるべく楽しく過ごしてもらおうということで頑張って話しています(笑)。紙だとどこまででも細かく描けますが、ひとの体に描いていると細かいところは描きづらいですね。

「Flat Face」
Samsung Galaxy S6 phones
「see right through you」

— —海外でのお仕事も増えていますが、どんなことを意識していますか?

チョー: 私自身、日本で生まれ育っていますが国籍は中国ですし、国が違うときに意識がどう違うかといったことにも興味があります。国という単位では仲がよくないこともありますが、たとえ国が違っても、個人のレベルでは問題じゃないといった意識に少しでもかかわることができればとおもっています。最初にお話したサンマに見えるバナナなどの作品、じつはそのメッセージを簡単に言うと「ひとは見た目じゃない」ということなんです。いろんな国のひとから「伝わりました」っていう感想もいただいて、アートの力を再確認しました。これからも広い視野を意識して作品づくりをしていきたいです。

— — アートのお仕事をしていてよかったと感じるのはどんなときですか?

チョー: 誰かの心が動いているのを感じたときです。「カッコイイ作品ですね」って言ってもらえるのももちろん嬉しいんですが、誰かの価値観が変わったりするような作品をつくれたと感じられたら最高です。私の作品にはトリックアート的なものが多いんですが、そういうトリックに自分自身がだまされるような瞬間があります。自分もひっかかってしまうようなときには、まわりのひとも楽しんでもらえます。 あと、制作の過程で、最初はただの絵の具の色が、だんだんと物の形になっていく瞬間。こういうときも嬉しいです。

— — — — どんな 子ども、中高生でしたか?

チョー: ひとを楽しませることは昔から好きでした。文化祭や体育祭でTシャツをつくったり。お笑い芸人を目指そうかと思ったときもあるくらいで、ひとを面白がらせたり、楽しませることが好きでした。 絵を描くことは好きでしたが、特にうまかったわけではないです。美大に進むために美術予備校にも2年ほど通っていましたが、クラスで5番目くらいという感じで、特別にうまいわけではありませんでした。

— — — — 今年、初の 作品集が出るそうですが、どのような内容ですか?

チョー: 秋くらいに出る予定です。内容が決まってきて、細かい制作をしています。いままでの作品を中心に新作も 10 作程度となる作品集で、制作風景やコラムなんかも入る予定です。

— — — — 今後のビジョンを教えてください。

チョー: 日本だけにとどまらず、海外のお仕事ももっと増やしていきたいです。 ボディペイント以外にもやりたいことがたくさんあるので、若いうちにいろいろと大きなスケールで挑戦したいと考えています。

(学芸カフェ2015年7月号より再構成/掲載)

(聞き手/牧尾晴喜)


チョーヒカル(趙燁)

クリエイター/イラストレーター
1993 年、東京都生まれ。2012 年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科に入学。UNUSUAL (非日常) ART をテーマに掲げ、体にリアルな目や物を描くボディペイントや衣服のデザイン、イラスト、立体、映像作品などを制作。衣服ブランド Melantrick Hemlight 、タイツブランド tokone とのコラボレーションや、ポスター、スマートフォン向けアプリのイラストやキャラクターグッズのデザインなど、現役美大生でありながら幅広い分野で制作を手がけている。

日本テレビ「ナカイの窓」「ヒルナンデス」「スッキリ !! 」など多数メディアでも取りあげられる。2015 年 Samsung Galaxy S6 phones の広告ビジュアルを制作、イギリス本土で作品が発表されるなど海外からも支持を得ている。2015 年 10 月には自身初となる作品集を出版予定。