社会とつながる独自の活動がアツい、全国の建築学生団体インタビュー!

こんにちは、そしてはじめまして!フレーズクレーズ編集部のインターン生、樋口瑞希です(ひぐっちゃんと呼ばれています)。京都で建築学生をしています。建築やデザインに興味・関心をお持ちの皆さんに面白い記事をお届けできるよう頑張りますのでどうぞよろしくお願いします!

今回は、全国の建築学生団体にインタビューをしてきました。SNSや卒業設計展で団体名を目にしたりするものの、どんな人がどこでいつ何をやっているの?なんて思っている方も多いんじゃないでしょうか。私自身、関西の建築学生団体に所属していて、他の学生団体が主催しているイベントによく参加するのですが、団体によって活動の種類はとても多く、さまざまな特色があるようです。そこで今回、全国各地の建築学生団体のうち、複数の大学の学生が一緒に、学生主体で活動している6団体にお話をうかがいました。

それでは早速、北から順にご紹介します。どうぞ!


NO1. 『仙台建築都市学生会議』 @仙台

樋口(以下、ひ): 毎年3月に開催されている、建築学生なら誰でも目指す場と言っても過言ではない『せんだいデザインリーグ卒業設計日本一決定戦』を運営されている団体ですね!私も毎年仙台まで展示を見に行っています。他には、どんな活動をされていますか?

● 建築に関する自主的な学習を仙台メディアテークで毎週運営しています。仙台近郊のいくつかの大学の学生が参加していて、『建築家レクチャー』を毎年企画し、地方で建築家の講演会を聴講できる機会を設けるなど、東北圏の建築学生のプラットフォームとしての役割を担う活動を行っています。

ひ: やはり一番盛り上がるイベントは……

● 『せんだいデザインリーグ卒業設計日本一決定戦』ですね。全国の学生が卒業設計を出展し、著名な建築家が議論して日本一を決定してます。今年で15回目を迎えますが、例年多くの出展があり、日本最大級の大会へと成長してきました。大会は一日のうちに日本一まで決定しますが、そのスピード感も特徴の一つです。その裏では、短い時間の中で正確な審査を行うために、毎年、審査方法も検討しています。審査員とファイナリストが繰り広げる議論の様子は、運営としてもついつい見入ってしまいますね。

ひ: 参加して良かったと思うことや、ご自分のなかでの変化などは?

● 自分の将来の目標が明確になったり、常日頃から建築に対するモチベーションが高く保てることだと思います。趣味で旅行に行くことも多いのですが、最近では建築を見に行くための計画をすることが多くなってきているのも活動からの影響かもしれません。

ひ: 外部の人との出会いはどうですか?

● 毎年、SDL(仙台デザインリーグ)のファイナリストの方も参加している台湾の『IEAGD』という大会で、私たち学生会議メンバーとの交流が生まれました。その場で建築家の方にお話をうかがえたり、そこで出会ったファイナリスト達の建築に向かう姿勢はメンバーには非常によい刺激になったようです。

ひ: 一緒に活動したいと思う学生へのメッセージをお願いします!

● 建築や都市に興味がある学生であれば、いつでも募集中です。毎週水曜日にせんだいメディアテークにて活動していますので、仙台近郊の大学であれば、興味がある方は是非お越しください。大学の講義の枠をこえて、自主的に建築を学びたい人にはピッタリの場所だと思います。OB・OGの方々もお呼びしますし、縦の繋がりの強さが特徴なので、先輩から建築スキルを学べます。皆と一緒に建築を学ぶこと、一緒に活動をしていくことは非常に刺激になります。

ひ: 「仙台と言えば」の名建築に毎週集まって建築への理解を深められるなんて、得られる知識の密度は言わずもがな。SNSの他に、書籍やスポンサーによるTV番組などでも広報を行っているそうです。東北地方の方は特に要チェックです!

インタビュー回答者:仙台建築都市学生会議代表

◆建築家レクチャー「藤野高志レクチャー」

日時: 2016年9月21日(水) 17:00~19:00

場所: せんだいメディアテーク7F スタジオb

定員: 60名(先着順)

連絡先: 仙台建築都市学生会議 担当一條 takehiroichijo@gakuseikaigi.com


NO2. 『明日の建築会』 @東京

ひ: 雑誌に作品制作。形に残る活動が魅力であり、特徴ですね。

● 「学究」と「実践」を両立しようとしている点が特徴だと思います。
 学究面では、主に大正から昭和初期にかけての建築史研究を行っています。これまでは吉川清作という建築家のことを追っていましたが、もうそろそろ整理がつきそうです。今は野田俊彦の卒業論文についての検討をしています。これらの成果は小会刊行の雑誌『建築都市文化史誌aft』(ISSN2189–5600)の中で報告しています。この時代については往々にして未検討のまま取り残されてきたので、私達がきちんと整理し記録しなければならないと考えています。
 実践面では、毎年秋に開催される理工展(早稲田大学の学園祭)で実寸大での作品制作に取り組んでいます。昨年度は廃品をブリコラージュした小屋、軽トラックの荷台に積載可能な住居モジュール、おでん屋台を改造したサロンなどを展示しました。

ひ: 一番盛り上がるイベントは『理工展』のようですが、どうですか?

● どんなに拙いものであれど、自らのアイデアを実現するべく努力する経験は尊いものだと思います。ぜひご来場の上、忌憚のないご意見をお寄せください。

ひ: 活動に興味がある学生に一言お願いします!

● 建築の勉強は一朝一夕にはいきません。群れることによってもどうにもならないと思います。その他の学問領域と同じで、ひどく個人的な営みです。
 それを踏まえた上で、それでもなお建築を自身のフィールドにしようという強い熱意のある人同士であれば、協働することは価値あることだと思います。自らの思考を錬磨するためには批評・批判をしてくれる良き友人が必要ですし、自らのアイデアを実寸で実現しようとすれば、どうしても相互扶助が必要です。このような意味で、私たちはこの運動から得るものがあると思いますし、新たに参画してくれる方々を大いに歓迎します。

ひ: 過去を知ることで現在のこともより深く知ることができますが、ついつい目の前の創作ばかりに目を向けてしまう私にとっては、とてもストイックに建築を学べる場だと感じました。作品制作面では、個人としては、理工展での『おでん屋を改造したサロン』というのがとっても気になります。「学究」面とのギャップが素敵です。

インタビュー回答者:明日の建築会同人

NO.3 『建築学生サークル ♭(FLAT)』 @東京

ひ: 東京ならではのビッグなイベントをビッグな人数で取り組む、シティスタイルの建築の学び方!全国的に名の知れた団体ですが、どんな特徴がありますか?

● 人数・大学の多さ、”インカレ”の建築サークルという部分が、関東では他の団体にはない強みだと思います。さまざまな大学のひとと関わることができるので、どんなソフトを使っているのか、他大学の課題についてなど、多様な情報交換ができ、視野がとても広がります。得意分野を生かしてチームを組んでコンペに参加したりもします。

ひ: たくさんの活動があるようですが、最も盛り上がるイベントはなんですか?

● 1年の活動の集大成となるTOKYO DESIGN WEEK(以下略TDW)です。アジア学校作品展に、サークルとしては唯一、出展しています。今年は4度目の出展で、前回よりさらに上の賞をいただけるよう準備を進めています。TDW2016は明治神宮外苑で開催予定なので、ぜひ。

ひ: どのような時に魅力を感じますか?

● やはり一番力を入れているTDWでみんなで案出しからブラッシュアップを重ね、さらにはそれが実際に建って、その空間に入った瞬間が一番感動します!

ひ: では、一緒に活動したい学生へのメッセージをお願いします!

● 大学だけではなにか物足りないなと感じている方、他の学校で建築を学んでいる学生とのネットワークを作りたい方、とりあえず建築が好きなら誰でも大歓迎です。入会はいつでも可能なので、ぜひ遊びに来てください!

ひ: 代表の方のお話を聞いているだけでも、建築の情報量がすごくて驚きました。東京に行く際には、イベント情報をチェックしておかなければ!

インタビュー回答者:建築学生サークル♭代表

◆Tokyo Design Week2016

日時:2016年10月26~31日、11月2~7日

場所:明治神宮


毎年皆で決めたテーマでロゴからデザインするため、現時点では次のロゴは白紙です!

NO.4 『京都建築学之会diplomaスピンオフ企画 NEXTA 2017』 @関西

ひ: 秋口からゴールデンウイークに向けて半年かけて企画展を運営・出展ともに準備していくんですね。どんなところが特徴ですか?

● 私たちは新3、4年の建築学生による合同講評・展覧会を行う学生団体で、主に関西の学生が中心となって活動しています。企画・運営も学生のみで行い、講評していただく先生方にも自分たちでアポを取るなど、「運営者=出展者」という意識を持ち、自分たちの色を出していけるように全員で考え行動します。先生方や学生同士のエスキスや懇親会なども通じて建築スキル向上を目指しています。

ひ: メインイベントは企画展だと思いますが、その中身についてお聞かせください。

● メインは、会期中の先生方による公開講評会です。まず全メンバーが先生方全員と、与えられた1分間でパネルディスカッションをします。講評会でプレゼンできるのは審査で選ばれた「8選」のみで、そこで用意したパワーポイントと模型を用いて自分が出せる最大限のプレゼンをします。これは外部の建築学生や建築に関係ない方でも自由に観覧できます。そのあとに結果としてそれぞれの先生方から賞が与えられます。賞を発表される時が一番緊張します。

ひ: 参加しててよかったのはどんなことですか?

● 私は、大学内で評価されなかった作品を外部に出しても意味がないのでは?と考えていましたが、企画展に参加して、初めて作品を見た方にどのように伝えようかと考えていくうちにその作品が大好きになりました。結果、「8選」には入れなかったのですが先生方から賞をいただくことができ、すこし自信がつきました。会期が終わった今でも、メンバーは集まったり別のイベントでも出会うことが多々あるので、そこから友人を紹介してもらい、繋がりを増やしていくことができます。一歩踏み出す勇気は大事だなと感じました。

ひ: 活動に興味のある学生にメッセージをどうぞ!

● 今まで大学内の課題だけで終わらせてしまっていたものを、そのままにしてしまうのは勿体ないことです。自分の作品を外部に出すのは怖いと感じることもありますが、ブラッシュアップして、見てもらったときの評価は自分のなかでプラスになります。雑誌などで拝見している先生方をお呼びして、自分の作品に意見をいただくということはなかなか経験できるものではありません。新しい仲間、先生方との繋がりが生まれ、それはこれからの自分にとって財産となります。是非一緒に活動していきましょう。

ひ: じつは私も参加したことがあり、お世話になったNEXTA。メンバーは仲がいいのに作品に関しては良い意味でバチバチしてる、そんな団体です。学校課題のブラッシュアップなので、不完全燃焼作品があればここで成仏させることをお勧めします!もう少しでメンバー募集が始まるようですので、関西圏の建築学生は要チェックです!

インタビュー回答者:NEXTA2017代表

◆第一回会議予定

日時:2016年10月22日(土曜)13:00~16:00

場所:大阪府大阪市北区堂山町3-2日本生命梅田ビル8階、総合資格学院梅田校


NO.5 『広島建築系学生団体 scale』@広島

ひ: 講演会企画、その登壇者の作品見学会、リノベーション、工務店とのコラボ企画、茅葺古民家修復など、活動の種類が豊富な広島のscale。その中でもとくに大きな活動は何ですか?

● 紙芝居をモチーフにした、空きスペースに新しいアクションを起こすことを目的にした移動式映画装置を2年前からつくっています。具体的には、軽トラックに載せて、イベント等にパビリオンのような形で出展します。また、この移動式映画装置をきっかけとしてパネル展示やテントといったものも作成してきました。他団体との一番の違いはものづくりを通して場づくりを行い、建築に興味のない人にも、建築の面白さや奥深さを知ってもらうきっかけを作っていることだと思います。

ひ: 移動式映画装置、とっても盛り上がりそうですね!

● 各イベントで数百人単位の方に上映会を楽しんで頂けるので非常に盛り上がりますね。特に広島市で毎年行われている野外上映会では、公共空間を立ち上げていくことのお手伝いができるので非常に勉強になります。今年はあと二回、移動式映画装置の出展予定があり、建築の可能性を見つける良い機会になると考えており、非常に楽しみです。

ひ: やってて良かったと思ったことや、やりがいを感じる瞬間について教えてください。

● 講演会を通じて、建築家の前田圭介さんの作品見学の機会をいただくとともに、実務の大変さや、やりがいを学べました。また、移動式映画装置に関するイベントがきっかけで、(2014年8月に起きた安佐北区土砂災害復興をきっかけに立ち上がった)サポートセンターが入っているフロアリノベーションに参加できたり、今年は東広島市志和地区の茅葺古民家再生にも関わらせて頂いています。現在は、工務店や地元ボランティアと協力して本棚を作成中です。

ひ: 活動のメリットなど、活動に興味のある学生に一言お願いします。

● 今現在、メンバーは建築系の学生のみで構成されていますが、他学科の学生も加入すれば、普段は出会うことのないさまざまなジャンルの方と話すこととなります。建築という分野を外の視点から見ることができるので、メンバー同士の刺激が増えて良いのではないかと思っています。活動を通して「このひとは、建築をこう捉えて文字や形にするのかな?」「同じ内容でもこのジャンルのひとにはこの方法なら伝わるのか……」といった発見があり、これは普段の学校課題やコンペでは出会うことのない体験です。

ひ: 「移動式映画装置」が特に私の興味を惹きました。建築学生が集まって建築学生の中だけで完結するのではなく、建築をどんどん建築関係以外の場に向けて発信し、その面白さを伝えていく。ソフト面が重要視されるようになってきた今の社会において、かなり現代的な活動をされている団体だと私は感じました!広島で繰り広げられる濃い活動に今後も注目したいです。

インタビュー回答者:建築系学生団体scale代表

NO.6 『北九州建築デザインコミュニティ tonica』 @北九州

ひ: 北九州市立大学、九州工業大学、西日本工業大学の3大学が主体となり、大学の枠を超えて建築を高め合う団体、tonica。どんな活動が特徴ですか?

● 私たちは企画展を年に一度開催しています。審査員の先生方をメンバー自らで選出し、依頼をします。出展者ひとりひとりと先生方が必ずお話できる時間を設けているため、全員が先生方から直接アドバイスを頂く機会があるという点がtonica建築展の最大の強みです。また、定期的にワークショップや建築物の見学なども行っています。そこで新たなひらめきが生まれたり、意見交換が行えたりと普段とは異なる視点で建築を学ぶことができます。

ひ: 企画展を通して感じる魅力を詳しく教えてください!

● 学生たちが主体となって作りあげるということ、自分たちが依頼したクリティークの先生方にアドバイスを直接頂くことができるということが、普段はなかなかできない体験です。また他大学の学生と作品を競い合うライバルになれるとともに、仲間となれることが大きな魅力です。

ひ: 参加してよかったと思ったのは、どんなことですか?

● 私はtonicaに参加するまで、そもそも同じ大学の先輩方ともあまり関わる機会がありませんでしたが、tonicaに参加してから先輩方も仲良くしてくださり、北九州で建築を学ぶ学生の友達も増え、昨年は北九州以外の建築仲間もできました。今では、「みんなが頑張っているから私も頑張らないと」「今度のコンペでは負けたくない」と意欲が湧いてくる源にもなっています。

ひ: 興味のある学生に向けたメッセージは?

● 建築で北九州を盛りあげていきたい意欲のある北九州市立大学、九州工業大学、西日本工業大学の学生を募集しています。tonicaの建築展は学生が主体となって企画しているため、社会人に依頼をする際のメールや電話のマナー、名刺交換など、学校生活では経験できないことも学べます。

ひ: 卒業設計展シーズンに開催されるtonicaの企画展。先輩の卒業設計のお手伝い等で高まった気持ちや、学び取ったスキルを冷めきらぬうちにぶつけてしまえるナイスなタイミング!この時期に行うということは、参加学生は必死だろうな~と予想できますし、企画展を実行しているtonicaの皆さんの建築魂が目に見えるようです!

インタビュー回答者:北九州建築デザインコミュニティtonica代表

ウェブサイト http://tonica-kitakyu.main.jp/top/


以上、全国の建築学生団体から6グループを紹介しました。

その地域ならではの建築の学び方や考え方、活動にそれぞれ特徴があって、活動の目的も少しずつ違っていて、とても面白いお話をうかがえました。

学生である私自身、こういう学外活動に参加することによって自分自身が建築という分野のどういう部分に深く関わっていきたいのか、さまざまな評価基準があるなかで何を自分の正解にするのか、何のためにどこを目指して提案していくのかなど、自分のスタイル……という格好いい言葉を使うほどの実力も個性もまだありませんが、建築に対する自分に合った姿勢のようなものをすこし見つけることができたように思います。

今回の記事では6団体を紹介しましたが、もちろん全国にはまだまだ多くの建築系学生団体があり、すべての団体はご紹介できていません。皆さんのまわりで気になる団体などありましたら、ぜひ教えてくださいね!

当記事でお世話になった6つの団体の代表及び担当の皆さん、本当にありがとうございました!以上、インターン樋口がお届けしました!


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