リモートワークが行き詰まるのは、井戸端話が足りないから。

爲廣 慎二
FREE TAM
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6 min readMay 19, 2018

井戸端話ほど大事なものはない。

ロンドン出張に来て、TAMロンドンの石野さんと4日ほど行動をいっしょにしました。

ずっといっしょだったわけじゃないし、いろんな人と会ってミーティングもありましたが、昼メシや晩メシを含めると3時間×4日くらい井戸端話をしたと思います。

お互いの仕事観に始まり、こんなことしてみよう、あんなことしてみようと話が広がりいろんなアイデアが出たし、ちょっと下ネタも含みながら、ありとあらゆる井戸端話をしてみて、これほど貴重なものはない改めて気付かされました。(ロンドンで協業する会社とも今回とても良い成果に繋がったと思います)

もともと予定していた議題とはぜんぜん違うことがどんどん生まれてくるのです、それがとても大事なのです。

ある目的を遂行するために、部屋に閉じ籠もってアジェンダ通りに会議ばかりしていても、面白いアイデアは生まれないし、ぶっ飛び案やぜんぜん違う角度からの発想とかも生まれてきません

アジェンダに沿わない戦略とか戦術とかは生まれないのです。

井戸端話でただ1点すごく大事なのは、背景(共通の課題やテーマ、数値)などが自然に共有されていることです。

これはブレストでも同じで市場背景や数値データを共有しない、テーマの決まっていないブレストでは成果に繋がらないのと同じで、井戸端話でも背景が共有されてないとアイデアにはつながらない。

PDCAは大事だけれど、井戸端話はもっと大事かも。

PDCAサイクルを回すことはとても大事なのですが、計画したことを実行して改善するだけでは、そもそものプランとか計画したことからは抜け出せない。

そこでは、プランとか計画したことを改善するためのアイデアや工夫は生まれても、新しい発想や違う角度からの考えは生まれない。

不確実な時代とか、先が見えないとか、VUCAとか、いろんなことが言われますが、特にテクノロジーの進化が早すぎて数年先のことが見通せないようになっています。

「目的」一直線に戦略の改善を繰り返すばかりではクリエイティブに尖ることはできない、ということだと思います。

※決して勘違いしてならないのは、目的達成のためにゴールを設定し、より良い戦略を最短距離で走れるように具体的な戦術をマネジメントしていくことは仕事でもっとも重要であることには間違いないでしょう。ベースはもちろんそうなのだけど、ただ、それだけでは「次に行けない」ということですね。

ブレストがますます重要視されるのはそのためだし、デザインシンキングが脚光を浴びてユーザーを徹底的に観察し彼らのインサイトを追求するのも、

「無駄を省いた目的一直線!」「なんでもPDCA大好き!」だけでは現状から抜け出して次へは行けないからです。

ブレストやデザインシンキングをプロジェクトとして進めることもますます脚光を浴びると思いますが、忘れてはならないのは、日常の井戸端話です。

TAMのフレームワークであるPGST(Purpose, Goal, Staretegy, Tactics )は長年培った文化だし、我々にとってもっとも貴重な物の考え方・計画の作り方・進め方であることに一切の変わりはありません。

ただ、ちょっとした合間のスタッフ同士の談笑とか(昔は喫煙所とか良いコミュニケーションスペースがありましたが・・・)、ソファでの会話とか、ランチとか、もちろん、晩飯でも一杯やるでも、何でもokなのですが、井戸端話もPGSTに匹敵するほど貴重なものだと考えています。

井戸端話はデジタルに向かない、だからリモートワークは行き詰まる。

テクノロジーのお陰でどこででも仕事が出来ると考えている人は多いし、実際にリモートワークを実現してうまくやっている人も多いと思います。

ただ、HangoutやslackやskypeといったTVチャットツールは、アジェンダに沿ったミーティングには向いていても、議題なく話すことには向いていない。

生産性アップとか、効率化とか、とても大事なことだし、ミーティングはオンラインだろうとオフラインだろうと、アジェンダに沿って効率的に価値ある戦略を生み出さないとそれこそ時間の無駄なのは事実です。

ただ、1つのチームで井戸端話のないリモートワークだけでは、うまくいかない。

フリーランスとしてリモートで単発案件を受託するのはまったくokだし、海外のチームと協業するのはリモートワーク以外に方法がない。

ただ、井戸端話がないと、その仕事、そのプロジェクト、そこからはみ出すことはないし、いっしょに新しいことを生み出していくクリエイティブでオモシロイ化学変化も起こらない。

(つまり、セレンディピティも起こらない)

やっぱり井戸端話はリアルに限る、対面してあれこれ話しているからこそ、とっ散らかって新しいことが生まれてくる。井戸端話にデジタルは向かない。

なにより、相手が今何を考えているのか、相手の気持ちも掴みやすい。

相手と仲良くなるには、いっしょに仕事するか、飯喰う・酒飲むに尽きる、と言うのも頷けます。

だからリモートワークでも定期的に顔を突き合わせて、案件やプロジェクトのことだけじゃなく、井戸端話こそをすべきだと思います。おそらくその効果は絶大なはずです。

もっと井戸端話を!!

社内はもちろんのこと、社外の人も、それから仕事以外の人も、近所のおっちゃんおばちゃんも、誰に対しても井戸端話をもっともっと進めたい!

外交的とか内向的とかそういう問題とはちょっと違う。

1人で昼メシを食うのは気軽なのかもしれないし、忙しいときにはそうするしかないけど、できるだけいろんな人と井戸端話をする良い機会。

人と人が井戸端話を行えば化学反応が起こる確立は圧倒的に高くなる。

今回、ロンドン出張では、石野さんとの話も、紹介してもらった人との話も、現地のエージェンシーとのランチやディナーもみんな井戸端話がベースになって新しいことがいっぱい生まれたように思います。

それもこれも井戸端話のおかげ。

これからは、ますます井戸端話は大事になってきますよ。

※ロンドン出張から帰りはビジネスクラスを搭乗直前に超ディスカウト購入出来ので、飛行機でこのブログきました。

※~オンラインくじ引きでその日のあなたのランチ相手が決まる~【井戸端ランチ】社内アプリをサクッと作ってもらってやってみようっと。

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爲廣 慎二
FREE TAM

プロダクション・エージェンシー 株式会社TAM代表。TAMは「生きる力を鍛える場」として、自由な働き方と個人のキャリアづくりが共存できる組織を目指しています。「自由と厳しさ」を一人ひとりの経験・スキルと目指すべきキャリアに応じて柔軟に両立できる組織でありたいと思っています。