想像力で経験を超える

新人の矜持

最近、勤めている会社で人材を募集しているんですが、人材募集のFacebook投稿のシェアに添えて、ある先輩がこう述べていました。

最近よく思うのが結局は人なんだなと。何かをはじめる、進める時どうしても1人ではできない。能力が高くたって1人で完結することはない。
ならば、どう上手く人と連携できるか、巻き込めるか、チームを作れるかが大事で、いい関係性がつくれた時はいい結果になる。

確かに、はたらくということは、誰かと一緒に何かやること、チームでなにかを成し遂げようとすることなのかもしれません。ましてや、情報の流れが早く、専門領域の細分化している今の時代であればなおさらそうでしょう。あらゆるトレンドの最先端を追い続けるなんてできないし、自分ひとりで高い成果をあげることもできません。

これにピンとこない人は、Google検索すると「こんなことまで勉強してる人いるのか」と思った経験を思い出してみるとよいと思います。その道のプロ、というのは必ずいるし、その人たちにすぐにアクセスできてしまうのが今の時代です。

他の人の力を借りる、よいチームをつくるためには、自分もチームに対して何かの価値を還元する必要があります。自分のオリジナルな強みを発揮したうえで、誰かの強みを借りることが求められるのです。

では、まだ何も価値を還元できない新人は、どうすればいいのでしょう?

仕事は経験がものをいう世界です。繰り返しやったことはその回数分だけ上手にこなせるし、何より、「やったことがある」という事実は周囲に対して相当な説得力をもつから、強みとして認知されやすい。そして、だから一つの答えは、経験をひたすら積む、ということになります。

それはそれで間違っていません。しかし、どれだけ良い経験が積めるか、なんて誰にもわからない。そこ僕がおすすめするのが、ひたすら想像力をはたらかせることです。やったことがある状態をシミュレートすることで、物事を経験するスピードをあげるのです。

想像力をはたらかせるときは、より具体的に、と意識するのがコツです。そして、「具体的にする」という言葉はさらに分解できます。すなわち「より深く、遠く」です。

より深く

ある一定のシチュエーションで何が起こりそうかとにかく考える」ことが、ここでいう「深く」の意味です。

例えば、「明後日のプレゼンまでにクライアントに見せる資料を用意しといて!」と言われたとします。そのときまず考えるであろうことは、「誰に説明するのか?」「プレゼンで説明しなければいけないことは何か?」といったことでしょう。

さて、そこからが勝負。その会社はどこにあるのか?プレゼンは客先で行うのか、自社で行うのか、はたまたリモートで行うのか?モニターはいくつあるのか?配布資料は必要か?プレゼンに参加する人は何人なのか?会議室の広さは?参加者の年齢層は?とにかく詳細にイメージすることで、自分のやるべきことはよりはっきりとわかることになります。

とはいえ、こうしたことを考えるのにも一定の経験は必要だし、いくら想像しても及ばないことは当然あります。でも僕の個人的な体験からいえば、「仕事ができる」と言われている人ほど、この詳細な詰めができています。例えば資料の一言一句にこだわる人は、それを読んだ時の読者の心情をそれだけリアルに想像できているのです。

より遠く

「深く」考えることができたら、今度は時間軸を伸ばしましょう。つまり「ある一定のシチュエーションに対して、その先に何が起こりうるか考える」ことが、「遠く」考えるということなのです。

さっきの例でいうと、その会社で行ったプレゼンに対して、先方は何というか?イエスなのか、ノーというのか?ある部分にイエスというとしたら、それはどこであり、理由は何か?反対にノーと言った点についてはどうか?出されるかもしれない交換条件は何か?といったところです。

こちらは、ふつう「深く」考えるステップの先にあることなので、難易度は少し上がります。ある程度考えても分からなかったら、もうここは先輩に聞いてもいい部分なのかもしれません。


想像して、ひたすら想像していると、そのスピードはどんどん早くなります。もちろん、その分仕事をこなしているので、結果経験値がたまり、判断しなくても分かることが増えた…ということなのかもしれないですが。

でも、あるとき、「経験したことはないが想像はしていたこと」が起こることがあります。このとき、想像力が、経験を超えてます。その超えた部分こそが、自分にしか思いつくことのできない知見であり、価値であり、チームに成果をもたらすのです。