「現場」に行くとはどういうことか

僕たちが都会を飛び出して農場を訪ねた理由

東京駅からみた丸ノ内のビル群。

こんにちは!突然ですが、みなさんはいまどこで暮らしていますか?東京や大阪などの、いわゆる「都心」「都会」と言われる場所でしょうか。または、その周りにあるベッドタウンだったり、地方都市だったり、もしかすると、人口何百人単位の村だったりするのでしょうか。

僕は、今は東京都港区の会社で働いていて、住まいも中野区です。だから、日常生活の大半は東京23区内で完結しますし、(年に何回か実家の兵庫に帰るとはいえ)一年のうちほとんどは、都内で過ごしています。

そんな僕ですが、最近、ひょんなことから日本各地の農場を見学する機会に恵まれました。理由は、ひらたくいえば「現場」を知るため。というわけで今日は、僕が農場に行ってみて感じたことと、「現場に行く」ということの意味について、考えてみたいと思います。

きっかけは東京の地下街から

6月のある日、東京駅からほど近い地下街のスターバックスで、僕は近くの会社に勤める友人二人とミーティングをしていました。定期的に行っているそのミーティングのテーマは、「Animal Welfareについて」。Animal Welfareとは、ものすごく端的にいえば、「動物が幸福な状態」のことです(Animal Welfareについて、詳しくはこちらをご参照ください)。

同じミーティングに同席していた他の二人は、いずれも動物に対して真剣に向き合ってきた経歴の持ち主です。Kyohei Taniは、獣医学を専攻し、獣医師資格を保持しているし、こころは、大学時代、馬術部で4年間馬に乗り続け、いまでも週末には愛馬を訪ねます。本業で企画やマーケティングをしたり、プロジェクトマネジャーの端くれをやっている僕は、彼らの「Animal Welfareに関わる何らかの活動をしたい」という思いを形にするお手伝いをするため、週次で相談に乗っているのです。

その日はちょうど、Animal Welfare Food Community(略称AWFC。畜産農家を中心として結成された、Animal Welfare関係団体のひとつ)のシンポジウムに二人が参加してきた直後だったので、「畜産動物とAnimal Welfare」について話が及びました。AWFCに所属している農場の方々が動物をどう捉えているのか、経営についてどんな課題を抱えているのか…。そして、抱えている課題に対して、同じAnimal Welfareに関心を持つ僕たちにできることは何なのか?

しかし、畜産業を体験したこともない僕らには、考えられることに限界があります。たかつはもちろんのこと、ほか2人も上記のような経験はあるものの、普段は東京のオフィスで働く会社員。色々農場のことを想像して考えても、机上の空論感が否めなかったのです。

そこで僕たちは、週末を利用して農場を訪ねてみることにしました。現場に行かないと分からないことがある。現場を見たことがないなら、見に行けばいいのです。そこできっと見えてくるものもあるはず!

そして農場訪問へ

実際に訪問をお願いした農場は、AWFC立ち上げ発起人の方々が運営している農場6つ。山梨・北海道・八王子と各地を周り、採卵鶏・肉豚・乳牛と、様々な種類の畜産動物をみさせていただきました。

実際に農場に行ってみると、当然ですが得られる情報量がまったく違います。実際に目で見ると想像より大きい豚の姿、騒々しく鳴く鶏の声、畜舎や飼料、堆肥の匂い、搾乳所の機器の無機質な造り。農場ごとに受ける印象は全く違い、それはそれぞれの農場を経営する方々の個性を写しだしたかのようでした。

僕は、そこに美辞麗句で賞賛されるAnimal Welfareの姿があったわけでも、逆に、絶望的にAnimal Welfareの理念から乖離した姿があったわけでもないと感じました。結果的にAnimal Welfareの趣旨に合致することもあるだけで、基本的には、農場の方々が、自分たちと動物との関係はどうあるべきか、懸命に模索し、それぞれの哲学において、自分たちなりに信じるやり方を考えた結果でしかないのだと思います。その意味で、Animal Welfareという概念だけを入り口に農場の方々の課題を考えようとしていた僕らは、そもそも間違っていたのです。そのことに気づくことができただけでも、現場に行ってみた意味はありました。

北海道で見学させていただいた酪農農場の牛たち。

現場に行くことの意味。そもそも「現場」とは

さて、長々と農場に行った話をしてきましたが、ここで「現場に行く」ということの意味を改めて考えてみましょう。

おそらく、現場に行くということの意義は、「一次情報を得る」ということ、これにつきます。そしてその効果は、自分の主張の説得力が増すことです。

一次情報=実際に五感で感じたことは、自分の唯一無二の感覚として、強烈に印象に残ります。それはすなわち、自分しか知らない情報を手に入れることと、自分の頭のなかで色々なことを考えるきっかけを持つことを意味します。

その意味で、未知の場所に行って自ら情報を得るということは、すべて「現場に行く」と表現して問題ないでしょう。今回は、畜産農場の様子を見ることを「現場に行く」と表現しましたが、本来どんな場所だって、誰かにとっての「現場」なのです。

僕にできること

とはいえ、「現場に行く」って、難しいことです。自分の知らないところに行くのだから、それなりに下調べもいるし、遠方であればそれなりに準備も必要になります。そもそも、どこに行ったらいいのか分からないこともめずらしくありません。

じゃあ、僕にできることはなんだろうか。これを考えたときに、大きく2つ、思いつきました。

1つ目は、物事を企画し、プロジェクトマネジメントを生業にする者として、どこに行ったらいいのか、そして、どうやって行ったらいいのか分からない人を、「現場」に連れて行ってあげること。

2つ目は、デジタル業界で働く者として、様々な事情で「現場」に行く余力がない人に、インターネットとテクノロジーの力を借りて「現場」の様子を伝えること。

まずはAnimal Welfareという文脈で、様々な「現場」=動物たちと、関係する人たちの実際に触れることで、これらを実現していきたいなと、思っています。

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