【ゼミ論】PLATEAU LOD1 建物データをOSMにインポート!

こんにちは!

4年の吉田です。

今回は、2023年度ゼミ論の最終報告を行わせていただきます。

私のゼミ論のテーマは、昨年から取り組んできた「埼玉県新座市におけるPLATEAU LOD1 建物データをOSMにインポートする際の事前準備及びインポート作業」です。

本研究に至った詳細については、こちらの記事をご覧ください!

本研究では、誰でも編集可能な地図OpenStreetMap (以下OSM)の3D建物データの量的・質的向上を目的として、国土交通省主導の日本全国の3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を目指すプロジェクトPLATEAUのLOD1の建物データをOSMにインポートするという作業を行っています。

インポートを実施する地域はJA:MLIT PLATEAU/imports listを参考として埼玉県新座市とし、JA:MLIT PLATEAU/imports outline/manualに基づいて、PLATEAUデータのインポート作業を行います。加えてインポート作業の前段階に当たる「事前準備」の必要性及びその手順についても考察します。

事前準備の留意点

1. CityGMLデータを違う形式のファイルに変換する際のコマンドが実行されない

→citygml-osm開発者である林優氏に助言をいただきながら、OS・Javaの動作環境を変えながら検証した結果、

citygml-osmで利用されている”apache camel v2.25.4"がJava8,Java11にしかサポートされていないため

・Java 8

・Java 11

をインストールした環境下でしかコンバーターが動作しない、というJavaのバージョンが原因であったことが判明しました。

2. コミュニティへの事前告知

当初はインポート用のアカウント名をfuruhashilab4plateauimportとする予定であったが、共同アカウント的要素が含まれるアカウント名であったため、Yoshida_plateauimportとインポート用のアカウントを変更して作業を行うことに。

個人でインポート作業を行う際は、アカウント名に共同アカウント的要素を含まないように留意しましょう。

3. OSMのインポート用アカウントのプロフィール説明のところに「私のメインアカウントはこちら」「こういう活動(インポートのWikiページ)に関わっている」などを書く

インポート作業中、新しいアカウントでいきなり大量のアップロードを行ったことが原因で、 自動破壊行為防止スクリプトによってインポートアカウントがブロックされてしまいました。

この問題の解決法の一つとして、

インポート用アカウントのOSMプロフィール説明に「アカウントの説明やリンク」を記述しておくことが挙げられます。

また、このほかにも

建物データが少ない地域からインポートしていくのも一つの手として考えられます。

PLATEAUデータインポート

  1. コンバーターを使用して変換作業を行う際のツール

変換作業が、Powershellで実装されなかったが、コマンドプロンプトでは実装できたため、今回はコマンドプロンプトを使用してインポート作業を行っています。

2. 1st-validation, 2nd-validation

1st-validation:解凍したフォルダに含まれている ***.osm の妥当性検証

2nd-validation:コンバーターで***.org.osmに変更したファイルの妥当性検証

林優氏が中心となって行った、PLATEAUで公開されている各市町村のCity-gmlを***.osm, ***.org.osm, ***.mrg.osmに変換したデータファイルがPLATEAU-BLDG import taskに格納されています。

そこで公開されている新座市の***.org.osmの一部が開けないものがありました。

このような場合は***.org.osmファイル、***.mrg.osmファイルを削除し

$ java -Dfile.encoding=utf-8 -jar citygml-osm-jar-with-dependencies.jar 2nd

をコマンドプロンプト等で実行して新たに***.org.osmを作成すると正しく読み込まれるようになります。

3. エラー・警告のリスト化及び修正

1st-validation, 2nd-validation時に発生したエラー・警告のリスト化を行いました。

エラーの修正方法に関しては、Taichi Furuhashi先生にアドバイスをいただき以下の方法をとることとしました。

エラー:ウェイが同じ区間を二度含んでいる

修正方法

・outlineを削除し、飛び出したノードを隣のノードと結合させる

4. データアップロード

データをアップロードする際に帯域制限を超えたとの表示がでて、アップロードできない状況がありました(2024/1/20)

2024/1/23前後にOSMのWebサーバーがダウンしていたため、このような状態になったと考えられます

https://uptime.openstreetmap.org/から閲覧可能

5. OSMの埼玉県新座市にPLATEAUデータアップロード

アップロード前

Discussion

  1. 事前準備

JA:MLIT PLATEAU/imports outline/manualには記述がありませんでしたが、

  • 個人でインポート作業を行う際は、共同アカウント的要素を含まないようなアカウント名にする
  • インポート用アカウントの信用度を上げるために、OSMのインポート用アカウントのプロフィール説明に「私のメインアカウントはこちら」「こういう活動(インポートのWikiページ)に関わっているよ」などを記述する

等の事前準備が必要なことが判明しました。

上記は今後インポートマニュアルに追記しても良いのではないかと考えています。

2. 妥当性検証の重要性

今回のインポート対象地域であった埼玉県新座市では、1st-validation, 2nd-validationの段階で、他の市町村(東京都東村山市東京都西東京市長野県岡谷市長野県茅野市と比較)よりも明らかにエラー数が多かったです。

国土交通省が主導しているとはいえ、データにばらつきがある可能性大いにあります

→そのため、PLATEAUデータとOSMの既存データをマージさせる前段階で妥当性検証を行う1st-validation, 2nd-validationが重要になってきます。

3. インポート活動の現状

現在、PLATEAUデータインポートマッパー数はわずか7人です。

出典:https://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:MLIT_PLATEAU/imports_outline

OSMの既存データを尊重してインポート作業を行うため、誰でも作業できるというわけにも行かないが、マッピング歴今までの議論を見たかなど、条件を決めSNS等を使ってマッパーを募ることも将来的には必要であると考えます。

今回の私の研究が、日本の地図開発をより活発にする一助になっていれば幸いです。

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