少年 君の空撮データは何色だ!
〜 ドローンバード流・空撮データの命名規則 v2.01 (改訂版) 〜
よもやよもやだ!隊長として不甲斐なし!!穴があったら入りたい!!
古橋研究室と災害ドローン救援隊DRONEBIRDアドベントカレンダーをやります宣言をして、初日を飾る予定がまさかの締切過ぎた古橋です。
毎年恒例となってきましたが、今年も12月ということで、古橋研究室とDRONEBIRD隊員全員で、今まで取り組んできたことや技術ノウハウ、新しいアイディア提案などしっかりドキュメントに残す執筆月間として、腱鞘炎にならないように気をつけながらも今まで忙しさにかまけて書き留めきれていなかったことを積極的に記していきます。
初日は空撮データの命名規則についてです。
我々は空撮用ドローンを用いながら、日本全国津々浦々様々な地域で無人航空機を飛行し、静止画や動画を撮影しています。
しかも、原則DRONEBIRDは公開します。ライセンスは特別な理由がなければ CC BY 4.0 (ライセンスの詳細についてはまた別の機会に!)。
ということは、みんなで撮影したデータを見せ合ったり、Googleドライブなどでアーカイブしたり、何より、OpenAerialMap や GitHub、G空間情報センター、Google Earth Engine などのデータ共有プラットフォームに投稿する際に統一したデータの命名規則がないと、検索しにくいだけでなく、後々混乱の基になってしまいます。我々の撮影したデータが死蔵してしまうことは避けたい。そのために、可能な限りわかりやすく、扱いやすい共通のルールでフォルダ名やデータセット名、レポジトリ名等を共通化することが重要です。
とは言いながらも、今まで走りながら考えてきたこところがあり、今までのルールは2019年のアドベントカレンダーで事務局の @fairlaterfair がまとめてくれていました。
しばらくはこのルールで運用してきましたが、いろいろと課題が見えたきたため、若干の修正を加えた Ver. 2.0 ルールを公開します。
まだまだ完璧とは言い切れないかもしれませんが、課題や改良提案などはぜひこちらのIssueにお寄せください。
ということで、ドローンバード流・空撮データの命名規則 v2.0 (改訂版) は以下の表記となります。
[基礎自治体名][飛行年月日YYYYMMDD][地域名(字名)][飛行開始時刻HHMM][撮影者][個人別フライト通し二桁番号xx][機体省略名]
例えば神奈川県相模原市の高田橋で2020年11月10日 12時30分頃に古橋が Parrot Anafi を用いて撮影した1回目の空撮データは以下のようになります。
sagamihara20201110takatabashi1230furuhashi01anf
基本的に文字列と数字を交互に配置することで区切り文字をなくしつつも、それぞれの情報がメタデータとして分離できるようにしています。
では、空柱を目指して、重要な型を解説していきましょう。
# 空の呼吸・壱ノ型「基礎自治体名」
これは飛行場所の自治体名を意味します。複数の自治体をまたがって空撮したとしても、自治体名は一つに統一します(過去に併記する試みもありました)。また、都道府県名を記載すべきかいろいろと悩みましたが、できるだけ文字数を減らすことや、自治体の階層構造を複雑に管理したくないことから、基礎自治体名のみの記述としました。懸念されるのは同一名称の自治体ですが、東京都の特別区と政令指定都市の行政区は tokyo-kita とか yokohama-midori のようにハイフンを組みあわせて記述するのがよいと考えています。それ以外は実データに記録されている位置情報から察していただければ同一名称の自治体は区別可能と思います。が、もっと良いアイディアがあったら提案してください!
そうそう、言い忘れましたが、グローバルで通じるように原則半角の英語表記ヘボン式ローマ字でお願いします!
# 空の呼吸・弐ノ型「YYYYMMDD」
よく学生に指導するときにも使う表記ですが、YYYY=西暦4桁、MM=二桁月(1月は01、2月は02のように表記)、DD=二桁日(1日は01、2日は02のように表記)をそれぞれ意味します。20201201 と書けば 2020年12月1日を意味します。原則ローカルタイムを前提としますので日本国内であれば日本時間(JST)として、わざわざ世界標準時に修正する必要はありません。
# 空の呼吸・参ノ型「字(あざな)或いはランドマーク」
基礎自治体名だけでは、どのあたりで飛行したのかがわかりにくいため、字名や近くのランドマークなど、飛行場所を代表しやすい適切なエリア名をシンプルに記述してください。大字(おおあざ)でも小字(こあざ)でも、この表現はある程度自由度をもたせておいたほうが記述しやすいと思いますので、細かなルールは行いません。半角英語表記だけ気をつけてください。
# 空の呼吸・肆ノ型「飛行開始時間 HHMM」
今までの命名規則では、同じ飛行場所の違うメンバー同士がどの順番で飛行していたのか管理しようと、二桁の通し番号を試みていましたが、かなり記録が面倒であることから、飛行開始時間を4桁で記述する簡易ルールに変更しました。HHDDという形で、24時間記法で何時何分から飛行を開始したのか記載してください。この時間を比較することで結果的にどの順番で飛行したのかも管理できます。
またHHMMが 9999 の場合は、その飛行場所での全員に関わる情報を整理したポータルを意味します。(最初は0000を考えましたが、可能性は低くても0時0分に夜間飛行する可能性があるので9999に変更しました。)
# 空の呼吸・伍ノ型「操縦者名」
操縦者名は本名かアカウント名どちらでも個人識別できれば可とします。但し半角英数表記です。とくに個人情報に関わるので、気になる方はアカウント名での記載を推奨します。
一度決めた個人名表記ルールはできる限り変更しないでください。古橋は今後 mapconcierge に統一しようと思います。
# 空の呼吸・陸ノ型「飛行回数」
飛行回数は個人ごとのフライト番号を二桁で記述して下さい。1日に100回以上のフライトは現実的ではないので、二桁としましたが、三桁必要な事例が発生したら教えて下さい!
# 空の呼吸・漆ノ型「三文字機体名」
ドローンの機体名は、なんとなく業界の方々は「ピーフォーピー(P4P)」と言えば DJI Phantom 4 Pro とか、「エムツーピー(M2P)」と言えば DJI Mavic 2 Pro とか、それなりに通じるので代表的なドローンに関しては世界中の空港名と同様に3文字で表現できると考えています。より細かい区別(例えばRTKありとか)は追加文字でのオプション表記も考えていますが、この命名ルールは話が長くなりそうなので、また別の日程でアドベントカレンダーにて共有します。
DSC と言えば? そう Parrot DISCO ですね。EBE と言えば? SenseFly eBee ですね。 ほら、案外区別できます。もし不明の場合はxxxで仮定義しましょう。
# 空の呼吸・捌ノ型「接頭辞(せっとうじ)」
最後に、撮影データの中身の種類分けを行う際に接頭辞をつける場合があるので、それを知っておきましょう。
特に Googleドライブや GitHub レポジトリとして空撮データをアーカイブする場合は様々なデータが管理されているので、この接頭辞をつけておかないと検索がしにくいです。
まず OpenAerialMap 公開用に整理した空撮データセットは接頭辞 “oam_” をつけてください。これでほら検索しやすくなりました!
同様にドローン体験会などのワークショップで参加者が撮影したデータは接頭辞 “ws_” をつけてください。その他、地上での観測データとして、例えば360°パノラマデータを撮影した場合は “pano_” 、空撮ではなく通常のスナップ写真は “ph_” 、動画撮影データは “mv_” といった形で区別できるようにしていこうと思います。
ということで、いろいろと試行錯誤の結果から導き出したドローンバード流 命名規則 Ver. 2.0 のアイディアはライセンス CC0 で公開します。
最後に煉獄さんの台詞を借りて終わります。
俺は俺の責務を全うする!!ここにあるデータは誰も死蔵させない!!
この記事は 青山学院大学 古橋研究室 Advent Calendar 2020 と 災害ドローン救援隊DRONEBIRD Advent Calendar 2020 の12月1日分として作成しました。