Takehisa Sibata
5 min readJan 31, 2019

発達障害者の才能を就労につなげるには

1.発達障害者が何人か集まると・・・

https://melike-guide.jp/melikechise-works/

ミライク・チセさんという就労継続支援B型事業所のホームページである。3DCGの制作やウェブデザイン、イラスト制作、YouTuber育成に力を入れている福祉事業所だ。中には、プロ顔負けの実力を持つ利用者さんもいるとのことである。上記のウェブサイトに利用者さんの制作物が掲載されているが、本物のデザイナーの作品と遜色のない作品が掲載されている。

3DCGの制作の分野やデザインの分野では、プロ級の実力を持つ発達障害者精神障害者が時々、福祉作業所に通所しているケースがある。あるB型事業所の経営者の方と意見交換をした際には、

「利用者さんの中には、いきなり、モデリングを指導できるような方もいます。ただ、生活習慣が特殊で昼夜逆転しているケースや、疲れやすく昼寝などを取る必要があり、普通の会社では働くことができないため福祉施設を利用しています。」

とおっしゃってくださった。

ギフテッドワークス でも、

・語学に極めて堪能な方

・ブロックチェーンのプログラミングに関してはプロの腕前を持つ方

・デザインが得意な方

など、突出した個性、才能をお持ちの方が何人も入っている。40代、50代でプログラミングやデザインの勉強を始めても、プログラミングやデザインを習熟できるケースがあることに私も驚いている。

発達障害者が何人か集まると、必ず「うちの天才」「うちのギフテッド」という人材がいる。

2.草間彌生のケースに学ぼうー才能を伸ばす環境づくり

世界的な前衛芸術家として活躍する草間彌生。水玉模様をモチーフとした独特のアートを制作している。

草間彌生さんは、小さい頃から、動植物が話しかけてくる、視界が水玉や編み目で覆われるそうした幻覚が見えた経験があった。統合失調症と診断を受けた。繰り返される幻聴や幻覚から逃れるために幻聴や幻覚をモチーフとした絵を描いた。また、家庭では母から虐待を受けた経験もある。草間彌生にとって絵を描くことは、地獄から逃れることであり、命を懸けた行動であった。

16歳で個展に出品し、画壇で評価され、日本画を学んだ。ただ、古い画壇に失望し、その後ニューヨークに拠点を移し、前衛芸術家として頭角を表した。現在もクリエーターとして活躍している。

草間彌生には、医学博士の西丸四方がいた。西村医師は、草間彌生の1回目の個展で見た絵に感銘を受け絵を購入し、医学学会に紹介したり、白木屋百貨店で個展を開くきっかけをつくった。彼女の病魔が統合失調症だと診断したのも西村医師であった。

辛い経験があっても、自分を表現し続けたこと、良き理解者であり支えてくれる人を見つけられたこと、それが草間彌生の人生を切り開いたのである。発達障害の人には、信じられないような精巧な絵を描いたり、詩や小説を執筆したり、音楽教育を受けていないのに音を聞いて楽器を弾けたりする才能を持つ人がいる。

ただ、才能があるだけではなく、それを発掘し、外に紹介して繋げてくれる人を見つけることが人生を切り開くきっかけとなるだろう。

3 ポートフォリオ(作品集)を公開していくギフテッドワークス

テンプル・グランディン は、「アスペルガー症候群・高機能自閉症の人のハローワーク 」という著作の中で、以下のようなアドバイスをしている

・自分自身のポートフォリオ(作品集)をつくり、自分の仕事を見せること

・正規の採用ルートではなく、ありとあらゆる非公式なルートから労働市場に入る

・あらゆる才能を伸ばすこと

といったアドバイスをしている。

いかに作品集を作り、見せていくか、そしてそのポートフォリオを理解してくれる人を社会で見つけていくことが課題となるであろう。ウェブデザインを勉強し、しっかりしたポートフォリオがあるために就職につながったケースもある。

いかに、外に自分の制作物を公開すること、理解してくれる大人を見つけ仕事に見つけていくかが重要である。発達障害で成功している人には、周囲に理解してくれる人がたまたまいて、才能を伸ばしてくれた、就職先を見つけてきてくれた、というような体験を語る人が多い。

ギフテッドワークス では、3DCGやウェブ制作、プログラミング学習を行なっている。それ以外にも、マーブルあやこさんが発達障害の体験談を漫画にするといったプロジェクトが行われている。

https://manga.line.me/indies/product/detail?id=3052

また、マーブルあやこさんは、「THE クレーンゲーム」の作成にも携わっている。ツクヨミというVRコンテンツを制作する会社のウェブサイトに掲載されている。ツクヨミでは、受講生が開発に携わったVRが幾つか掲載されておる。

https://2943-vr.wixsite.com/tsukuyomi

ギフテッドワークス では、ただ、プログラミングやデザインを開発するだけではなく、プロジェクト化したり、実際に作品を掲載したりしている。また、取組に賛同し、受託開発案件を振ってくれる企業もある。発達障害者が優れたポートフォリオをつくり、発信していく場をつくっている。

引き続き今後はそうした取り組みを強化し、私たちの取組に賛同していただける人を増やして行きたいと考えている。