LGBTと発達障害ーダイバーシティを受け入れる空間を目指して
実は多い!?発達障害とLGBT
Necco Cafeという西早稲田にある発達障害・精神障害者向けのカフェでは、LGBT向けの当事者会が開かれている。実は、発達障害者に占めるLGBTの割合、逆にLGBTに占める発達障害者の割合は高いのではないか?ということが感覚的に言われている。医師・カウンセラーでも同様の見解を持つ方は多い。
セクシャリマイノリティと発達障害の関係
欧米では、発達障害者に占める性同一性障害の割合が高いのではないか、とする調査結果が複数例報告されている。
アムステルダムの診療所では、性同一性障害のの治療を受けている若者のうち7.8%が自閉症をスペクトラム障害と診断を受けていたとする調査結果が出ている。同様の調査結果が世界各地のジェンダークリニックでは、利用者の8〜10%が発達障害と診断を受けている。一方で、ジェンダークリニックの利用者のうち2割が自閉症と似た症状を抱えていることも報告されている。
また、自分自身の性のアイデンティティに違和感を感じる発達障害者は多いという調査結果が多く報告されている。1981年に行われた比較的早い時期に行われた調査では、30人の自閉症と診断を受けた児童のうち10%が性別に対する不快感を抱えたとのことであった。2010年以降、性の違和感と自閉症スペクトラム障害との関係性について体系的な研究が欧米各国で行われた。その結果、性別への不快感を感じた人のうち自閉症スペクトラム障害の人の割合が5%〜54%を占めていた。そのいずれの調査でも、一般の人より有意に高いことが示されていた。
また、エディンバラで開催された自閉症ヨーロッパ会議では、一般の人々より性の多様性が自閉症スペクトラムを抱えている場合は広いとする調査結果も報告されている。ラ・トローブ大学のマーク博士の研究によると、性的苦痛、両性具有、ジェンダーニュートラルの割合が高いことも示された。同会議では、無性愛者に占める自閉症スペクトラム障害の割合の高さやASDの女性が同性愛に関心を示す割合が一般の人々より高いことも示された。各国の調査結果は、自閉症スペクトラム障害に占めるセクシャルマイノリティの比率が一般の人々のそれより高いことを伺わせる研究結果であった。
なぜ、発達障害者になぜセクシャルマイノリティが高いのか。
自閉症スペクトラム障害を抱えている場合に、問題を固定的に考える傾向があり、その結果として自閉症スペクトラム障害を抱える子どもたちが性が間違っている、と自分自身を納得させるのではないか、という仮説がある。
また、自閉症を「極端な男性脳」とみなす考え方があり、そのため性的な違和感が発生するという仮説がある。自閉症スペクトラム障害の特徴である、論理的思考力、他人への興味・関心の薄さ、細部へのこだわりなどは男性の脳の特徴とも一致していて、それが極端になったのが自閉症ではないか、という考え方だ。そのため、性への違和感が発生しやすいという考え方だ。ただ、男性から女性への性転換を希望するケースなど反証例もあり批判もある。
また、自閉症スペクトラム障害の特性である周りへの関心の無さが、自由な発想をもたらし社会規範とは関係なしに性的な違和感を表明できるという考え方もある。
まだまだ、研究・調査が待たれるこの分野。とはいえ、現段階で言えることは、発達障害者が生きやすい社会を作るためには、あらゆるセクシャリティの人間にとって生きやすい社会をつくることでもあることだ。
ギフテッドワークスの取り組み
ギフテッドワークス にもLGBTであることをカミングアウトしている利用者さんもおりスタッフは相談できる体制がある。発達障害を抱えたLGBTの利用者も大歓迎である。
あらゆる偏りを活かして行くという考え方で、職員一同運営している。
ギフテッドワークス では、「スキルを身につけて就労する」ということを目標としており、スキルを身につけることで性的マイノリティ、障害を抱えていても就職できる、そうしたコンセプトで考えている。また、ギフリクの杢太郎さんは、発達障害者の外資への就職を勧めているが、その一つの理由に国籍・セクシャリティ・障害を問わないダイバーシティを掲げていることを挙げている。そうした環境では、日本社会では、「変わっている」「変な人」と言われる人も受け入れられるとのこと。LGBTと障害その両方でダイバーシティを掲げる企業への就労という考え方もある。
ギフテッドワークス は、渋谷区にあり、渋谷区は日本で初めて、同性パートナーシップ条例が施行された地域である。セクシャリティ、障害、年齢問わないダイバーシティで活力あるまちづくりの最先端を体現する福祉の取組として、ギフテッドワークス は今後も頑張って生きたいと思っている。