Blockchain Weekly Report|Week4, Jul. 2019

Sumire Ito
Ginco Research
Published in
10 min readJul 22, 2019

目次

1. 注目トピック

  • 市況・投資領域
  • 政治・規制領域
  • ビジネス・事業領域
  • 社会領域
  • プロトコル領域

2. その他のトピック

  • 市況・投資領域
  • 政治・規制領域
  • 社会領域
  • ビジネス・事業領域
  • プロトコル領域

注目トピック

市況・投資領域

仮想通貨は下落基調に逆戻りか

全体的に上昇を見せていた仮想通貨市場ですが、またもや下落に転じています。
22日5時時点のビットコイン(BTC)価格は約112万円と前日同時刻比で-4.7%の下落となっています。20日22時台から上昇が始まり、21日8時台には119.5万円を記録し、120万円まであと一歩のところでした。

(引用:CoinMarketCap “Bitcoin”

22日5時時点のリップル(XRP)価格は約35.3円と前日同時刻比で-3.1%の下落となっています。20日22時台から上昇を見せたリップルは、21日5時台に36.8円に到達していましたが、その後下落へと転じました。

22日5時時点のイーサリアム(ETH)価格は約2万4千円と同日同時刻比で-5.6%の下落となっています。21日1時台には2万5千円に到達していましたが、その後下落に転じました。

ビットコイン、日本時間午前10時が最もボラティリティの高い時間帯

仮想通貨分析企業ロングハッシュは、日本時間の午前10時(UTC時間午前1時)がビットコインのボラティリティが最も大きな時間帯であることを発表しました。 ロングハッシュが米国最大手の仮想通貨取引所コインベースを基に計算したところ、2017年7月6日から2019年7月2日の間、日本時間午前10時が他の時間より最も乱高下が見られる時間帯でした。

次にボラティリティが高かったのはアジアと北アメリカの取引時間が交差する時間帯で、日本時間の午前9時(UTC時間午前0時)でした。ロングハッシュは、アジアのトレーダーと西洋のトレーダーが同時に取引を積極的に行うことが要因ではないかとみています。

政治・規制領域

イギリス当局、暗号通貨規制に関する方針を発表

イギリス当局は、経済犯罪への取り組みを見直す方針を発表しました。発表によると、暗号通貨がマネーロンダリングやその他の不正行為に使用されないようにするための措置を講じる予定とのことです。

発表にあたり、ハモンド財務相は以下のように述べています。
「英国のマネーロンダリングと戦うシステムは、有数の厳格さを誇るが、それでも詐欺の被害に遭っている人が非常に多く存在する。この犯罪は、麻薬取引から現代版奴隷までのありとあらゆるものの活動資金となる。それは、わが国の金融システムに対する人々の信頼を根本的に損ない、経済成長に打撃を与える。政府、法執行機関、企業のリーダーを結束させることで、私たちは不正資金問題により取り組むことができ、英国が、事業運営や投資をする上で世界で最も安全な場所の1つであり続けることを保証できる」

日本、G7に先駆けLibraのワーキンググループを作成

日本政府はG7の会合においてLibraが議題に登ることを見据え、金融庁、日本銀行、財務省などからなるLibraやそれに対する規制について研究するワーキンググループを立ち上げたことが報じられました。 諸外国と比べ遅めの立ち上げとなっています。

尚、18日に開催されたG7会議で、議長総括はリブラについて規制対応や金融システムへの影響などで「深刻な懸念がある」としました。その一方で、多額のコストと手間がかかっていた従来の海外送金がより簡単になるなど、消費者にメリットがあることも明記しています。

社会領域

仮想通貨取引所ビットポイント、流出額約30億2000万円 海外でも約2億5千万円分流出

7月11日の夜、仮想通貨取引所ビットポイントが管理するホットウォレットから約33億円の仮想通貨が不正流出しました。 国内の被害額が約30.2億円相当(うち顧客資産約20.6 億円)、取引システムを提供する海外取引所でも約2億5千万円分が流出した発表されています。

16日の記者会見で小田玄紀社長は、「顧客の預かり資産の大半をコールドウォレットで保管し、ホットウォレットを利用するために必要な秘密鍵は暗号化して、複数人で管理(マルチシグネチャー)していた。それでも、その秘密鍵は何者かによって窃取され、その暗号は解読され、仮想通貨は引き出された」と述べています。

12日午前、ビットポイントは仮想通貨の取引や受送金を含むすべてのサービスを停止し、警視庁に被害相談を行いました。ウォレットなどにおけるセキュリティを確保した後、流出被害の対象者に現物(仮想通貨)による払い戻しを行う予定です。

IMF、デジタルマネーに関する論文「The Rise of Digital Money」を発表

国際通貨基金(IMF)はデジタルマネーに関する論文「The Rise of Digital Money」(電子通貨の台頭)を発表しました。

テクノロジー企業と大手銀行やクレジットカード会社の金融に関連した競争や、法定通貨と電子通貨との金銭的価値を巡る争いを分析しています。そしてテクノロジー企業が金融に持ち込む技術や電子通貨のメリットとリスク、普及に伴って発生する可能性が高い規制上の問題や懸念を取り上げて特定し、論文として4部構成でまとめた内容となっています。

ビジネス・事業領域

Apple共同創設者Steve Wozniak氏が、マルタにエネルギー関連のブロックチェーン企業を設立

Appleの共同創設者のSteve Wozniak氏がマルタ島にエネルギーの効率的利用を目標とするブロックチェーンスタートアップEFFORCEを共同創業しました。 同社はエネルギーにかかる費用の節約だけでなく、同氏自身も重要視する環境保護に役立つことも目指しています。ブロックチェーンは、消費者が習慣を変えることを必要とせずに、エネルギー利用の改善と消費削減を実現すると述べています。マルタ島での設立においては、マルタ政府のブロックチェーンに対する熱意が重要な要因になったといいます。

Microsoft、Tomia、R3、テレコム向けの決済システムを作成

Microsoft、R3とテレコム企業のTomiaは、共同で携帯電話などテレコム向けのブロックチェーン決済システムを作成したことを発表しました。 キャリアと携帯電話事業者間で円滑に利用料の決済ができるようにするためのもので、5Gの導入を見据えたものだといいます。

プロトコル・インフラ領域

仮想通貨Zcashから新規ブロックチェーンYCashがフォーク

(引用:FINTIDE 「Zcash」

取引の匿名性に特化した仮想通貨Zcash(ZEC)から新しいブロックチェーンとして「Ycash」がフォークすることが判明しました。 ファウンダー報酬の引き下げやAISCマイニング耐性を目的としたアルゴリズムの微調整を行うとのことです。

Binance Chainがアップデート

バイナンスがDEXのために作成した独自ブロックチェーン「Binance Chain」のアップデートが行われました。 マッチングロジックの変更や、取引リストのバリデータによる変更が可能になる、資産のタイムロック機能などが追加されました。

その他のトピック

市況・投資領域

  • Binanceは顧客資産のStellar(XLM)によって9,500,000XLM相当のステーキング報酬を意図せず得ていたことを明らかにしました。 これらは、7月20日から8月中の毎日のXLM保有額に応じて顧客に配分することを発表しました。

政治・規制領域

  • 仮想通貨取引所ビットメックスからのビットコイン(BTC)の資金流出学が流入額を大きく上回っているとして、米商品先物取引委員会(CFTC)が調査しています。約13億円の流入額に対し、約89億円のビットコインがビットメックスから流出していたといいます。
  • 米下院議員たちは、国内の大手テクノロジー企業による仮想通貨などの発行を妨げるための法案について協議しています。 仮想通貨に関心を示す大手テクノロジー企業に対する監視を強めようとしているようです。
  • インドの財務大臣Anurag Thakur氏は議会で、「仮想通貨を明確に禁止する法律はない」と述べ、仮想通の所持そのものではなく税法や中央銀行に関する法などの既存の法律に違反した場合のみ違法となると強調しました。

社会領域

  • 仮想通貨版SWIFTを日本の金融庁・財務省が中心となり数年以内に作ることが国際的に承認されました。
  • 中国東部の警察は、電気使用量の急増を受け、ビットコインマイニングの施設を摘発しました。 警察は、マイニング企業が約2000万元(約3億1400万円)相当の電気を盗んだとし、4000に上るマイニング機器を押収しました。
  • ロシアの仮想通貨取引所WEXの元CEOで40億ドル以上のマネーロンダリングに関わっていたDmitry Vasiliev氏が、逃亡先のイタリアで逮捕されました。
  • 世界で100以上の政府機関や民間企業へ侵入し、大きな被害をもたらしたランサムウェアが中国で検出されました。
  • 元Microsoftの社員が暗号通貨を盗難したとして逮捕されました。 100万ドル相当の暗号通貨を盗み、16万ドルのTesla車と170万ドル相当の家の購入に利用されたとのことです。

ビジネス・事業領域

  • Binanceが、英ポンド建てのステーブルコイン 「Binance GBP(BGBP)」をサポートしたことが発表されました。
  • Huobiが、米ドル建てのステーブルコイン 「HUSD Token」を発表しました。 EthereumのERC-20トークン規格で、米国の資産管理資格を持つ企業Paxosが後ろ盾となります。

プロトコル・インフラ領域

  • Tetherは、プルーフオブステークで動く独自ブロックチェーンであるAlgoland上で通貨を発行することを発表しました。
  • イーサリアムの共同設立者であるVitalik氏は、イーサリアムネットワークのスケーラビリティ問題に対する一時的な解決策として、Bitcoin Cashのチェーンを使用することを提案しました。
  • 韓国大手電機メーカーのSamsungは、他6社と提携しブロックチェーンベースの証明書とID認証ネットワークを開発することを発表しました。 同サービスにより、顧客は個人情報を自身で管理できるようになるとのことです。

ブログを移転しました!(2019/08/15追記)

最後までお読みいただきありがとうございます。Ginco Researchはブログを以下に移転しております。引き続きブロックチェーン業界の動向や週次・四半期ごとのレポートを公開しておりますので、ぜひこちらもご覧ください!

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