Blockchain Weekly Report|Week3, Jun. 2019
目次
1. 注目トピック
- 市況・投資領域
- 政治・規制領域
- ビジネス・事業領域
- プロトコル領域
2. その他のトピック
- 市況・投資領域
- 政治・規制領域
- ビジネス・事業領域
- プロトコル領域
注目トピック
市況・投資領域
ビットコイン価格が高騰
ビットコインの価格が100万円近くまで高騰(2019年6月18日現在)と13年ぶりの高値を記録しました。今週のビットコイン相場の流れにより今後のビットコイン市場の動向が判明すると予想されています。Crypto New Mediaの分析によると、1)先週末EUR/USD為替相場は下落傾向にありましたが、USドルが上昇するとBitcoin相場は下落しました。2)価格の変動チャートを見ると、変動のギャップが大きいことが分かり、これは次に暴落の波が来る可能性を示しています。ビットコイン市場にとって注目の週となっています。
※下記のビットコインチャートは2019年6月18日現在のものです。
Fnality International、6320万ドルを調達
ロンドンを拠点とするブロックチェーン・プロジェクト「Fnality International(ファイナリティ・インターナショナル)」は、MUFGやNASDAG、 Credit Suisse、Banco Santander、UBSなどを含む計14のファンドから6320万ドルを調達しました。複数の国の貨幣をバックにした独自の仮想通貨(USC)を発行し、DLT(分散型台帳)の上でそのやり取りを管理し、決済・交換の流動性向上を図っています。
プロジェクトの目的は主に国際的な銀行市場における決済手段を生み出すことで、効率性・安全性の高い非中央集権的金融インフラストラクチャーの開発を目指しています。CEOのRhomaios Ram氏は元ドイツ銀行出身で、同行を22年勤めた経験があります。アドバイザーには元スイス銀行・BIS銀行のDaniel Heller氏が名を連ねるなど、大型の金融機関からの資金調達を成功に導くことのできる経歴を持つメンバーが集結しています。
政治・規制領域
香港のデモとビットコイン
香港で大規模なデモが続く中、ビットコインの「香港プレミアム」が発生しています。香港拠点の仮想通貨取引所TideBitのビットコイン価格は7万2000香港ドル(約9360ドル)に上っており、香港政治の不透明性に対する嫌気から仮想通貨ビットコインの逃避資産としての需要が高まっているようです。
インドで仮想通貨の禁止が目前に
インドでは、仮想通貨の禁止令に対する草案(懲役10年)が議会に通されています。この草案は「仮想通貨の禁止と公式デジタル通貨の規制法案2019」と呼ばれており、インド政府の大臣の間で確認が取られていますが、財務省経済局(DEA)、直接税中央委員会(CBDT)などから構成される委員会は、この草案に賛成し、「すべての仮想通貨の購入、売却、発行の禁止」を支持しているといいます。インド政府の仮想通貨規制をめぐっては、話が二転三転していました。昨年12月、インド政府が仮想通貨は合法化されるべきだと考えていると報じられ、今年2月には、インドの最高裁判所が1ヶ月後までに規制当局に対して仮想通貨に対する姿勢を明確にするよう求めました。そして昨年4月、中央銀行が銀行に対して仮想通貨取引を行う個人や企業へのサービス提供停止を命じました。
社会領域
Telegram、サイバー攻撃を受ける
米大手メッセンジャーアプリ会社Telegramは、12日夜、中国発とみられる大規模なサイバー攻撃を受けていると発表しました。同社最高経営責任者(CEO)のパーベル・ドゥロフ氏は、攻撃は香港で起きている大規模なデモと関連性があるとの認識を示しました。ドゥロフ氏によると、12日に同社サーバーは非常に強力な「DDoS攻撃」(Distributed Denial of Service 、分散型サービス妨害)を受けました。サーバーに送られてきた大量のリクエストのほとんどが中国から発信されたものだといいます。サイバー攻撃で複数の地域でシステム障害が発生したが、数時間後に回復しました。
(出典:Telegram)
スペインで、マネーロンダリング疑惑35人を逮捕
スペインの法執行機関が、キャッシュカードの偽造、また仮想通貨ビットコイン(BTC)を介したBTCで100万ユーロ(約1億2000万円)以上マネーロンダリング(資金洗浄)を行った容疑で35人を逮捕したことを現地メディア「ラ・ベルダ」が6月14日に報じました。合計1020件以上のサイバー犯罪も確認されました。
犯罪組織は、電子メールによるフィッシング詐欺、キャッシュカードの磁気情報を盗み取りカードを複製する「スキミング」、金融機関を識別する銀行識別番号(BIN)と既知の有効なカードとを比較することで新たなカード番号を生成する「BIN攻撃詐欺」という3種類の手法を用いていました。容疑者は赤道ギニア、スペイン、ナイジェリア、カメルーン、モロッコなど出身でした。被害者はスペインで合計219人、さらにイスラエル、デンマーク、ドイツ、フランス、ギリシャに計20人に上ります。
ビジネス領域
野村ホールディングス、ブロックチェーン技術を有価証券売買に適用するための子会社設立
野村ホールディングスと野村総合研究所は6月14日、ブロックチェーン技術を活用した有価証券等の権利を交換する基盤の開発・提供を行う合弁会社の設立について合意しました。今年8月をめどに設立予定の合弁会社は、ブロックチェーン技術によって有価証券等の権利を交換する基盤の開発と提供(コンサルティング、ITサービス提供等)を行います。設立から3年間で24億円程度の拠出を予定しています。
Bakktが、7月22日にビットコイン先物取引開始に向けたユーザーテストを実施
インターコンチネンタル取引所(ICE)率いる機関投資家向け暗号資産プラットフォームBakkt社は、ビットコイン先物開始に向けたユーザー受け入れテスト(UAT)を7月22日に開始することを発表しました。ビットコイン現物先渡し先物を提供する方針で米CFTC(商品先物取引委員会)の認可待ちとなっていたBakktは、7月をもって試験段階に移行します。NY証券取引所の親会社にあたるICE(インターコンチネンタル・エクスチェンジ)が運営する先物取引所ICE Futures U.S.で取り扱いを予定しています。
CFTCから認可が下りた後には、毎日決済と限月決済のビットコイン先物取引として、米国規制当局から認可される取引所で取り扱われる予定だ。Bakktの先物公開による期待感には、以下のような理由が挙げられます。
- ICEのプラットフォームで取引が行われる点(金融投資家の利用につながる)
- 日間の現物先渡し先物取引を提供するため、実質的な現物取引のBTC取引が可能になる
- 不正取引を排除した透明性の高い仮想通貨金融商品が取引される
- 指数提供なども行なっているICEのシステムを利用した派生金融商品の開発も活発になる可能性
- 第二フェーズ以降に控えるビットコイン決済へ一歩進む(スタバなどと共同)
なお日本時間13日午後10時頃に行われたBakkt社の発表を受け、ビットコイン価格は投資アナリストから重要視されていた8,200ドルの心理的節目を突破しました。現在も上昇を維持しています。
Bloombergとギャラクシー・デジタルが仮想通貨インデックスをローンチ
- 米ファイナンシャルメディアBloomberg(ブルームバーグ)がデジタル資産運用会社のギャラクシー・デジタル・キャピタル・マネジメントと共同で、「ブルームバーグ・ギャラクシー仮想通貨インデックス(BGCI)」を設立したことを発表しました。BGCIは仮想通貨市場の中で最大規模かつ最も流動性の高い通貨のパフォーマンスを追跡する時価総額加重型のインデックスであり、仮想通貨市場初の機関投資家向けのベンチマークを提供しています。パフォーマンスを評価するのは、ビットコイン、イーサリアム、モネロ、リップル、ジーキャッシュをはじめとした米ドルで取引される10種類の仮想通貨です。
(出典:Bloomberg Professional Services[「ブルームバックス・インデックス・仮想通貨」](https://about.bloomberg.co.jp/product/indices/))
プロトコル領域
サムライ・ウォレット、ビットコインノードデバイス発売を発表
プライバシーを重視したビットコイン用モバイルウォレット「サムライ・ウォレット(Samourai Wallet)」は、フランスのハードウエア小売業者Nodlと提携し、サムライ・ウォレットと同期する、ビットコインノードデバイスを年内に発売する予定であることを発表しました。この新製品は「ビットコインおよびライトニング用の自己検証型のフルノード」であり、サムライ・ウォレットのサーバーに依存せずに、同社のモバイルウォレットアプリを使用できるようにします。また、Nodlの既存のノードも、デバイスをアップデートすることで、サムライ・ウォレットのソフトウエア「ドウジョウ(Dojo)」を追加することができるようになります。ドウジョウには、元の資金源を分かりにくくするために、複数のウォレット内のビットコイントランザクションをひとまとめにする「ワールプール(Whirlpool)」機能が備わっています。
Zilliqaにスマートコントラクト機能が実装
6か月前にメインネットが稼働を始めたZilliqaが、スマートコントラクト機能を実装したことを公式ブログにて発表しました。開発者は安全に設計されたスマートコントラクト言語であるScillaを使用して、Zilliqaブロックチェーン上にスマートコントラクトを作成し、デプロイすることができるようになります。
その他のトピック
市況・投資領域
- 米国CBSニュースがビットコインに関しての特集を放送した後、取引所Geminiが収益を上げ、ビットコインの価格が上昇しました。
- ビットコインの高値が報告されたのち、ビットコインの先物取引が急騰したことが判明しました。匿名のアナリストは、BTC価格の急騰は[16,000ドルに到達]すると予測](https://cryptonewmedia.press/2019/06/16/anonymous-analyst-that-predicted-bitcoins-price-surge-says-it-could-reach-16000/)しています。
- ビットコインの価格が2020年8月までに60,000ドルに到達することが予測されています。
- アンプルフォースは13日、香港の仮想通貨取引所Bitfinexが運営するIEO(先物取引)プラットフォーム「トキネックス(Tokinex)」でAMPLトークンを販売し、11秒で490万ドル(約5億3000万円)を調達したと発表しました。今回のIEOでは総トークン供給の10%を売却しました。
- イーサリアムのノード数が半年前より2,000個減少したことが判明しました。昨年の価格下落を受け、多くのイーサリアムビジネスが運営を取り辞めもしくは縮小化したのではないかと予測されています。
- リクルートホールディングスのコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)が、仮想通貨の決済処理能力を上げるライトニングネットワーク対応のウォレットを開発するイスラエルのブリーズ(Breez Development Ltd.)に出資しました。
- 日本初のブロックチェーンゲーム「Crypt-Oink」が英語圏の市場にも拡大することが判明しました。豚を育てレース出場させるゲームです。
- 全米リアルター協会(NAR)のベンチャーキャピタルファームはブロックチェーンベースの不動産ベンチャーPropyを買収しました。
政治・規制領域
- 米国の規制当局と法廷闘争を行っていた仮想通貨取引所BitfinexとBittrexは顧客への情報提供の要請を強化しました。
- G20は仮想通貨を利用したマネーロンダリング対策やテロ資金対策に向けてFATF声明を新たに更新しました。
- ブロックチェーンプラットフォームを開発するUniversa Platformは、ツアリズム強化に向けシベリア地域と提携したことを発表しました。
- フィリピン中央銀行は、テロ資金収集等を例を基に仮想通貨の危険性を忠告しました。
- 米国ロードアイランド州は政府へのブロックチェーン技術の導入を承認すると見られています。
社会領域
- Tron blockchain創業者のJustin Sun氏は投資家Warren Buffett氏との食事に400万ドルを落札したことが判明しました。
- 仮想通貨情報と金融指数を提供するCryptoCompare社が、仮想通貨取引所のベンチマーク企業を世界中から100社挙げました。判断基準は地理的要因、法律や規制への遵守、投資、会社とチーム、情報提供、市場価値、トレード監視等です。
- ビットコインを代替しより強い匿名性を担保する「Zerocoin」社員が、契約条件であった1,500株の従順を発行しなかったとしてZerocoin社を提訴しました。
- Satoshi Nakayamaを名乗るオーストラリア人起業家のCraig Wrightに対してフロリダの裁判所は、ビットコインの手持ちを証明するよう要求しました。
- 類似した社名を持つブロックチェーン企業Ownum LLCとOwnum Inc.間でドメインに関しての法廷争いが起きています。
- 2017年11月ぶりに、ビットコインのアクティブアカウント数が100万個を超えました。
- 投資家保護や証券取引の透明性の確保、不正行為の摘発などを目的に証券会社などの行動を監視・規制する米国組織FINRAは、未申告の仮想通貨マイニングを行ったとして元メリルリンチのアドバイザーに停職・罰金命令を出しました。
ビジネス・事業領域
- 米国大手企業PayPal, Uber, Visaらがfacebookのステーブルコインの開発を支援しています。各社1,000万ドル程の投資を行いました。
- メッセージアプリのテレグラム(Telegram)が発行した独自トークン「グラム」が一般公開されます。仮想通貨取引所のQUOINEを傘下に置くリキッドグループが7月10日から、独占的に販売を行います。過去2回のプレセールでは、調達金額は1.7Bドル(約1800億円)になっていました。
- 世界最大の仮想通貨取引所Binanceは米国市民の取引を全面禁止しました。
- エストニアの金融テクノロジー系スタートアップ社Crypteriumは仮想通貨支払いのカードを発表した。世界中で使える仮想通貨支払いカードは世界初です。
- Facebook社が仮想通貨発行に向け、イギリス・スタンダードチャータード銀行のロビイストを雇用したことが判明しました。
- Facebook仮想通貨発行に伴う個人データ処理の懸念から、少なくとも3つの仮想通貨パートナーを失いました。Facebookは、個人の金融取引データを一人一人のfacebookプロフィールと結びつけ、それらの情報はfacebookの管理下に置かれると見られています。
- モバイルウォレットを提供するBRD社はWyre社と提携し、銀行の送金を介してbitcoin, ethereum, and Dai等の仮想通貨を購入可能にしました。米国1,700の銀行で利用可能となります。
- 米国大手小売Walmartは新たにブロックチェーン技術を用いたサプライチェーンプロジェクトに参入しました。
- Visaは、銀行同士での直接決済を可能にするブロックチェーン決済システムB2B Connectを発表しました。
- 国際貿易の促進に向け IBM社とMaersk社が開設したブロックチェーンプラットフォームがロシアにローンチ予定です。
- Googleはイーサリアムによるハイブリッドアプリを開発するChainlink社と提携し、Googleのクラウドサービスを利用しながらブロックチェーン外からの情報を統括することを許可しました。
プロトコル領域
- イーサリアム2.0はVitalik Buterin としてスケーラビリティやコンセンサスアルゴリズム問題の解決を試みているが、一つのチェーンから次へと移行していくシステムはハードフォークと類似しているようです。
- MakerDAOの統計によると、イーサリアムベースのステーブルコインDaiが大きな成長を示したことが判明しました。
ブログを移転しました!(2019/08/15追記)
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