今週の GCP 7/30

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20 min readAug 6, 2018

訳者: @apstndb, @nagachika

この記事は Google Cloud の DevRel の @alexismp による TWiGCP — “Special Cloud Next ’18 Announcements” の日本語訳に各参照先の記事の説明となる訳注を加えたものです。実際に読む記事を選ぶ際の参考にお使いください。

なお本文中にあるように原著者が夏季休暇とのことなので次回更新は週を開ける予定です。

あなたが二万五千人の Google Cloud Next ’18 の参加者の一人であるかどうかに関わらず、全ての発表についていくのは難しいでしょう。なのでここに GCP と実務家視点でのカンファレンスの要約を用意しました。

「開発者視点の発表」コーナー:

  • Cloud Build, クラウドでビルドとテストをできるフルマネージドな CI/CD プラットフォーム。 (訳注: 以前 Container Builder と呼ばれていたプロダクトが Cloud Build にリネームされ、 GCP のフルマネージド CI/CD プラットフォームという位置付けになりました。各プロダクトと連携し、テスト、ビルド、デプロイなどをコンテナイメージで実行されるステップを組み合わせることで定義できます。)
  • Cloud Build and GitHub integration. あなたの GitHub コードリポジトリに CI プロセスを追加しましょう。 (訳注: GitHub とのパートナーシップの元、 GitHub Marketplace から直接 Cloud Build とのインテグレーションを有効にできるようになりました。)

「Compute Engine の発表」コーナー:

  • Intel Optane DC Persistent Memory を使った Compute Engine で SAP HANA のワークロードを走らせるための Intel と SAP との三社協業。(訳注: SAP が対応する不揮発性の永続性メモリである Intel Optane DC Persistent Memory を Compute Engine 上で利用可能にすることが発表されました。更に大容量のインメモリデータベースやリストアの速さなどが実現され、 Compute Engine のライブマイグレーションも提供される予定であり、アルファテストを希望する利用者向けのフォームが用意されています。)
  • Google Compute Engine resource-based pricing model (訳注: 全てのマシンタイプの料金設定が vCPU やメモリの量を元に定義される resource-based pricing が数ヶ月後から適用開始だと発表されました。 Compute Engine ではマシンタイプごとに個別に価格設定がされていたことで、スケールアップなどのマシンタイプの変更時には sustained use discounts の集計期間が途切れてしまう問題がありましたが、resource-based pricing が適用されてからは継続されるようになります。)

「あなたのための GCP のストレージとデータベースソリューション」コーナー:

  • Google Cloud パートナーの専用ハードウェアを使い Oracle workloads を GCP 上で走らせます。 (訳注: GCP のネットワークから直接利用可能なフルマネージド Oracle データベースのサービスがパートナーから提供予定です。)
  • Cloud Firestore beta は GCP コンソールに入り、近日強い整合性を持つ Datastore モードを提供します。 (訳注: Cloud Firestore はベータリリースが開始してから Firebase コンソール側からしかアクセスできませんでしたが、 GCP コンソール側からもアクセスできるようになります。また、現在 Cloud Firestore がクライアントサイドアプリケーション向けに提供している Native モードとは別にサーバサイドの NoSQL データベースとしてCloud Datastore の完全上位互換となる Cloud Firestore Datastore モードが追加されることが発表されました。既存の Cloud Datastore のアプリケーションに対してエンティティグループ由来の制限からの解放や全ての操作での強い整合性を提供し、将来的には全ての Cloud Datastore データベースが Cloud Firestore にライブマイグレーションします。)
  • Cloud Bigtable でゾーンを跨ぐ Regional replication が利用可能です。 (訳注: Cloud Bigtable のリージョン内レプリケーションが GA になりました。同一リージョン内のゾーンにある2つのクラスタ間で自動的にレプリケーションが行われる Cloud Bigtable インスタンスを構築できます。自動フェイルオーバー可能な複数クラスタのルーティングポリシーを適用した場合、従来よりも高い SLA が適用されます。)
  • キーアクセスパターンの割り当てによるパフォーマンス問題をデバッグするための Key Visualizer for Cloud Bigtable のベータ (訳注: Cloud Bigtable のキースペース内での負荷やデータの偏りを可視化する key visualizer ベータリリースが利用可能です。)

「IoT はより広まり賢くなる」コーナー

  • Edge TPU, これは TensorFlow Lite の ML モデルを走らせるために設計された小さい ASIC チップです。 NXP ベースの開発キットが10月に提供予定です。 (訳注: TensorFlow Lite のモデルの inference に特化したエッジデバイス向け ASIC チップ Edge TPU が発表されました。開発用キットが10月に発売開始予定とのことです。)
  • 新しい AIY Edge TPU Boards (訳注: AIY Kit に Edge TPU を搭載した Edge TPU Boards も登場予定(上の記事の開発用キットと同じもののこと? リンク先には USB Type-C 接続するタイプの Edge TPU Accelerator も今秋に登場としてあります。)
  • Cloud IoT Edge は Google の AI をゲートウェイとコネクテッドデバイスに提供します。 Android Things と Linux で動きます。Runs on Android Things and Linux (訳注: Cloud IoT Edge が発表されました。実体は未だ明らかではありませんが、従来から GCP にあった IoT デバイスとの通信機能を提供する Cloud IoT Core というサービスの対向側、エッジデバイスでの ML モデルの活用を中心としたアプリケーションの開発を支援するライブラリ群を含むフレームワークのようなもののようです。 AndroidThings をベースとして、Cloud IoT Core との通信用のライブラリ、エッジデバイス上で TensorFlow Lite の ML モデルを利用するためのライブラリ、Edge TPU などのアクセラレーターのドライバなどのコンポーネントを含むフレームワークの総称と思われます。)

「AI と ML の発表」コーナー:

  • [Beta] Cloud AutoML は今や全ての人に利用可能にです。更に(Vision に加え) Natural Language と Translation に拡張されています。 (訳注: Alpha として非公開テスト中であった Cloud AutoML Vision がベータとなり一般公開されました。独自のデータから画像分類の ML モデルを自動的に構築してくれるサービスです。さらに独自の文章の分類モデルを構築できる AutoML Natural Language, 翻訳モデルを構築する AutoML Translation もベータ版が公開されました。)
  • [Alpha] TPU v3 and Cloud TPU Pods and for Cloud ML Engine (訳注: TPU Pods および最新版の TPU v3 を Cloud ML Engine から利用する機能が Alpha として提供開始されました。と本文にはありますがリンク先のブログ記事には Cloud TPU でのアルファ公開とあるだけで ML Engine との連携については触れられていません。)
  • Google partnership with Iron Mountain (訳注: Iron Mountain との協業を発表。同社の Iron Cloud のデータストレージと連携したデータ分析やAIを活用した価値創造のために Google Cloud のテクノロジーを活用したサービスを今年9月より提供予定だそうです。)
  • Dialogflow-based Contact Center AI (訳注: コールセンターの効率化をサポートする Contact Center AI が発表されました。フォームからの申込みが必要なため詳細は不明ですが、単機能のサービスというよりは Dialogflow をベースとして自動応答仮想エージェント、人間のオペレーターへの振り分け、オペレーターのサポートなどの機能を既存のコールセンターのシステムに統合するソリューション提供するもののようです。)

「BigQuery 単体の発表セクション」コーナー:

  • BigQuery recap blog (訳注: BigQuery 関係の発表の要約記事です。)
  • [Beta] BigQuery ML, 新しい機械学習のモデルを BigQuery から SQL で直接つくることができる新機能です。 (訳注: BigQuery の SQL 拡張として直接機械学習のモデルを学習、使用できるようにし、機械学習を民主化する新機能の BigQuery ML のベータアナウンス記事です。現時点では線形のモデルのみが提供されますが、将来的には異なるモデルが使用可能になることが計画されています。)
  • [Beta] Sheets data connector for BigQuery (訳注: Google Sheets から直接 BigQuery の SQL クエリを使って連携することができる機能のベータテストの申込みが始まりました。)
  • [Alpha] BigQuery GIS (訳注: BigQuery で地理データの型および関数を SQL/MM Spatial 標準に近い方法で扱うことができる BigQuery GIS と、 Google Earth Engine チームとの連携で開発した地理データの可視化ツールである BigQuery Geo Viz が発表され、アルファリリースへの申込みが始まりました。)
  • [Alpha] BigQuery Clustered Tables — より高速なクエリのために共通するキーで行をグルーピングします。 (訳注: BigQuery 上のデータを特定の列の値でクラスタリングすることで集計などのクエリを高速化する Clustered Table のアルファリリースが発表されました。なお 7/30 付けでベータリリースされています。)

「さらに GCP の Big Data」コーナー:

  • [GA] Cloud Composer (based on Apache Airflow) (訳注: Kubernetes Engine 上でフルマネージドな Apache Airflow を提供する Cloud Composer が GA になりました。)
  • [GA/Beta] Customer Managed Encryption Keys for Dataproc. GA for BigQuery and Beta GCE and GCS (訳注: Cloud KMS を使ってユーザがクラウド上で管理している暗号鍵の Cloud Dataproc からの使用が、 BigQuery に対しては GA, GCE と GCS に対してはベータになりました。)

「人々に GCP を信じて使うことを説得する」コーナー:

  • Overall security recap blog post (訳注: このセキュリティ関係の要約記事では今回の今週の GCP で取り上げる項目以外にもユーザやリクエストの属性でアクセス制御をする Context-aware access や G Suite 関係の発表が取り上げられています。)
  • [Beta] Shielded VMs — 対タンパ 性の仮想マシン (訳注: GCE インスタンスで FIPS 140–2 に適合した対タンパ性を実現する Shielded VM のベータリリースがアナウンスされました。rootkit や bootkit のような VM のブートプロセスで改竄されたプログラムを動かすマルウェアに対して安全を保証したい場合に利用できます。)
  • Titan Security Key, Google によりファームウェアが開発された FIDO セキュリティキー。 (訳注: FIDO プロトコル準拠で Google アカウントの多要素認証に使用可能な Titan Security Key が販売開始され、近日 Google ストアからの入手可能となります。)
  • [Alpha] Cloud HSM — FIPS 140–2 のレベル3認証を得たハードウェアセキュリティモジュールで暗号鍵をホストし、暗号的操作を行います。 (訳注: クラウド上で暗号鍵の管理と各種暗号化をサポートするハードウェアセキュリティモジュールを利用可能な Cloud HSM がアルファリリースされました。)
  • [GA] Access Transparency — Google サポートによって取られるアクションの監査証跡 (訳注: ユーザの Google プロジェクトに対しての Google 側の管理者からのアクセスの監査ログを提供する Access Transparency が GA となりました。)

「Cloud Service Platform, Kontainers, そして Istio」コーナー:

  • GKE On-Prem, マルチクラスタ管理に対応した Google によって構成されたバージョンの Kubernetes (訳注: Kubernetes Engine と同様の Kubernetes Experience をオンプレミスで実現する GKE On-Prem がアナウンスされました。GKE On-Prem はオンプレミス上のクラスタをまるで GCP の1つのゾーンであるかのように GKE のコンソールから扱うことができます。)
  • Istio 1.0 coming soon and managed Istio on GCP (邦訳記事, 訳注: Istio 1.0 が近日中にリリースされることと GCP で Istio コントロールプレーンのマネージドサービスである Managed Istio のアルファリリースが発表されました。その後 Istio 1.0 は無事リリースされています。)
  • New Stackdriver Service Monitoring for Istio and App Engine workloads (訳注: アーリーアクセスが発表された Stackdriver Service Monitoring によって、マイクロサービスに対する可観測性が提供されます。 Kubernetes 上の Istio で管理されるサービスと App Engine 上のサービスを対象とし、リアルタイムなサービス間のトラフィックや、サービスの SLI の可視化、サービスで起こっている問題のドリルダウンなどの機能が提供されます。)

「大流行のサーバーレス」コーナー:

  • Knative, モダンなサーバーレスワークロードを Kubernetes 上でビルド、デプロイ、管理します。 (SAP, IBM, Pivotal, RedHat 等と共同のオープンソースプロジェクトです。) (訳注: サーバーレスなコンピューティングの基盤を Kubernetes と Istio の上で実現する Knative が OSS としてリリースされました。サーバーレスな開発者体験をオンプレミス、ハイブリッドクラウド、マルチクラウドでポータブルに実現するプラットフォームを構築するための部品が民主化されたことに伴い、各社から関連するアナウンスがされています。)
  • [GA] Cloud Functions now Generally Available, 新しいリージョンと SLA (訳注: GA となった Cloud Functions は現在4つのリージョンの選択99.5% の SLA を提供します。)
  • App Engine Standard new runtimes: [Beta] Node.js 8.11, [Soon] Python 3.7, and [Soon] PHP 7.2 (訳注: App Engine Standard の第二世代のランタイムを使った新しいランタイムとしてすでにベータリリース済の Node.js 8 に加え、 Python 3.7 と PHP 7.2 が近日リリースされることが告知されました。 第二世代では gVisor ベースをベースにした汎用性があるサンドボックスを採用しており、第一世代よりもフレームワーク、ライブラリの自由度を提供します。)
  • Serverless containers, ステートレスなコンテナをデプロイして Google に管理とスケーリングを任せましょう。 (訳注: ユーザが用意したコンテナイメージを起動する Serverless containers が Cloud Functions の一部として発表されました。実行基盤の特性などは Cloud Functions と同様になると予想されています。)
  • GKE serverless add-on, サーバーレスをあなたの Kubernetes クラスタで (中身は Knative) (訳注: 今回発表された Knative を基盤とし、サーバーレスなプログラミングモデルのワークロードを既存の Kubernetes Engine のクラスタ上で起動する GKE serverless add-on がアナウンスされました。 )
  • サーバーレスの発表に関するグループプロダクトマネージャの Oren Teich の tweet storm (twitter.com) (訳注: グループプロダクトマネージャによる一連のツイートは Google がサーバーレスを運用モデルとプログラミングモデルの2つに変化を与えるものとして見ており、今回発表されたものがどのような位置づけであるかを説明しています。それによれば、 Knative はどのような運用モデルの上においてもサーバーレスなプログラミングモデルの開発者体験を実現するための基盤となるものであるが、多くの企業は気にする必要はないと述べています。GCP はサーバーレスな運用モデルとプログラミングモデルを提供する Cloud Functions や App Engine への投資を続けるとのことです。)

「Go Cloud, SRE, さらには」コーナー:

  • Transparent SLIs: See Google Cloud the way your application experiences it” (訳注: GCP ユーザはStackdriver Monitoring のダッシュボードから GCP のサービスのメトリクスを見ることができるようになりました。これにより、アプリケーションで直面している障害やレイテンシの悪化の根本原因の切り分けが以前よりも容易になります。)
  • Portable Cloud Programming with Go Cloud (訳注: Google の Go チームは各クラウドプロバイダを抽象化してポータブルなクラウドアプリケーションを実装するための Go ライブラリである Go Cloud をリリースしました。特定のクラウドプロバイダに依存しない API を使うことで、同一のバイナリでマルチクラウドにデプロイ可能なクラウドネイティブなプログラムを Go で実装することが以前より容易になります。現在はオブジェクトストレージ、 MySQL データベース、動的設定、オブザーバビリティのサービスでGCP と AWS を抽象化する API を提供しています。)
  • Site Reliability Engineering, the book — Second Edition (訳注: SRE 本こと “Site Reliability Engineering” の副読書である “The Site Reliability Workbook” の PDF が 8/23 までダウンロード可能になっています。なお SRE 本の第二版と説明されているのは誤りだと思われます。)

「更に要約を読みたい方へ」コーナー:

「ベータ、 GA、それとも?」コーナー:

  • [GA] n1-megamem-96 (訳注: メモリ最適化マシンタイプとして、 n1-ultramem シリーズよりも先にベータリリースされていた n1-megamem-96 が GA になりました。 ultramem と比べるとメモリのわりに vCPU が多い比率となっている点とローカル SSD の利用が可能な点に差異があります。)
  • [GA] Cloud Vision API support for PDF and TIFF files (訳注: Cloud Vision API で 2000 ページまでの PDF および TIFF ファイルからの文字検出可能な機能が GA リリースされました。)
  • [Beta] Cloud Vision API detecting handwriting (訳注: Cloud Vision API で手書き文字を検出可能な機能がベータリリースされました。)
  • [Beta] Cloud Vision API object localizer w/ bounding boxes (訳注: Cloud Vision API で画像内の複数オブジェクトを検出し、それぞれの境界となる矩形を取得可能になりました。)
  • [Beta] Dialogflow Enterprise Edition Telephony Gateway (訳注: Dialogflow で電話をインターフェースとして直接利用可能な Telephony Gateway がベータリリースされました。)
  • [Beta] Cloud Speech-to-Text API — Transcribing Audio with Multiple Channels (訳注: Cloud Speech-to-Text で、複数の話者が居る音声でチャンネル別に抽出することができるようになる Cloud Speech-to-Text Multiple Channel Transcription がベータリリースされました。)
  • [Beta] AutoML Vision Beta, AutoML Natural Language Beta, and AutoML Translation Beta (訳注: 今まで申込みが必要なアルファ版だった Cloud AutoML Vision だけでなく、 AutoML Natural Lauguage, AutoML Translation が申込みが必要ないベータとしてリリースされました。)

「全てのもののマルチメディア」コーナー:

日付を開けておいてください!カレンダーに Next ’19 のある2019年4月9日〜4月11日をマークしておきましょう。

これで今週は全てです!

次のニュースレターは数週間後になります。 #バケーション

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