Firebase イベント データ分析のための Google Cloud 活用方法 (3) データポータルでのレポート作成

Keiji Yoshida
google-cloud-jp
Published in
10 min readApr 20, 2020

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本連載について

モバイルやウェブ アプリケーションの KPI を改善させるためには、ユーザーの日々の利用状況や行動を適切に把握した上で、施策を検討して実施することが重要となります。特に、実際に KPI 改善施策を検討して実施する企画者やマーケターが、自分自身でデータを分析し、その結果にもとづいて施策を検討できるようになることは、「現状把握 → 施策検討 → 施策実施 → 効果測定」という KPI 改善のサイクルを迅速に回すために必要不可欠となっています。

Firebase SDK で開発されているアプリケーションについては、Google Analytics for Firebase を利用することで、ユーザーのイベント データを簡単に Google Analytics で収集できるようになっています。さらに、収集したイベント データを BigQuery へエクスポートすることにより、企画者やマーケターが BigQueryデータポータルなどを活用して、自分自身でデータの可視化やレポーティング、詳細なユーザー行動の分析などを行い、データ分析にもとづいた KPI 改善施策の検討と実施を迅速に行うことができるようになります。

本連載では、KPI 改善施策を検討して実施されるサービスの企画者やマーケターの方へむけて、Firebase イベント データを分析するための Google Cloud のプロダクトの活用方法をご紹介します。

連載記事一覧

  1. Firebase イベント データのスキーマ
  2. SQL の基礎
  3. データポータルでのレポート作成(本記事)
  4. BigQuery でのデータの探索
  5. AutoML Tables での特徴量の重要度の確認

本記事について

部署やチーム内で KPI を定常的にモニタリングする方法のひとつとして、その KPI をグラフ化して表示するレポートを作成し、それを部署やチーム内で共有して定常的に閲覧する、という方法があります。第 3 回目の本記事では、Google のレポート作成ツールであるデータポータルを活用して、KPI をグラフ化して表示するレポートの作成方法をご紹介します。

1. データポータルへのアクセス

https://datastudio.google.com/ へアクセスします。以下のようなデータポータルのトップページが表示されます。

データポータルのトップページ

2. データソースの作成

画面左上の「作成」をクリックし、そこで展開されるメニューで「データソース」をクリックします。

「作成」をクリックし、「データソース」をクリック

「Google コネクタ」で「BigQuery」を選択します。

「Google コネクタ」で「BigQuery」を選択

以下のようなデータソース作成ページが表示されます。

データソース作成ページ

一番左のエリアで「カスタムクエリ」を選択し、次の「課金プロジェクト」エリアで現在ご利用されているプロジェクトを選択します。一番右の「カスタムクエリを入力」エリアで以下のクエリを入力し、右下の「日付パラメータを有効にする」をチェックします。

select
f.event_date
, count(distinct f.user_pseudo_id) as new_users
, round(
countif(date_diff(e.event_date, f.event_date, day) = 1)
/ count(distinct f.user_pseudo_id)
, 3
) as retention_day1
, round(
countif(date_diff(e.event_date, f.event_date, day) = 3)
/ count(distinct f.user_pseudo_id)
, 3
) as retention_day3
, round(
countif(date_diff(e.event_date, f.event_date, day) = 7)
/ count(distinct f.user_pseudo_id)
, 3
) as retention_day7
, round(
countif(date_diff(e.event_date, f.event_date, day) = 14)
/ count(distinct f.user_pseudo_id)
, 3
) as retention_day14
from
(
select distinct
parse_date('%Y%m%d', event_date) as event_date
, user_pseudo_id
from
`firebase-public-project.analytics_153293282.events_*`
where
_table_suffix between @DS_START_DATE and @DS_END_DATE
and event_name = 'first_open'
) f
left outer join
(
select distinct
parse_date('%Y%m%d', event_date) as event_date
, user_pseudo_id
from
`firebase-public-project.analytics_153293282.events_*`
where
_table_suffix between
format_date(
'%Y%m%d'
, date_add(
parse_date('%Y%m%d', @DS_START_DATE)
, interval 1 day
)
)
and format_date(
'%Y%m%d'
, date_add(
parse_date('%Y%m%d', @DS_END_DATE)
, interval 14 day
)
)
) e
on
e.user_pseudo_id = f.user_pseudo_id
and date_diff(e.event_date, f.event_date, day) in (1, 3, 7, 14)
group by
f.event_date
order by
f.event_date

このクエリは、特定の期間における、各日の新規獲得ユーザー数と、その新規獲得ユーザーの 1, 3, 7, 14 日後の継続率を算出するものです。たとえば、「2018 年 8 月 1 日〜 10 日」を対象の期間とした場合のクエリの実行結果は、以下のようになります。

「2018 年 8 月 1 日〜 10 日」を対象の期間とした場合のクエリ実行結果

このクエリ実行結果からは、たとえば、以下のようなことがわかります。

  • 8 月 1 日の新規獲得ユーザー数は 54 人であり、これらのユーザーの、1, 3, 7, 14 日後の継続率はそれぞれ、24.1%, 14.8%, 9.3%, 0% である
  • 8 月 2 日の新規獲得ユーザー数は 61 人であり、これらのユーザーの、1, 3, 7, 14 日後の継続率はそれぞれ、24.6%, 9.8%, 9.8%, 6.6% である

画面右上の「接続」ボタンをクリックします。

カスタムクエリ入力ページ

「event_date」の「タイプ」を「日付(YYYYMMDD)」へ変更し、画面右上の「レポートを作成」ボタンをクリックします。

「event_date」の「タイプ」を「日付(YYYYMMDD)」へ変更し「レポートを作成」をクリック

3. 「期間」フィルタの設置

レポート作成画面にて、初期表示されているテーブルを消去します。上部のメニューから「挿入」→「期間」(メニューの下の方の、カレンダー アイコンが表示されている「期間」)を選択して設置します。画面右側の「期間のプロパティ」で、「デフォルトの日付範囲」を 2018/08/01 — 2018/08/31 に設定します。

「期間」フィルタの設置

4. 「テキスト」の設置

上部のメニューから「挿入」→「テキスト」を選択して設置します。テキストの内容に「継続率」を入力し、画面右側の「テキストのプロパティ」で、「フォント」を 24px に設定します。

「テキスト」の設置

5. 「複合グラフ」の設置

上部のメニューから「挿入」→「複合グラフ」を選択して設置します。画面右側の「データ」エリアで、「ディメンション」に event_date を設定します。「指標」に new_users , retention_day1 , retention_day3 , retention_day7 , retention_day14 を設定します。「並べ替え」に event_date (昇順)を設定します。画面右側の「スタイル」エリアで、 new_users の系列(系列番号 1)のみ「棒」、「軸:左側」を設定し、それ以外の系列については「折れ線」、「軸:右側」を設定します。グラフの色は、お好みのものを設定します。

「複合グラフ」の設置

以上で、日別の「新規獲得ユーザー数」と、それらのユーザーの「1, 3, 7, 14 日後の継続率」をグラフで表すレポートを作成することができました。

6. レポートの閲覧

画面右上の「ビュー」ボタンをクリックすることで、作成したレポートを閲覧することができます。

作成されたレポート

作成されたレポートより、2018 年 8 月においては、1 日後の継続率は 11% 〜 39% の間で推移しており、同様に 3 日後の継続率は 0% 〜 25% の間で推移していることがわかります。

おわりに

第 3 回目の本記事では、Google のレポート作成ツールであるデータポータルを活用して、KPI をグラフ化して表示するレポートの作成方法をご紹介しました。次回の第 4 回目の記事「BigQuery でのデータの探索」では、BigQuery で SQL を実行することで、データを探索する方法をご紹介します。

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