GCP Pricing Calculatorの使い方 Compute Engine 編
みなさん、見積もってますか?
GCP の見積もりをする際、Pricing Calculator というものがありこれで大体のコストを見積もれるのですが、若干わかりづらいところもあるかと思います。
今回はそこらへんを少しでも分かってもらって見積もりして GCP いいね!って言ってもらえるといいなと思い記事を書きます。
GCP Pricing Calculator とは?
こちらからブラウザでアクセスしていただいて利用できる GCP のコストを計算するのに使うための試算ツールです。利用するプロダクトに応じてタブが分かれています。 Google Compute Engine (GCE) が使いたければ Compute Engine
をのタブを選んで必要な情報を入力していきます。右上には計算ツールで使うデータのアップデート日が表示されています。今回は GCE に関連するところを入力していきたいと思います。
シナリオ
今回は GCE からデータベースに Cloud SQL を使った Web アプリケーションを構築することを想定したシナリオの GCE 部分を対象としています。構成図としては以下のようなものになります。
何を見積もればいいのか?
GCE を使う際、課金される要素の考え方は計算リソースとネットワーク、ディスクになります(あと必要なら GPU 、 TPU リソース)。そして利用する OS によってはライセンス料が上乗せされる形になります。詳細は価格表のページを見ていただければいろんなのあるんだなというのがわかっていただけるかと思います。
- 計算リソース ( CPU コア数、メモリ、 GPU, TPU)
- 永続ディスク
- ネットワーク
課金要素は上記のとおりなのですが、実際に利用される場合は何の用途に何台のサーバを用意して、どれくらいのスペックで、とした方が直感的かと思います。 Calculator はそれと同じ様になっているのでその考え方で入力していけば最終的に全部でどれくらいなのかを計算してくれます。そして継続利用割引なども計算の中で勝手に適用してくれます。
計算する (計算リソース)
そんなわけで計算していきますが、まずは以下を考えてください。
- 用途
- 台数
- サーバのスペック( CPU コア数、メモリ)
- どこで動かすか(リージョン)
- 稼働時間
用途はわかりやすく名前をつけてください。また、台数もここで入力できます。 Number of instances
が台数で、 What are these instances for?
が用途ですね。次に入力するマシンタイプなどに台数分掛け算になります。
サーバスペックについては、定義済みのマシンタイプでよければ該当のものを選べばOKです。 Instance type
から選んでください。
コア数やメモリ数をカスタムしたい場合は Custom Machine Type
を選択して任意のコア数とメモリを選択してください。
なお、メモリについては通常 1 コア辺り 6.5GB という制限があるのですが、 Extend Memory
をチェックすることでその制限を外してコストを最適化することが可能です。チェックした場合、メモリの単価が変わりますので、デフォルトの比率で問題なければチェックを入れないほうがコストは抑えられるでしょう。(詳細はこちら)
前述しましたが OS によってライセンスが変わってくるので、 Debian, CentOS, CoreOS, Ubuntu などの OS 以外( Windows など)を選択する場合はこちらも選択してください。
次にどこで動かすか。クラウド上のどのリージョンで動かすか選択できるので選んでください。リージョンによって単価が変わってきます。
最後に稼働時間だいたいどれくらい動き続けるのか入力します。24時間毎日稼働するならそのまま 24 hours per day
& Average days per week each server is running
を7としておけばいいでしょう。なお、1年以上毎日動かし続けることがわかっているなら Committed usage
で1年または3年を選択することで確約利用割引を適用することができます。
例えばバッチ処理で平日に3回動いて処理時間は大体1時間、とかであれば 3 hours per day
& Average days per week each server is running
を5とすればよいでしょう。コストを更に抑えるなら、 VM Class
で Preemptible
を選ぶといいかもしれません。
ご存知の通り、 GCE は秒単位の課金ではありますが、見積もりということでそこは秒単位までは計算できない形になっておりますのでご了承ください。
最後良ければ ADD TO ESTIMATE
すると右側に金額が出てきます。
これを必要なサーバの分だけ追加していけば大体の計算リソースに関するコストを見積もれます。 Sustained Use Discount
= 継続利用割引も計算されているのも確認できますね。
計算する(永続ディスク)
次は永続ディスクですが計算する項目としてはさっきよりは単純です。ただし、気をつける点としては、先に計算した計算リソースはVMを止めている間の課金は発生しません(OSに関わる追加ライセンス費を除く)。ですが、ディスクはその分だけの容量を確保していることもありインスタンスが動いてなくても課金されます。もちろん、ディスクのスナップショットを取ってインスタンスとディスクを消せば料金はかかりませんが、そこをシンプルにするためか計算ツールでは24時間365日ディスクが存在する前提で計算するので、上記の様にディスクを消したりする運用の場合は試算された金額よりも安くなる可能性があります。
というわけで以下を考えます。
- 必要な容量
- ディスクの種類
- どこで動かすか
- 重要 必要な容量の合計値
ここで重要と書きましたが、ディスクは計算リソースと違って台数で掛け算を自分でやる必要があります。例えば一台あたり 10GB のディスクが10台必要ならここで入力する値は 100GB を入力する必要があります。
なお、ディスクサイズによってディスクのパフォーマンスが異なって来ます。必要な IOPS 、スループットによってサイズを調整してください。詳細はこちら。
必要なリージョンを選択して、各種必要なディスクの種類のテキストボックスに必要な容量を入力してください。ちなみに、テキストの中にStandardとRegionalというのがあるかと思いますが、これは Standard が単一のゾーンで利用できるもので、 Regional がリージョン内で2つのゾーンで利用できるものになります。詳細はこちら。
入力したら ADD TO ESTIMATE
すると右側に追加されます。複数回ディスクを入れてもディスクの種類、リージョンで合算されます。
計算する(ネットワーク)
ネットワークの料金体系についてはこちらをご確認ください。ネットワークはタブが異なります。 NETWORKING
タブになります。GCE のネットワークは上りは基本的には無料になります。また、同一ゾーンへの下りも無料。なのでここで入れる値は異なるリージョンなどへの下りの転送量を入れます。
- 異なるリージョンへの下り転送量
- 専用線(Interconnect)を利用した下り転送量
- 同一リージョンだけど異なるゾーンへの下り転送量
よければ ADD TO ESTIMATE
して見積もりに追加しましょう。
完成
これで GCE を使った場合の見積もりが完成しました。計算ツールでは、アイテムを追加するごとに一意の URL が生成されます。他の方と共有する場合は EMAIL ESTIMATE
や SAVE ESTIMATE
ボタンで URL を共有できますのでご活用ください。
次回は Cloud SQL と ロードバランサーのところをやってみたいと思います。
Disclaimer: この記事は個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には関係はありません。