Google ドライブをドメイン移行するための引っ越し方法
TL;DR
- 多くの場合で Google ドライブの引っ越しは必要ない
- それでも引っ越す場合は共有ドライブを使う方法と、共有ドライブを使わない方法の2つがある
- 共有ドライブを使う方法がおすすめ
- 共有ドライブを使わない方法はデメリットあり
はじめに
Google Cloud Japan Advent Calendar 2021 18日目(!?)の記事です。
Google Cloud Japan でカスタマーエンジニアというお仕事をしているTerryが担当しますm(_ _)m
本記事は 2021-12-19 時点の情報に基づいて記載しています。
本記事では “組織” という言葉が多く出てきます。
ここでの “組織” とは、社会一般的な組織の意味ではなく、ある団体が Google Workspace を利用する上でのサービス利用全体の枠組みのことを指しています。正式な用語ではないですが、“テナント” と呼ぶほうがしっくり来る方も多いかもしれません。
背景
Google ドライブの中身を(一部にせよ全部にせよ)引っ越したいと考えることがあります。
単純に「別のドメインで利用したい」という場合、Google Workspace では1つの組織にドメインを複数持つことができるので、プライマリ ドメインの変更を実施すれば Google ドライブの中身を引っ越す必要はありません。
他にも「今のドメインは別の用途で使い続ける必要があるが、うちのチームだけは新しく別の管理で使いたいんだ」という場合であれば、Google Workspace の組織構造をうまく利用すれば1つの組織の中でも管理を分けることができるので、やっぱりGoogle ドライブの中身を引っ越す必要ないかもしれません。
ここでの “Google ドライブの引っ越し” というのは、具体的には “ファイルのオーナーを別の組織のユーザーへ移行する” ことを指します。
しかし多くのユースケースでは実際には Google ドライブの中身を引っ越す必要なしで、やりたいことを達成するための別の方法が用意されています。つまり、そもそも1つの組織の中で完結できます。
しかし、もしかしたら海よりも深い理由で、どうしても引っ越しをしたくなることがあるかもしれません。
そんな方々のために、Tips を共有したいと思います。
オーナー権限の譲渡には制約がある
Google ドライブの引っ越しは、つまるところオーナー権限の引っ越しなわけですが、オーナー権限は組織内のユーザーにしか譲渡できないという制約があります。
この制約を避けるためには大きく分けて2つの方法があります。
共有ドライブを使う方法と、共有ドライブを使わない方法です。
共有ドライブを使う方法
これがおすすめです。
共有ドライブ内のファイルのオーナー権限は、その共有ドライブを作成した組織が持つことになります。
この仕組みを利用して組織をまたいだオーナー権限の譲渡を行います。
手順
この例では、
移行元の組織:External Env(ドメインは tkurumatani.com)
移行先の組織:Demo Env(ドメインは tkurumatani.altostrat.com)
となっています。
[1] 移行先の組織で共有ドライブを作成します
[2] 移行先の組織のユーザーを使って、移行先の組織のユーザーに “管理者” か “コンテンツ管理者” か “投稿者” の権限を与えます
[3] 移行元の組織のユーザーを使って、ファイルを共有ドライブへ移動します
[4] 移行先の組織のユーザーを使って、移行先の組織のユーザーの権限を削除する
注意すること
移行元の組織のユーザーに与えた権限が “コンテンツ管理者” か “投稿者” だった場合、[3]の手順でのファイル移動は元に戻せなくなるので、よく確認してから実行してください。移行元と移行先を逆にして手順をやり直せば持って帰ることができる場合もありますが大きな手間がかかります。
ちなみに、この方法はファイル単位でしか実行できない(フォルダごとは操作できない)という制約があるので工数の見積もりにも注意が必要です。
共有ドライブを使わない方法
共有ドライブを使えない理由があるときはこちらです。
当たり前ですが Google ドライブの中ではファイルのコピーを作成することができます。このとき、コピーで作られたファイルのオーナーはコピーの操作を行ったユーザーになります。
この仕組みを利用してオーナー権限を擬似的に譲渡します。
手順
[1] 移行元の組織のユーザーから、移行先の組織のユーザーに対して、移行対象のファイルのを付与します
[2] 移行先の組織のユーザーを使って Google ドライブを開くと、共有アイテムの欄に移行対象のファイルが表示されます
[3] 移行先の組織のユーザーを使って、コピーを作成します
[4] 移行先の組織のユーザーのマイドライブを確認すると、コピーファイルが作成されています
注意すること
この方法の一番大きなデメリットは、オーナー権限の譲渡が擬似的であるという点です。
厳密には元のファイルとは別物なので、URL が違っていたり、編集履歴もまっさらな状態からスタートする、デフォルトでは「〜 のコピー」というファイル名になるなど、細かいところまで見ると完全さが失われていることがわかります。
加えて、コピーで作成されたファイルは、コピーの操作を行ったユーザーの保存容量枠で保存されるという点にも注意してください。
余談:他の方法
ちなみに「ファイルを全てダウンロードしてからアップロードし直す」という方法もなくはないのですが、これは Google ドキュメントやスプレッドシートなどの Google ドライブ固有のファイルに対して上手くいきません。
Google ドライブ固有のファイルは、そのままの形でダウンロードすることができず、必ず PDF などの形式に変換してダウンロードすることになります。つまり「ダウンロード → アップロード」という流れの中で様々な情報が失われてしまいます。
そのため「ファイルを全てダウンロードしてからアップロードし直す」という方法という方法は、「Google ドライブは使っているが Google ドライブ固有のファイルは使っていない」という限られた状況の方にしかおすすめできません。
まとめ
Google ドライブの中身を引っ越しする方法を紹介しました。
大きく2つの方法があり、共有ドライブを使う方法がおすすめ、何らかの理由でそれができない場合に共有ドライブを使わない方法でやることになるというものでした。
ちなみに今回の Tips は、引っ越し元と引っ越し先がどちらも Google Workspace ユーザーであることを想定しています。Gmail.com などの組織で管理されていないユーザーが関わる場合は、少し状況が変わります。
これらの Tips が皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。