【レビュー】「Life is Strange」(ゲーム, 2015)

3Dアドベンチャーゲーム。「バタフライ・エフェクト」を本気でゲームに取り込もうとした大作。百合好きにもおすすめ。

Koki Takahashi
HakataReviews
3 min readOct 22, 2018

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ある日突然時間を巻き戻す能力を手に入れた主人公が巻き込まれた数奇な運命の物語。プレイヤーは物語の中で主人公の行動を何度も何度も選択させられ、その選択いかんによって過去・現在・未来の状況が大きく変化する⋯⋯というのがこのゲームのメインコンセプトである。

⋯⋯というと、正しい選択を選ぶことによってトゥルーエンドを勝ち取るよくあるアドベンチャーゲームの一つのようにも思えるかもしれないが、全く違う。主人公が何を選択しどう行動しようと、大筋のストーリーは全く分岐しないし、バッドエンドもトゥルーエンドも存在しない。ただただ、プレイヤーの選択によって世界が変化することを楽しむゲームである。

このゲームの凄いのは、物語の中で100近い (未来に影響を与える) 選択をし、時にはそれによって主要キャラクターの運命が大きく左右されるにもかかわらず、ストーリーや会話が一切矛盾なく進行していくことである。主人公が置かれた状況に対して「自分で選択した未来」という実感を強く持つことができた。時間を巻き戻す能力によってこの選択はある程度やり直すことができるようになっており、プレイヤーはうんと悩むことができるし、悩まされることにもなる。

本作はフランスのゲームスタジオDONTNODによる開発であり、舞台はアメリカ、セリフも全て英語、日本での知名度もあまり高くない作品だが、日本語吹き替えが (無償で) 提供されているためプレイハードルは低い。またこれも驚きを禁じ得ないが、このゲームは PS3, PS4, XBOX, Windows, Mac, Linux, iOS, Android に対応しており、実質あらゆる環境で動く (というか、購入できる)。Unreal Engine さまさまである。ただし3Dゲームなのでスペックはある程度必要。

ところで、僕はプレイ中、進行不能になるバグに何度か遭遇した。このゲームはオートセーブを採用しており、バグに遭遇しても一つ前のシームからやり直すことができるのだが、いい場面でプレイを中断させられるとかなり萎える。まあ、これだけ自由度が高いゲームなので、多少のバグは無理からぬことなのかもしれないが⋯⋯。

3Dステージはローポリ気味ながらもかなりの広さがあり、前述の「未来を選択する」というコンセプトも相まって「Life is Strange」の世界観に没入できる。全5話というボリュームの大きさもあり、これだけの大作がかなり安価に手に入るのはさすがスクエニといった感がある。通常価格でも十分安いが、Steamセールで500円程度になるのでタイミングを見計らって是非手に入れてほしい。

で、肝心のストーリーだが⋯⋯僕はこのゲームに「隠れ百合ゲーム」という称号を冠したい。ゲーム全体を通して描かれるのは、主人公マックスと5年ぶりに再開した親友クロエの関係であり、またネタバレになるので詳しくは言えないが、このゲームの本質はクロエそのものであるといっても過言ではないだろう。訓練された百合厨なら百合電波をビンビンに感じることができること間違いない。

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