ストーリーテリングと短編映画制作を通じた高校生による防災啓発活動

2014/2015年度インドネシアのフェロー Dhypthia, Fauzan, Larasati, Rory, Vinaによるアクションプランその1

Written by: Larasati(HANDs! Fellow 2014/2015 )

映画の持つ力
KIDSASTER Movie Teller の告知チラシ

2015年10月にスラバヤ市にて、HANDs!2014/2015インドネシアフェローで構成されるKIDSASTERチーム が「KIDSASTER Movie Teller」プロジェクトを立ち上げました。

ndependent Film Surabaya (INFIS)会長を務めるフェローの一人のFauzanさん及びHANDs 受賞者等が主導する同プロジェクトは、映画ワークショップおよび防災教育に関する映画制作で構成されます。参加者の高校生は、インドネシアの災害問題(洪水、地滑り、地震、火災、暴雨及び感染病など)を題材に、災害の防止・軽減・準備・対応・復興に関する知見を提供する短編映画の制作に挑みました。

メッセージの伝達性、理解しやすさ、素早い情報の拡散力といった観点から、映画は非常にパワフルな媒体だと考えます。さらに、視聴者のみならず、制作者側も若者が対象者となった本プロジェクトでは、参加者が映画制作の工程で綿密なリサーチを行い、災害に関する一定水準の理解を得た上で、オーディエンスにメッセージを伝達し、情報を広く普及しなければなりません。

防災教育に関する映画作りに挑戦した175名の学生
撮影した動画を変種る高校生

2015年10月29日(午前9時から午後5時)にアンスティチュ・フランセ・オーディトリウム(Institute Francais Auditorium)にてワークショップが開催されました。ワークショップにはインドネシア共和国東ジャワ州の、スラバヤ、グレシック、シドアルジョ及びバンギルの15の高校から 175名の18歳の学生が参加し、計18チームがINFISのプロ映画制作者8名の指導の下で映画制作に挑みました。

国際交流基金の後藤愛 さんはHANDs受賞者が支援する「HANDs! Project(Hope and Dream Project)」を紹介、Larasatiさん はメッセージデザインについて話をし、 Dhiptyaさんはインドネシアの災害教育について説明し、FauzanさんはKIDSASTER Movie Tellerプロジェクトの目的に関する心に響くメッセージを学生に送りました。 これに続いて、映画制作の技術についての概要説明に関するセッションを実施。製作責任者を務めるHANDs!プロジェクト(国際交流基金アジアセンター)は、映画上映に係る知的財産の説明を行いました。

小物を作成、作成すもチームも

全日のワークショップの終了後、8名のプロ指導者の支援を得て、全18チームが2週間の映画制作活動を開始。長きにわたる大変な課外活動でしたが、学生にとっては友情を育む非常に楽しい経験となりました。制作活動はスクリプト作成に始まり、撮影、ダビング、編集のまでの全工程を辿ります。地元の消防署から撮影協力を得たり、地震再現の撮影シーンのために廃墟を見つけたりと、学生達の努力には目を見張るものがありました。素晴らしいポップアップ・ストップ・モーション・アニメーションの撮影を行ったチームや、それだけでは満足せずにビジュアル効果を駆使したチームなど、臨場感ある災害描写を目指して高校生が発揮した高い技術力は、私たちの期待を大きく超えるものでした。

ワークショップで積極的に質問する参加者
最優秀作品賞(Best Viewer Award)の勝者は?
表彰式のポスター

一人ひとりの学生が素晴らしい献身、熱意、創造性で私たちを驚かせてくれました。インドネシアでは「災害」というテーマは珍しく、通常は高校生が関与するようなトピックではないため、参加者にとっては非常に刺激的な体験になったと思っています。7分間の映画の提出期限は11月10日。その後、最優秀作品賞の受賞を目指し、自分達の創造的な作品をソーシャルメディアやYouTubeを介しして大々的に配信する期間に1週間が与えられました。映画制作の成果はインドネシア国内だけでなく、他国からも高い評価を受けています。

スラバヤ市政府後援で2015年11月20日にBGジャンクション(BG Junction)で行われた授賞式は、Kidsaster Mover Tellerプロジェクトに参加した若い映画制作者及び教育機関を称賛する素晴らしい機会となりました。授賞式では、映画上映、「Music Festival 2015」の勝者によるライブ演奏、そしてKidsaster Mover Teller授賞者の発表が行われました。最優秀作品賞を授賞したのはマハルディカ職業訓練校(Mahardika Vocational School)の「Think Again」です。さらに、バナルナワティ職業訓練校 (Barunawati Vocational School) の「180」に最優秀技術賞、SMAMDA の「ByarPet」に最優秀アイディア賞、最後にスラバヤ第12職業訓練校 (12 Vocational school) の「Rain is not Coming」に最優秀ストーリーテリング賞が贈られました。(※各作品はクリックすると見られます)

最優秀賞を受賞したThink Again
表彰される参加者
最優秀技術賞を受賞したバナルナワティ職業訓練校の生徒ら
アクションプランを超える試み

そして委員会が懸命な努力で学習を積んだ約3週間を経た授賞式の夜には、数々の感動的な場面がありました。映画産業の推進のみならず、周りの環境に配慮しながら創造力で人々を支援する、インドネシアの若者がそんな逸材に成長する素晴らしい潜在力や創造力を備えていることを立証する機会となったはずです。本イベントは、創造力や映画作りを通じてインドネシア憲章の発展に寄与することを若い映画制作者たちが約束した「シオナ宣言」で幕を閉じました。学生の瞳は希望と自信に溢れていました。彼らは今後の映画産業の期待の星であり、世界を変える潜在力を秘めた存在なのです。

同イベントを通じ、若い映画制作者の意欲向上やネットワーク構築のみならず、教育活動を通じたコミュニティ支援の手段として「創造力」を活用できるのだ、というメッセージを学生たちに伝えることができればと願っております。学生たちの自信を育みながら、その効果を何倍にも膨らましていくことが可能です。災害の多い国であるインドネシアで危機的な状況にある人々のために、映画制作の指導という小さな活動から大きな効果を生み出すことができるのです。


KIDASTER Movie Teller

・実施したフェロー:インドネシア2014/2015フェロー全5人。Dhiptya Wijayanti, Fauzan Abdillah, Rory Santoso, Larasati, Vina Puspita

・開催地:インドネシア共和国東ジャワ州スラバヤ

・開催期間:2015年10月~11月

・アウトリーチした数:165人の高校生

・活動内容:高校生に 防災教育に関係した短編映画の撮影方法を教えて実際に撮影する

左からDhiptya Wijayanti, Fauzan Abdillah, Rory Santoso, Larasati, Vina Puspita