社会問題の解決策に必要なことは

スタディツアーinフィリピン・マニラ 2016/2017

By Ryan Bestre(HANDs! 2016/2017年フィリピンフェロー)

バレエダンサー、政治漫画家、ゼロ・ウェイスト運動の活動家、教師――こうした面々がひとつの部屋に集まれば、いかにも奇妙な組み合わせに見えるだろう。だがそれこそがHANDs!(Hope and Dreams)プロジェクトなのだ。このプロジェクトでは異分野の人間が集まり、アートと文化の力を借りて様々な課題に取り組む。国際交流基金が主催するHANDs!プロジェクトは、クリエイティブな形で効果的な防災・環境教育を実施する方法を探る。


プログラムはフィリピンで始まった。私はここで、今年のプロジェクトに参加する他のメンバーと対面した。日本、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ミャンマー、インド、ネパールの学生と若手専門家から成る、多彩な顔ぶれのグループだ。一人ひとりの意欲と情熱に勇気づけられた。メンバーの経歴や彼らが地域で手がける仕事を聞くなかで、私は刺激を受け期待に胸を高鳴らせた。


初日は、マニラ最古の地区イントラムロスを訪れマニラの歴史を垣間見た。

総合アドバイザーの永田宏和氏が、「風・水・土の人」が地域に活動を根付かせるという考え方を紹介してくれた。風の人がひらめきの種を運び、その地に根差す土の人が種を育て、水の人が風と土の仲介役として、変化の種の成長を手助けする。プログラム終了後、私たちが地域向け防災・環境教育プロジェクトを立案する際も、この考え方を活かすことができる。

社会問題への理解を深めるため、マニラに拠点を置くデザイン研究グループHabi Education Labでデザイン思考に関するワークショップが開催された。

私たちは、マニラ沿岸部ナボタスの再定住地で行うプロジェクトのアイデアを練り、見本を作成する過程で、デザイン思考を具体的な行動に変えるよう求められた。ナボタスについて詳しく知るため、地元出身の私が海外メンバーのため通訳をつとめた。メンバーが、どんな状況に置かれても変わらないフィリピン人の明るさに目をとめたのも不思議はない。実は、フィリピンの暮らしの方が楽しいのではないだろうか。

集中的なプログラムを通じて、フェローは心を開き、素人の視点でプロジェクトを立案し、自分の考えを押しつけるのでなく地域のニーズに配慮することを学んだ。またデザイン思考は体系的ではなく混沌としたアプローチなので、柔軟性と独創性が求められ、企画が完璧でなくてもよしとする必要があった。

プログラムのもうひとつの目玉は、劇団Sipat Lawin Ensembleの参加型演劇作品「Gobyerno」(政府)に参加したことだ。私たちは話し合いを重ね、アートとパフォーマンスを通じて理想の政府と社会を作り上げた。

(注:フェローが撮影者、ミニチュアを用いた国の模型設計、テレビレポーター、衣装係などに役割を分けて、新しい国をレポーターが撮影・放送する寸劇を実施した)

最後にアショカ・フェローのGirlie Lorenzo氏が、システム変革と解決策の構築に携わった自らの体験を全員に語ってくれ、みな大いに感銘を受けた。必ず、最終形を頭に描いてから着手しなければならないと言われた。

フィリピンでのプロジェクトを通じて、フェローは大都市マニラでの生活を体験し、被災地を訪問し、システム思考について学ぶことができた。この体験を経て私たちは、どうすれば社会問題への解決策立案に持続可能性、共感、協力などの視点を取り入れられるか、一層深く理解できた。


Ryan Bestre

*この記事は、 HANDs!2016/2017フェローであるRyan Bestreさんによる寄稿文です。

*記事中の見解は個人的見解であり、HANDs!プロジェクトとしての立場を表明するものではありません。