フィンランドのプレスクールの素敵な点-2

Junon
Happy Mom, Happy Family
7 min readNov 21, 2019

前回のフィンランドのプレスクールの素敵な点-1に引き続き,現時点で気づいた素敵な点をまとめてみました.

4.子どもの自立/自己コントロールを促す仕組み

たとえば,給食の時間.

次男のプレスクールでは,11時から給食が始まります.毎日,配膳係が数人いて皆が使うコップやカトラリーを並べ,準備が出来たら,給食の内容をiPadで写真に撮って,皆の前で「今日はこういう給食です」とその写真を見せながら発表します.そのときに先生が,給食の材料などにまつわるお話を少ししてくれます.その後,子ども達が一列になって,先生がよそってくれる給食をもらうのですが,よそってもらう量は自分で決めます.もしその量が足りなかった場合には,あとでおかわりができるのですが,食べきれずに残してしまっても,「自分がよそってもらったんだから,残さず全部食べなさい!」みたいなことは全く言われず,「残飯入れ」に自分で残したものを戻します.日本で通っていた保育園では,一定の量を盛られて「それを残さずに食べるように」と教えられていたので驚きでした!

「出されたものは残さずに食べる」という日本の食習慣,それはそれで素敵だと思うのですが,フィンランドでは,小学校の給食がビュッフェ形式で,自分で自分が食べる分をよそう必要があるため,プレスクールのうちから,自分の食べられる適量を学んで,今後は自分でよそえるように段階的に準備していくのだそう.これって自立/自己コントロールの一環だよなぁと.

また,先生が「早く食べなさい!」と急かすこともなくてビックリ.給食を食べ終わったら自分で下膳して机を拭いて(ここは日本と一緒),キシリトールのタブレットをなめ(ここはフィンランドならでは?),お昼寝する部屋に行って本を読んで過ごします.ご飯を食べるのがゆっくりな子は,給食を食べるお部屋に残って自分のペースでご飯を食べ続けてました…笑

この辺も,人にとやかく指図されるのでなく,自分で自分のペースをコントロールすることにつながっていくのかなぁ?と思ったりしましたが,実際のところはどうなんだろう?

5.ICTの活用

次男のプレスクールでは,いわゆる「紙のお便り」の配布はなく,行事などの連絡はメールで送られます(フィンランド語で送られてくるため,Google翻訳が大活躍です).また,プレスクールの様子は,子どもの顔が見えない形でSNSに公開されており,そこから見ることもできます.

また,写真の注文もオンライン.日本の保育園や小学校のように,わざわざ写真の番号を書いて,おつりがないように小銭をそろえて注文袋に入れて…みたいなことはなく,オンラインで写真を見て,欲しいものをオンラインで注文して,クレジットカードで決済したら,後日,家に郵送されてくる仕組みです.

学校のお便りや,写真の注文を紙ベースで行うことは,先生の事務作業増加の原因にもなっていると思うので,このあたりは,どんどんICTを活用していけると良いと思いました.

6.どんな天候でも外遊び

フィンランドでは,雨が降っていても,雪が降っていても,外がどんなに暗くても,「外で遊ぶこと」が重要視されているようです.そのため,雨の中でも遊べるゴム製のアウトウェアやら,雪の中でもへっちゃらなアウトウウェアやら,暗い中でも危なくないリフレクターがたくさんついたアウトウェアやら,とにかく,色んなアウトウェアがあります.

少し話は逸れますが,東京にいたときは,ダウンコートのフードやリフレクター機能のついたキーホルダーは「飾り/ファッション」でしかなかったのですが…こちらに来てから,その実用性/必要性をまじまじと実感しています.

でもって,色んな服を着込むため,外遊びに行くにはものすごく時間がかかるのですが,先生方は「早く準備しなさい!」と言う代わりに,砂時計を利用されています.

お着替えの場所にある5分間の砂時計

「5分の砂時計の砂が全部下に落ちるまでに,準備を終わらせる」ってすごく良いアイディアだと思いませんか?子どもも残り時間を視覚的に見ながら,ゲーム感覚で準備できるし,大人も「早くしなさい!」と必要以上に急かさなくて済むし.もちろん,子どもの性格にも依るとは思いますが,うちの子には効果抜群の様子です.

7.「危ないから」と禁止するのでなく,「安全な使い方」を教える方針

次男のプレスクールでは,まだ年長さんにも関わらず,針を使ったお裁縫が取り入れられています.「危ないから」と遠ざけるのでなく,その「安全な使い方」を学んでいくことが重要視されているようです.プレスクールの見学にいったら,子ども達が自分たちで針と糸を使って作ったペンケースを使っていて,すごくビックリしました.

子ども達が自分で作ったペンケース(プレスクールのInstagramより転載)

また,フィンランドの公園や校庭には大きな岩がたくさんあります.それも「危ないから」と撤去するのではなく,自然の中で遊びながら「安全な遊び方」を学んでいく方針なんだと思います.「毒キノコの見分け方」なんかもプレスクールで学んでいる様子.

プレスクールに貼ってあった写真.次男いわく「この赤のは危険…」とのこと.

我が家では「子ども包丁」なるものを使って,小さい時からお料理を一緒にしてきたので,フィンランドの方針にはとても共感できました.

8.時間厳守を貫く姿勢

フィンランドでは,電車もトラムも日本と同じくらい,もしくは日本以上に時間に正確です.(バスにいたっては,時間前に到着して,そのまま出発してしまうことも…!汗)知人に聞いた話では,「たとえば10時待ち合わせだとした場合,フランス人やイタリア人は確実に遅れてくるが,ドイツ人は時間どおり10時に来る.で,フィンランド人は5分前に来る」んだとか?!

実際,次男のプレスクールでは,9時から外に行く,となったら,15分前から外に行く準備を始めていて,9時前には皆,プレスクールの前で出発できる状態になっています.我が家が9時に到着したときには,もう皆,近くの公園に出かけていて,プレスクールには誰もいない,ということもしょっちゅうあり.実際,10分ほど遅れたら,皆が博物館に出発してしまっていて,次男を預けられずに戻ってきたこともありました…汗

日本だと時間に遅れた場合,どうしたの?と連絡が来たり,誰かが待っていてくれたりする気もします.けど,まぁ,そういう経験をすると「次からは遅れないように時間を守ろう」と思えるので,良いことだとも思います.実際,プレスクールの先生からは「ごめんなさい.けど,プレスクールの運営に必要なことなので,時間厳守にご協力ください」とのこと.ごもっとも…!

また,始まりもそうですが,終わりも然りで,「○時まで」となると,そこにピッタリと合わせてくる感じ.日本でよく見られる「会議の開始時間は決まってるけど,終了時間は決まっていない」的なことはなさそうです.この「時間を守る」文化は「冷たい」と取るか「合理的」と取るか,人や場合によって違いそうです.

長くなりましたが,現時点で気づいた点を挙げてみました.

Moi Moi!

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Junon
Happy Mom, Happy Family

2019年夏に,夫の海外転勤に同伴して家族でフィンランドにやってきた女性医師.男の子2人を子育て中.