HashHub入居者インタビュー Vol.4 株式会社digglue 原さん

HashHub Space
Nov 29, 2018 · 14 min read

HashHubインターンの望月です。今回は数に限りがあるHashHub固定席を利用されている原さんにインタビューしてみました。原さんは前職を退職された後、株式会社digguleを設立してブロックチェーンの世界に入られました。今ブロックチェーンの世界に飛び込んでいる方がどのような思いで働いているのか、何を作っているのか、プロダクトリリース前の貴重なお時間を頂いてインタビューしてみました。

株式会社digguleホームページ:https://digglue.com

EnterChain:https://digglue.com/enterchain/

望月「まずは簡単な自己紹介をお願いします。」

「株式会社digglueという会社でEnterChainというブロックチェーン のオンライン教育コンテンツというのを作っています。Crypto Zombiesのように半分説明、半分実際にコードを打つ画面があるような形です。後はブロックチェーンのコンサルティングもやっていて、その二つが柱になります。他にも一部自分たちで研究をして、ブロックチェーンで何ができるかを考えています。」

望月「ありがとうございます。ちなみに『digglue』という社名ですが、この由来は何ですか?」

「DJがレコード屋でレコードを探すことを『digる(ディグる)』というんですね。”dig”には発掘するという意味があります。あとは”glue”というのは”のり”という意味があるんですが、これで”dig”と”glue”をくっつける『digglue』になります。うちのビジョンとして、『価値を発掘して経済圏を作る』というのをビジョンとしているのですが、価値を引っ付けていったら一つの経済圏作れるじゃんというのが由来としてあります。」

最初はDappsを作ろうとしていた

望月「ブロックチェーンの教育コンテンツを作っているという事ですが、そのきっかけや思いはありますか?」

「実は会社を作った最初は教育コンンツではなくてDappsを作ろうとしていました。最初HashHubに入る時はアンケートをブロックチェーンでやるというプロジェクトをやっていました。ただ開発していくうちに一切マネタイズ出来ない事がわかり一旦凍結になりました。

じゃあ何をやろうかという時に、ブロックチェーンって人材いなくて雇うの大変だよね、何でだろうとなりました。そうしたらブロックチェーンってそもそも他の分野と比べてキャッチアップ難しくない?となりました。仕組みもパッと見ややこしく、本を買ったけど古くてコンパイル通らないとかあるじゃないですか。当時はブロックチェーン大学がちょうど出来たぐらいで、日本の教育コンテンツってまだまだなかった。だったら僕らでやろうかというのが始まりです。なので自分事と言えば自分事でした。」

そもそも普通の人は『非中央集権』を意識しない

望月「自分が純粋に大変だったなというのがあるんですね」

「そうですね。結局人材がいないとブロックチェーンって広がっていかないじゃないですか。もともと僕は別のコミュニティーでブロックチェーンの技術理解を広めるということをしていました。そこでもいろんな人を呼んで話したりしましたが、やっぱり技術理解って難しい。その原因って何だろうと考えると、ちゃんとした教育を安価で受けられる場所がない。やる気がある人は調べていくうちに何となく入っていくのですが、そこまで行かない人って結構な数がいます。

『非中央集権が〜』『P2Pで〜』って話がありますよね。僕もなんですがブロックチェーンに関わる前は”非中央集権”というワードをあまり気にしたことがありません。確かにそういう考え方でいくとそうだよねと理解できるのですが、いきなりP2Pとかが出てくると、技術肌じゃない人は嫌になってしまうらしいんですね。」

望月「すごい難しい言葉が出てきたなとなってやめてしまうんですね。」

「そうなんです。結局どんな本買って読んだらいいかわからない。技術系の本読んでみても、わかったようなわかってないような....となってしまう。じゃあそこを解決できるようなプロダクトが出来たら技術理解も広まって、結果的にブロックチェーンの人材が増えていく。そこから良いプロダクトが出ていくことができれば世の中よくしていけるんじゃないかと」

きっかけはブロックチェーン レボリューション

望月「ブロックチェーンに興味を持ったきっかけは何ですか?」

「前職はエンジニアをやっていて、ブロックチェーンはその時から知っていました。前職には独立するつもりで入りましたが、何で独立しようかは絞り切れていませんでした。最初はAIとかの分野に興味を持っていましたが、データ量で大手の企業に勝てないなとなりやめました。それで何があるかなと探しているうちにブロックチェーンかなと。最初はEthereumを買ってみたらすごい爆上げしたというのもあるんですが。」

望月「そうなると最初は投資のようなものから入っていったということですか?」

「ブロックチェーンレボリューションって本があるじゃないですか。あれを読んでからですね。出たばかりの時に買って読んでなんか凄そうと思い、Ethereumを買ったのが最初ですね。そこであれよこれよと上がっていくうちに何だろうなと思って仕組みまで調べ始めました。」

望月「そこでこれ独立いけるかな?となったわけですね。」

「そうですね。ここワンチャンあるなと(笑)独立もただお金稼ぎたいとかだけじゃなくて、社会貢献もしたいと思っていました。そことの兼ね合いでポテンシャルがある分野はどこかなと考えていたらブロックチェーンかなと。」

望月「かなり前から独立思考はあったようですが、それはなぜですか?」

「前職の会社は社会貢献、社会貢献とよく言っていました。ただ実際に一社員として働いてみると一切実感出来ないというのがありました。プロジェクトリーダーとかやってみても歯車の一部という働きが大きい所だと限界であると感じてしまいました。だったら自分で色々やってみたいというのがあったからでしょうか。」

熱量には『差』がある

望月「ブロチェーン領域で起業・事業ならではの苦労、やりがいなどはありますか?」

「人材集めに苦労するかなと思っていたのですが、興味ある人はすごくいっぱいいて、知識レベルさえ問わなければいっぱい集まって来るんだなというのは実感しています。なので、そこで勉強したいニーズを強く感じます。ただ同時にきっかけがないと勉強しない人がほとんどなんだなというのも実感しています。」

望月「熱量に差があるということですね」

原「あると思いますね。一部のコミュニティはすごく熱狂しているじゃないですか。その熱狂しているのをちょっと冷たい目でみている層と、なんかああいうのもあるんだなと少し生暖かい目でみている層がいます。で、ちょっと生暖かい目でみている層の一部はきっかけがあれば入っていってもいいなという人がいると思います。一部熱狂している人がいるから、なんかあるんだろうなと思っているんでしょうね。

ただ世の中のテクノロジーってみんなそうだろうなと思います。あと何年かたったら、ほらなとなると思います。」

受講者との”ずれ”とは

望月「現在EnterChainは先行で体験してくれている方を募集してやっていますよね。(https://digglue.com/enterchain-pre/)まだ多くの方が体験した訳ではないと思いますが、実際にやってみて製作者側と、受講者のニーズの”ずれ”などはありますか?」

「あります。一番は僕らが知っている人前提で作っていたという事を初めのプロトタイプで実感しました。人によっては全く知らないので説明が足りないとか、説明があったとしてもあまりにもボリュームが大きすぎるとかですね。

というのも銀行が中央集権であるという説明をする時、『銀行が仲介する事で取引されていたのをP2Pで繋がって〜』という説明は伝わらない。なぜかと言うと、そもそもやりとりする時に銀行が間に入っているという意識がない。

あとは日本に住んでいると第三者の機関って言うのはすごく信頼できるというのがあると思っていて、そういう人ってすごく多いんだなと思いました。なのでまず専門用語を使わずに解説するように作り直しています。」

望月「確かにそこら辺は難しいですよね。初めての人にマイニングとか言っても絶対分からないですよね。お金を作る?何で?みたいになりそうです。」

「はい、分からないですね。ただその何で?を調べようとしてネットで探しても良いものがあまり無いんですよね。記事がバラけていて同じような記事、説明ばかりであまりしっくりこないんじゃないかなと。

なので今は自分たちでブロックチェーンの知識レベルを分けて、定義し直そうと考えています。Lev.0は全くの初心者。Lev.1はちょっと仕組みは知っている。PoWとか聞いたら何となくわかるぐらい。Lev.2は簡単なDappsとかを作れるか、Mastering Bitcoinとかをちゃんと理解しているぐらいがこのレベル。Lev.3は実際に現場で働いている人。Lev.4になると研究者とかScalingBitcoinとかで発表している人、というようなイメージでやっています。そこをさらにエンジニアと非エンジニアで分けて、なおかつ山を登っていけるようにしています。」

勉強範囲をどう線引きするか

望月「”ブロックチェーンを勉強する”となる時、仕組みはもちろん、法律、ゲーム理論、数学、各プロジェクト内容とか色々あって大変なわけですが、その線引きを今ちょうどやっているということですね。」

「そうですね。また線引きして、なおかつ認定試験みたいなものを作りたいと思っています。教育は人材を増やす目的でやっているのですが、自称ブロックチェーンエンジニアでプロトコルレイヤーまでちゃんとわかっている人と、簡単なDappsを作っているだけの人とではかなりの差がありますよね。

なのでそこに対して一定の試験をやって定義していくというのを将来的に組み込んでいきたいなと思っています。EnterChainのこのレベルをクリアしたら、あなたはこれぐらいの実力がありますよという証明になると言う感じですね。」

望月「それができたらとても便利ですね。ちなみに原さんは普段どのような学習の仕方をしていますか。例えばGithubを見るとかでしょうか。」

「Githubも見ていますが、それよりは今みんながどういう風に教えているかという方が気になっています。なので初心者向けの本をすごく読みます。もちろん内容は知っているんですが、どんな風に表現して、どういう例えをしているのだろうかというのが気になるところです。」

勉強方法は変わっていくか

望月「現在”ブロックチェーンを勉強する”となると、本を読んだりネットで調べたりなどが多いかと思います。この様なやり方は今後変わっていくと思いますか?」

「変わると思います。というのもブロックチェーンを勉強していて一番いいなと思ったのがCrypto Zombiesでした。本というのは受動的に理論を追って、その時はうんうんとなるのですが何回もやらないと身につかないんですよね。ただCrypto Zombiesはちょっと理論を切り取って読んだら、実際に試してみないと次に進めず、理論と実践がすぐその場でフィードバックして帰ってくる仕組みになっている。この仕組みというのはすごく効率いいなと思っています。今でいうとプログラミングだったらProgate、AIだったらAidemyなどがありますが、今後こういうのが増えていくんじゃないかなと思っています。」

望月「となるとEnterChainではCrypto Zombiesのようなものになりますか?」

「そうですね、エンジニアコースではまさにあのような形になると思います。左側に説明があって、真ん中に実際にコードを書いて、実行して次に進むというようなものです。

例えば今用意している初心者向けのものは、ブロックチェーン の仕組みを理解するために自分で仮想通貨をJavascriptoで組んでみたりとかします。受講して出来上がったものが一つのアプリケーションになっていて、そこから好きにアレンジ加えていったり、そこを元にいろんなアプリケーション開発の参考にするとかですね。」

まずはα版リリースが目標

望月「現在の開発状況と今後の展開を教えてください。」

「今はα版という形でのリリースを目標に進めています。超初心者コース、エンジニアコースの一部という形で、全部無料で公開してフィードバックをもらうおうと思っています。そして、来年の春ぐらいにβ版か正式版をリリースしたいと思っています。」

望月「まずはα版という形でのリリースを目標に作られているという事ですね。では最後に未来のユーザーに向けて一言お願いします。」

「楽しく勉強するのが一番大事かなと思います。なので、うまく楽しんでやっていって欲しいですね。僕らも楽しんでやってもらえるようにゲーミング要素を付ける予定なので、そこもフィードバックをもらえながら一緒にやっていって貰えたら嬉しいなと思います。」

まとめ

業界で働ける人材を増やしたい、正しい知識を持った人を増やしたいという純粋な想いを胸に作られているようでした。ただプロダクトリリース前の開発段階中ということで、現場ならではの苦悩も多くあるようです。中でも普通の人は『非中央集権』をがわからず、銀行が仲介していることを意識していないのは当然だと思います。だからこそ、これからブロックチェーンを使ってプロダクトを作るという方は、このような人々を置き去りにしないようにする事が必要かと思いました。

EnterChainはまずはα版リリースが目標とのことですが、近い将来ブロックチェーン勉強するならEnterChainだよね、となる日もそう遠くないかもしれません。

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