Ethereum2.0 Meet upイベント

冨澤 宝斗 (Takato Tomizawa)
HashHub
Published in
7 min readJun 14, 2019

この記事は、2019年6月4日にHashHubで行われたEthereum2.0 Meet upイベントの参加レポートです。

概要:
Ethereumの次のアップグレード段階であるETH2.0(Serenity)について最新動向をキャッチアップする勉強会です。ETH2.0はDecentralization(分散性)、Resilience(弾性)、Security(安全性)、Simplicity(シンプルさ)、Longevity(持続性)の5つをゴールにデザインされており、何段階かに分けて実装されていきます。

当日はPrysmatic LabsのIvanさん、国内でイーサリアムの最新状況を追っているZigenさんをお招きして、Casper、Sharding、Beaconchain等の概要、抑えておきたいキーワードやコンセプト、最新の状況などについて学び、ディスカッションをしました。

Ethereum2.0の概要

発表者:
Prysmatic Labs ソフトウェアエンジニア Ivan Martinez(アイバン)さん

最初に、PoWとPoSの比較。

PoSのメリットとしては、電気代がそこまでかからないこと、ステークされたトークンをバーンできること、コンセンサスに参加する障壁が低いこと、Mining PoolよりもStaking poolの方が危険度が低いことが挙げられており、PoWについては攻撃のコストが高いこと、耐検閲性が高いこと、計算競争による分配がよりPoSよりもフェアだといいやすいこと、コインの価格に安全性が依存しないこと等が挙げられています。

一方、PoSのデメリットは保有量の多い人がより富む性質がある、PoWよりも歴史が浅いアンフェアな分配が集中化につながる可能性がある、安全性が価格に依存する(トークンの価格が安すぎると買い占めやすくなる)

PoWは電力消費が多すぎること、セルフィッシュマイニングのリスクがあること、電気代をカバーできるリワードが必要なこと、シャーディングができない等が挙げられています。

ETH2.0で抑えておくべきキーワード

また、ビーコンチェーン、シャードチェーン、バリデーター、スロット、エポック、コミッティー 、アテスター 、スラッシュ等、ETH2.0をキャッチアップするにあたって必要なキーワードについても易しく解説してくださいました。

真ん中の(青)がビーコンチェーン、周りの水色のチェーンがシャードチェーン。グラフィックがあると視覚的にわかりやすい。

Beacon Chainの説明では、Beacon Chainでは全バリデーターの状態を保存したり、デポジットコントラクトの為の最新のETH1.0ブロックのハッシュを保存する役割を持っているそうです。そしてFinalityやFork choice(LMD GHOST)の説明をして、質問タイムになりました。

その他、報酬のシステムやSlashと言ってバリデータのステークしていた分のETHがバーンされるペナルティについての解説なども完結にまとめて下さいました。

発表者のIvanさんが所属するPrysmatic LabsもはETH2.0のクライアントを開発しておりTestnetで試すことが可能です。興味のある方はぜひ使ってみてください。

本人に許可を得てスライドを引用させていただきました。発表に使われたスライドはこちらから閲覧可能です。スライドの最後の方には様々なクライアントの紹介、より深いディスカッションを行えるフォーラムのリンクや今回のスライド作成に用いた参考資料もついています。(https://docs.google.com/presentation/d/1IZCKUwhAloMjRkqPDR0ym-jy8EWtOkOPYWBwmdGtqjE/edit?usp=sharing)

・最新動向トーク

発表者:
株式会社メルペイ Zigenさん
Zigenさんのセッションタイトルは、「Ethereum2.0 State Execution Compendium」でした。

発表の前に、「ETH2.0は来週には、完全に別物になっているかもしれない」と話ていました。理由は、日本時間の6月5日からScaling Ethereumが始まるからだそうです。

アジェンダは、
・ETH.xのeWASM
・State Execution in ETH2.0
・eWASM Scout
です。

最初のeWASM編では、RustやC++でコントラクトが書ける事やそもそもの特徴が紹介されていました。eWASM用のgethを使って動かすテストネットが実装されているそうです。

続いて、State Execution in ETH2.0について。以下の3点を説明しました。
・Phase One and Done
・Phase 2 Proposal 1
・Phase 2 Proposal 2

最後の方で、今回シェアした情報は来週にはガラッと変わっている可能性がありますが、ここに出てきた用語や仕組みを大まかに追っていけば、来週以降のEthereum2.0にも食らいついていけるとのことなので、詳しく追いたい方は下記のスライドやETH2.0のspecを読んでみて下さい。

Zigenさんの スライド
https://docs.google.com/presentation/d/1LI651NcXSX6-S6G-68VZAO1IKxDjnhBUNcxvW01WrFI/edit?usp=sharing

スケーリング・イーサリアムの動画

https://www.youtube.com/channel/UCb3BC4g3K-3o4Zq7cXN2EQA?view_as=subscriber

Ethereum2.0について、Zigenさんもイベント中に言っていましたが、とても追うのが難しくて大変だと感じました。まだまだ議論の段階のものもあり実装が追いついていない事や変更がすぐに行われるなど、ブロックチェーン業界ならではのスピード感があるなと思いました。ですがそこで、めげるのではなく、みんなで勉強していきながら技術を学び、社会実装して行きたいですね。

お知らせ:

■HashHubでは入居者募集中しています。

HashHubは、ブロックチェーン業界で働いている人のためのコワーキングスペースを運営しています。見学や体験利用も受け付けていますので、下記のWEBサイトからお問い合わせください。また、最新情報はTwitterで発信中です。

HashHub:https://hashhub.tokyo/

Twitter:https://twitter.com/HashHub_Tokyo

■HashHubでは下記のポジションを積極採用中です!

・ブロックチェーン技術者・開発者

詳細は下記Wantedlyのページをご覧ください。

Wantedly:https://www.wantedly.com/companies/hashhub/projects

--

--

冨澤 宝斗 (Takato Tomizawa)
HashHub
Writer for

琉球大学4年次 物理専攻 | Node.js | Ruby | Ruby on Rails | インフラ | 休学を終え、東京から沖縄に帰ってきました