HashHub入居者インタビュー Vol.5 スタートバーン CEO 施井さん ~前編~
今回はHashHubのチーム部屋を利用されているスタートバーン CEOの施井さんにインタビューしてみました。スタートバーンさんはアート×ブロックチェーンをテーマに活動されています。アートの市場規模は世界で約8兆円とも言われていますが、その中で活躍できるアーティストは一握りであり、若手アーティストに中々チャンスが回ってこないなどの問題を抱えています。現代芸術家としても活動されている施井さんに、それらについてどのように考えているのか、それをブロックチェーンでどのように解決しようとしているのかお聞きしてみました。前編ではスタートバーンさんの事業内容を中心にお聞きします。
執筆者 HashHubインターン 望月
<スタートバーン情報>
スタートバーンホームページ:https://startbahn.jp
Startbahn.org:https://startbahn.jp/service/startbahn-org/
富士山展:https://exhibition.startbahn.org/fujisanten/
施井泰平:プロフィール
望月「普段されている事、簡単な会社の事業紹介などをお聞きしたいです。」
施井「アート×ブロックチェーンのプロジェクトを進めています。元々は現代美術家でアーティストとして15年ぐらい活動していて、その延長線上でアートのインフラを作るという会社を立ち上げて今に至ります。会社は2014年に起業しました。今でも作品を出していて、去年は5回ぐらい展示しました。
起業前は他にも大学の先生をやったり、フリーランスのデザイナー/エンジニアとしてwebを作ったり、店舗デザインとかをしていました。」
望月「色々やられているんですね。エンジニアとしても長く活動されているのですか?」
施井「そうですね。仕事はフロントエンド寄りでやってたのでプログラマーというほどでもないかもしれません。ウェブサービスを丸々一つ作ったり、一通りプログラミングはやってみているけど正直あまり得意じゃないという感じです。」
望月「今のスタートバーンの開発にも携わっているのですか?」
施井「仕様の策定ぐらいまではやりました。今回のブロックチェーンプロジェクトも一番最初にブロックチェーンで何ができるかみたいなこととかまでは大体僕で、そこからCTOとかエンジニアと協議して、ブラッシュアップしていく感じですね。なので一番最初の設計とかはだいぶ関わっています。でもコードは全く書いていません。3年くらい前に忙しい時に手伝おうとしたら社長は(コーディングが雑なので)黙ってて下さいと言われたこともありました(笑)。」
『アートブロックチェーンネットワーク』に世界中が繋がる
望月「早速事業のことについて深掘りしていきたいと思います。アートの証明書を発行するという形だと思いますが証明書は具体的に何をどのように証明するのですか。」
施井「今のアートの世界でトップクラスの世界でも、作品の証明書みたいなのを作ったりするのですが、全然フォーマットとかルールが決まっていないんです。だから電子化とか以前の問題で、ルールも何もない状態です。犬とか猫の血統書みたいなものなんですが、そういうのが独自のフォーマットで適当に作られているという世界です。なのに億単位の作品の証明になっていたりします。なのでそれを電子化してブロックチェーンに入れるだけでも十分意味があることではあります。スマートコントラクトでみんなが共通のプロトコルで証明書を発行したり、それを使えるようにしたいっていうのがまず一つあります。
その中でただ単なる証明書だけではなく、アートの世界では来歴というのが重要になってきます。この絵はナポレオンが所有していた作品です、と言われるのと、その辺の100円ショップで買ったものです、というのでは全然価値に対するイメージが違うじゃないですか。
またどこで展示されたとかの来歴もすごく重要になってきます。なのでそれが自動的に記述されていくような証明書を作ろうと思っています。今作っているアートブロックチェーンネットワーク(ABN)はいろんなサービスやプラットフォームが接続できるようなメタなプラットフォームなので、繋がるそれぞれのサービスがそれぞれ独自の証明書を発行出来て、かつ他のサービスと互換性があるようなものになります。世界中の何千というサービスが繋がり、サービスを横断して証明書を使うことができ、さらにその活動が証明書に自動的に記録されるというのをやろうとしています。」
画像出典:スタートバーンホームページより
望月「ということは世界中にいくつかあるアート関連のものを統合したいということですか?」
施井「そうです。そしてすでにそれが動き始めています。前述の『アートブロックチェーンネットワーク』ですがそれに参画したい人たちを募集したのが今年の7月でした。ブロックチェーンネットワークがあって、僕らのstartbahnはそこに接続する一個のサービスにすぎないんですが、ECサービスとかオークションサービスとか証券サービスとか色々繋がっていくことを目指します。証明書だけではなく来歴もどんどん残っていく。自分たちのサービスで買ったものを、他のサービスで売却したり、他のサービスで証券化やら何やらをした時に毎回来歴が残っていくというのをやろうとしています。他にも鑑定をしましたとか、修復をしましたとか、展示しましたとか、賞を取りましたとか、融資のための担保にしましたとかが記録されることなんかも想定しています。」
望月「融資も入ってくるのですか?」
施井「そうなんです。ビッグコレクターだと億単位の作品を何個も買って、さらに新しい作品を買いたいという時があります。そこで融資を受けようと作品を担保にしようと思っても今ではなかなか出来ないんです。査定も難しくて担保になりにくいというのがあります。その辺もブロックチェーンに記述して担保として登録しますみたいなのをすると動産担保融資もやりやすくなったりするのではと話しています。あとは証券化などをしてアートを10人20人とかで分割で所有するとかできるようにするというものですね。なので色んなところに可能性があると言われているのでそういう一個一個を能動的に実現したり繋げていって、ブロックチェーンxアートの拡充を先導していきたいと思っています。」
『富士山展』が実質デビュー
望月「実は先ほどサービス登録させていただきました。ただ内容はかなり質素に感じたのですが」
施井「ありがとうございます。1月の初めに『富士山展』というのをやるのですが、それが実質デビューみたいな形になります。なので今は機能が全然ない感じです。もう2000ぐらいの作品が登録してあるのですが、今は一望出来ないようになっていて、4月ぐらいまではベータ版みたいな感じです。
実はこういう作品の傾向があるところには自分は出したくないという人がアートの世界では結構います。だからBASEやSTORES.jpみたいにそれぞれのショップが同じシステムを使ってたまたま繋がっています、みたいに今後はしていこうと思っています。
今は単純な売買と証明書を付けられますが、機能も半端です。ただ富士山展には間に合うようになっていますので、実質1月5日からの富士山展がstartbarn.orgのスタートになります。」
画像出典:スタートバーンホームページより
アートとブロックチェーンは相性がいい
望月「全国30箇所ほど回るようですが、自分も機会があれば行ってみたいです。ただあまり美術展とか行ったことないんですよね。。。」
施井「ブロックチェーン界隈の人結構いますよね。アートとブロックチェーンの相性がいいならやってみようみたいな人が何人もいて面白いなと思っています。そっちの流れなんだみたいな(笑)
ただこれは本当に相性がいいと思っているんです。オラクルの問題ってあるじゃないですか。作品があって証明書があってこれとこれは紐づいているのか、みたいなことはアートだけでなく現実世界もあるじゃないですか。そういうのとずっと付き合っている業界という意味で相性がいいなと思っています。
でもそれを分散オラクルだとか、トラストレスでとかでやるというのは難しくてだからどうしても脱中心ではなくて、既存の強いプレイヤーが強いみたいなのはどうしてもあると思います。脱中心だったり分散オラクルの実現を理想に据えつつも、今できることから取り組んでいこうと思っています」
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