【プロジェクトインタビュー】西日暮里スクランブル

— 時を刻む人と人の交流の場

Okamawari Yukiko
HEAD Journal
6 min readJul 8, 2020

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リノベーションTF(タスクフォースチーム)新年会と合わせてリノベーションTFの委員長である宮崎晃吉さんがリノベーションした西日暮里スクランブルのツアーをしていただきました。(岡廻由貴子)

西日暮里スクランブル

時間と空間の隙間・境界で面白いことを

宮崎:「ここは数年後のJR駅の改修でエスカレーターが作られる予定のため、暫定利用になるのですが、それまでという条件でもう一度内装をやってみませんかという形で始まりました。もちろんチェーン店などが入ることもありえたのですが、JR側としても何か面白ことをやりたいということで始まりました。」

— よく見つけましたね。

宮崎:「JRと僕らは元々コミュニケーションがあり、山手線プロジェクトというのがあって…まちの個性、まちや人がつながる生活空間を創り上げていくプロジェクトなのですが、それを担当している方が突っ込んだプロジェクトをやりたいと始まりました。」

宮崎:「ここ(元はK社のフライドチキン店)を空っぽにしました。僕もTAYORIという食品の店舗を元々やっていたのもあり、最初に決めたのがここを八百屋さん。その向かいにスパイスカレー屋さんに入ってもらいました。

で、この八百屋さんとスパイスカレー屋さんの間の屋内に、見えませんがJRとの境界があるんです。八百屋さんは実はJRの高架線下にあります。なのでJR側は土木?で高架下でないところは建築という境界で接しているのです。
そこを挟んでスパイスカレー屋さん。なぜカレー屋さんかというと隣の八百屋さんの食品ロスが出ないように食材をこちらで使うようにしています。」

— 野菜は豚汁とかカレーとかはいいですよね。何をいれても美味しくて。外装はどのように決めたんですか?

宮崎:「30度でラインを引いてあるんですけど、角度はそんなに意味はないのですが、既存を全て塗りつぶす訳ではなくて半分重ねて混ぜていこうというのがスクランブルという意味を重要にしています。だいたい駅前リニューアルってチェーン店ができてピカピカに綺麗にしていくのですが、そうすると街の蓄積が残らない、どこにでもあるような店ができていくじゃないですか?ここは元々K社のファストフードチキンが入っていたのですが、そのK社の歴史でさえ残していこうということですね。」

「このあたり」のニーズが作った「自分の本屋」さん

宮崎:「こちらは本屋さんです。棚がずらりと並んでいますが、箱貸ししています。本屋を一度やってみたい方向けにやっています。 」

— お店はどのように回しているんですか?

宮崎:「基本的に希望者がやっています。それでやっている方はこの真ん中の机でポップアップ的に自分の本をや売りたいもの展開できるようにしています。
箱の中は本だけに絞っていますが、ここのテーブルの上では小物を売ってもいいし、Tシャツなんかを売ってもいいし。なので月4000円で駅前で店を開けるんです。やれるのは週1回までなのですがね。」

— やりたい人は来ますか?

宮崎:「結構来ますね。毎週やりたい人もいます。逆に、それはという人もいますがやりたい人がやればいいので。

あとは自分の棚に本をいれて、オーニングに自分の札を入れるんです。自分のお店の名前など。立て看板のような感じになります。
それで、全部で78箱あるのですが、今30くらい埋まっていてまだ搬入していない方もいるので。」

— やはり本だけがいんですか?例えばフィギュアとかでこういうのをやっている方もいますが。

宮崎:「ギャラリーではなくて本屋を作りたかったので。ここ周辺って本屋がないんです。なので本屋がすごく待望されていて。」

— でもここだけで見るとすごい坪単価になっていますよね。この一箱ぶんの床で見たらすごいね。

宮崎:「全部入ったらこの本屋で月30万くらいはいきます。今はトントンくらいですね。でも、駅前でということを考えるとすごいことだと思います。」

ジェラート

ジェラートフレーバーのコメントに現れる人の気配

店員:「ここはジェラート屋さんですね。味が30種類くらいあってショーケースに入っているフレーバーを毎日変えているんです。それで、変えた人が味についてのコメントを書かないといけないルールにしています。そうするとみんな少しずつテイストが違くて面白い感じになるんです。」

— 確かに謎なコメントもあったりしますね。

店員:「北海道の釧路にある牧場で作っていて保存料や増粘材など一切使っていないんです。」

— ブルーベリーめちゃくちゃ青いですね。美味しそう。

店員:「ブルーベリー味は近所のお客さんが食べたいと言って作ったんです。出来立てホヤホヤの味ですよ。」

— 結構すぐできるものなんですか?

店員:「そうですね。ブルーベリーを私たちが仕入れて送ると北海道から3日後に帰って来ます。それで今回はまだ1回目なのでまたお客さんの声を聞いて調整してってやって行きますね。

(結局。ブーベリー、かぼちゃを購入。)

ミルク味だとこの近所の味噌屋さんの味噌をかけて食べたりするんですよ。
ここの壁にここ周辺の地図を貼っているんですけどね。近所の豆腐屋さんだとか蒟蒻屋から色々頂いて見つけてここに載っけていっています。まだまだ埋まっていませんが。笑」

宮崎:「次に革製品の修理屋さんですね。メンテナンスなんかもできます。

最後に精神障害のある方のクリニックをやっているお医者さんが、
その施設使用者さんが手作りで作ったものを売っているお店です。たまに、施設使用者さんが売り子をやりにきたりもしますが、調子のいい時悪い時なんかあります。なので、あまりガチガチにシフトを組めないので、基本無人でやっています。
ここに両替機とお金を入れるボックスがあるんです。それでお金を入れてもらってという感じです。」

宮崎:「2階はNIGHT KIOSKですね。冷蔵庫に並んでいる150種以上のお酒から自分で飲みたいものを選び買ってもらう形にしています。」

(コロナ前に訪れた日暮里スクランブルは狭くてこの建物が歩んできた時代だけでなく人やもの、地域の愛がたくさんが詰まっていました。広くはないけど温かみのある空間がとても居心地よく早くまたこの建物がぎゅうぎゅうに詰まれるように…。)

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