情報を貯めていく(その1)

研究会インタビューシリーズ vol.06 — HEAD研究会建材部品タスクフォース委員長 山本想太郎さん —

Okamawari Yukiko
HEAD Journal
6 min readDec 27, 2019

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建材部品TF 委員長 山本想太郎さん[一級建築士日本建築家協会 情報設計委員会 会員/日本建築家協会(JIA)会員 デザイン部長/東洋大学、工学院大学、芝浦工業大学非常勤講師]

建材と建築をつなぐ

— いつもの仕事はどのようなことをされていますか?

所謂建築家というようなお仕事ですね。建築の施設から住宅の設計をしています。

— 2005〜2008年にDetail Japanの総監修をされていましたがをどのようなきっかけで総監修にをされたのですか?

そうですね。具体的なきっかけとしてはDetail Japan (ディテール・ジャパン)の編集長さんがもともと建築文化という雑誌の編集長をやられていた方で、その時から建築系の文章についてお仕事をさせていただいていて…まぁ建築文化の雑誌に建築のエッセイを書いて載せるような仕事をやっていてその経緯で誘いを受けました。ただ、そのデDetail Japanというのがかなり技術系の雑誌(建築のディテールについて)でさらに日本の建築だけではなくて海外のも半分くらいは扱うので結構実務的なレベルが問われるものなんです。なので所謂「編集者」ではちょっと内容を書ききれないんですね。なので建築家に監修をお願いしたいということだったんですが、そんなに偉い建築家は毎月ものすごい時間を取られるのでやってられないというので比較的若い人間で大きなビルから小さい建物までディテールを一通り知っている人ということでお誘いをいただきました。

当時というかその少し前まで勤めていたのが坂倉建築研究所で、その事務所がアトリエの少し大きいくらいの事務所なんですが、比較的幅広い仕事をやっていて、本当に戸建ての住宅から超高層ビルまでやるような事務所だったのでそう言った意味でも幅広い知識があるというのがお誘いいただいた理由だと思いますね。

— 学生事務局のメンバーでジャーナルを始めましたが、インタビューの話をどのように進めるのか、言葉の表現などまだ迷うところが沢山あります。山本さんはインタビューなど記事を書く際はどのようにやろうと考え進めましたか?

今日一冊の本を持って来たのですが、これはDetail Japanで行ったインタビューを本にして出したものなんです(DETAIL JAPAN TALK 2005-2007 トップアーキテクトたちが語る、建築デザインとディテールの現在)。僕がこのインタビューをするシリーズをやるというきっかけとなった理由としてはディテールに関する話って意外と流通していないなと。いうふうに思ったんです。それぞれの事務所でもものすごく一生懸命いろんな建築の方がディテールを考えてパズルを解ききったあの神業のようなディテールをその度ごとに生み出してやっているんですが、その話ってどうやって流通しているんだろうとこの本を初めて思ったんです。

でもその話を自分が実務で普段していないかというとものすごくいっぱい建築家としているんですね。例えば、飲み会の席で「こんなのやって治らなくてすごい困ったよ」みたいな話とか…あるいは事務所の昼休みとかでご飯食べた後に事務所のスタッフみんなで「どんなところに悩んでいる?」とか話をして「こうやると納るんじゃないの?」みたいな感じで。だから建築家はみんなこんな話をしているの。なのに実は雑誌にも載っていないし、図面集見ても図面しか載っていないから意外とよくわからない話なんですよね。

でも実際こういう話をしているところを思い返してみるとものすごく楽しいんです。自分が一番一生懸命考えている分野なので、自分が一生懸命考えている分野を一生懸命考えている人同士でお互いにし合っているという状態なので設計事務所で食べている時の会話だとか建築家同士の飲み会などで話すとものすごい盛り上がっているのですよ。で、この楽しさというのを私たちの中である意味でクローズにしておくのはもったいないなというそのモチベーションなんです。楽しく話をしている、しかも偉い建築家も若手の建築家もみんなある意味イーブンに話ができる。

この本を取っても槇文彦さんだとか伊東豊雄さんだとか偉い人たちなんだけど偉い人たちでもこのディテールの話ってあの建築のあのティテールってどうやってんですか?って話をするとすごく仲間意識を持って楽しく、気難しい人でもものすごく打ち解けて話してくれるんです。共通言語があるみたいな状態になるので。

そういう意味では自分たちが話していて楽しい、自分たちが知りたい自分が面白いと思える会話みたいなものというのこそがインタビューの本質であって何を聞かなきゃいけないだとか社会のために何を発信しないとけないとかというのは面白いインタビューとしての副産物だと思うんです。まずはインタビューアーとインタビューされる人がすごく楽しんだ会話ができるかどうか。それがテーマを決める時の最大のポイントだと思いますね。まずはインタビューアーやインタビューを受ける人がすごく楽しんだ会話ができるかどうか。会話の中で自分がその瞬間に一番ウケたこと興味を持ったことを素直に聞いちゃって話し合えるというのが一番その場で何かが起こるというインタビューになるのではないかなと思いますね。

これも、一応毎回テーマを設定しているんですよ。藤森照信さんの回ではなんのために住宅を設計するのか、鈴木了二さんには建築の表層についてとか。

このテーマ設定というのがかなり重要で、こういう人にはこういうことを聞きたいなというのをまず設定して。例えば、隈さんに聞いたらなんでも返ってくると思うけどやはり隈さんの中で一番謎な部分で木をいっぱい使うんだけど木って決して使い勝手が良くなくて耐久性も良くないしあんなに公共建築をいっぱいやっている人があえて扱わなくても隈研吾も木を使わなくてもいくらでも評価されるのにあえてなんでそんな難しいところのものを使うのかなというふうに思ったからこそ隈さんにはなんで木を使うんですか?という話を聞いたりとかね。まずそこがインタビューの中心と考えることとなりますかね。

だからコツというよりかはなんでこういうことを聞きたいのか?ということじゃないですかね?なので人もこの人の話を聞きたいなというところから人を選ぶということをしています。(インタビューその2へ続く)
(聞き手・文責 岡廻由貴子)

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