Day 17 — 過去最高に美味しいパスタをつくるまでの話

Keisuke Asada
henngeblog
Published in
Dec 17, 2023

みなさん初めまして。もうすぐHENNGEに入社して2年目になろうとしている浅田と申します。今回は、長野県にある善光寺にお参りをした際に出会った商品と、その商品を使ったレシピをご紹介します。

善光寺参りをするために長野駅から歩いていると、八幡屋礒五郎本店が見えてくる。善光寺の光景と不思議と調和しつつ独特な佇まいの店舗(堂々と写真を撮り忘れております)に、溢れんばかりの人がいるのが見えた。時刻はお昼前、まだ人々が活発に動き始める前の時間帯である。

ここにいるみんなが七味唐辛子を求めているのかと度肝を抜かれた。

子供の頃、亡くなった祖父だけが、七味唐辛子のことを「七色」と呼び続けていたことを思い出す。

蕎麦屋で「七色ください」と言っても誰にも通じないため、毎回コミュニケーションの遅延が発生していたが、あとになって調べてみると江戸では古くは本当に「七色」という呼称が一般的だとか。

そんなことを思い出しながらお店に入ってみると、七色は七色どこではない、いくつもの商品に色を変えており、そのバリエーションの多さに驚いた。七味缶だけでも通常のものに加え、ゆず七味や七味ガラム・マサラまで多様で、それ以外にも七味辛みそやガーリックと合わせた七味炒め油まで。

あまりの幅広さに、どんな料理をしたらいいかも思いつかず立ち尽くしていると、後ろからおばあさまが顔を出され、私の目の前にあった七味ぽん酢を手に取った。

それからなぜか私の目をしっかりとみて、「ほら、もみじおろしって自分でつくるの大変じゃない。だから仕方ないのよね、いいのよね」と何かに言い訳をしながらそれを買い物かごにいれて、レジに向かっていった。

自分でもみじおろしを作ったことすらないのでその苦労は計り知れないものがあるが、実際に作った人がそう言っているからそうなのだろう。おばあさまの苦労と、ぽん酢に絡まった液状の七色への興味が高まり、私も同じものを購入することにした。

はじめは無難に鍋に使用してみた。たしかに美味しいが、あまりに無難な使い方で物足りなくなってくる。
なにか他に使える料理はないものかと、すこし家から離れたスーパーまで歩いて、旬の食材を探しながら思案した。最初に野菜コーナーで目に入った深谷ネギが、とても立派だったので買い物かごにいれた。

ネギに旬も何もないだろうとおもって適当に買い物かごに入れたのだが、そういえば深谷ネギは寒さによって甘みが増す冬のネギだと言われていることをふとおもいだした。それも祖父からきいた話だった。

妙に祖父との縁をそこで感じて、思考まで祖父とだぶってくる。

”うまいネギだろ。ネギといえば鴨だよな。適当に鴨とネギでも買って、ぽん酢でもかけて食っときゃいいんだよ。”

あまりに乱暴な祖父の提案は頭のなかで即座に却下したが、たしかにネギと鴨肉の組み合わせは定番だし良いかもしれない。それで、生の鴨肉はそのスーパーの精肉コーナーには存在しなかったので、鴨肉の燻製肉を買うことにした。

ちょうど、鴨の脂でネギを炒めて食べる鴨南蛮の作り方を応用して、何か蕎麦以外の違うレシピができないかと前々から思っていたので、ちょうどよい機会だった。
長野県の道の駅で購入したジャンボにんにくが冷蔵庫にあったので、これでアーリオオーリオのようなものをつくってみようと考えた。

真空パックになっている鴨の燻製肉を開封して、上部に綺麗にひっついている脂身の部分を、そぎ落とすように切り分けていく。

この鴨の脂を、少量のオリーブオイルと混ぜてオイルパスタのベースとして使用するため、余計なスパイス感を出さないために、鴨はパストラミではなく通常タイプの燻製を選んでいた。

七味ぽん酢を使用することにこだわらないのであれば、パストラミを使用してもいいかもしれない。

鴨の脂とオリーブオイルをフライパンにひいたら、火にかける前にスライスしたニンニクをいれる。

これと同時に、脂身以外の鴨肉は一口サイズに、ネギも切ってお皿にうつしておいた。私のように基本的にすべての行動がもたもたしている場合、絶対にこのほうがいい。

またもたもたすることを見越して、パスタも7分茹でにしている。4分で茹で上がるパスタは、無言のプレッシャーをかけてくるのでつらくなる。

具材を切ったら塩水でパスタを茹ではじめ、フライパンに火をかける。すぐにじんわりと鴨の脂が溶け出して、フライパンを傾けるとニンニクが浸るくらいになる。

中までニンニクの火が通ってきたら、ニンニクの表面が焦げる前にネギを投入する。これでネギにも鴨とニンニクの香りを移して、あとは残りの鴨肉をパスタが茹で上がる直前にいれて軽く炒め、パスタをいれてパセリと混ぜればできあがる。

一応アーリオオーリオなので、パセリはいれておいた(苦手な方は別にいれなくてもいいかもしれない)。

仕上げに、七味ぽん酢をかける。

ここまで長々と書いておいて、肝心の味の表現だけはうまくいかないのだが、和洋の中間をいく絶妙な味で七味の味も際立ち、今まで創作したパスタのなかで最も美味しい出来だった。
もし善光寺に訪れる機会がある方は、ぜひ七味ぽん酢を購入して、これを作ってみてほしい。ぽん酢だけでなく、味噌など別の商品でも合うと思う。オンラインでも購入できるようなので、是非!

Check out other 2023 HENNGE Advent Calendars articles here.

--

--