F&F コピス吉祥寺店

オーガニックスーパー探訪

こんにちは。東京工業大学博士課程の渡邊春菜です。このたび友人の小池裕子と共に、webメディアを開設することになりました。本題に入る前に、その経緯と今後の方針をお話ししようと思います。

1. 「一緒にオーガニックスーパーに行ってみようよ!」

突然の連絡からはじまったオーガニックスーパー探訪。そこでの気づきや疑問を手がかりに、オーガニック食品の流通や「環境に負荷をかけない消費」について調べてみよう、ということになりました。私たちは、学部でランドスケープ、修士でサプライチェーンの最上流である「農業」とランドスケープや社会とのつながりを学びました。今度は、最下流の「消費」から、これまで学んできたことを見てみたいと思っています。そして、働き方、消費スタイル etc…様々な価値転換の渦中だからこそ、食べるという最も身近な「消費」を題材として情報発信、問題提起をしていこう、ということになりました。

第一弾の記事として、私たちがオーガニックスーパーに関心を持ったきっかけと、今後の方針(調査事項)を書きたいと思います。

2. 私たちが関心を持ったきっかけ

ヒロコ

今年5月、地元のJA販売所に行った。地元のJAの販売所は昔はお年寄りが多い印象だったが、久々に行ったら若者が多くいて驚いた。販売所の農産物は地産地消であるため、(栽培方法は不明だが)輸送面で環境に配慮されており、鮮度が抜群だ。では「(特に栽培方法で環境に配慮している)オーガニック農産物を扱うスーパーは、地産地消なのだろうか?」と疑問に思った。そこで、農産物認証ラベルについて詳しい友人と一緒にオーガニックスーパー行って勉強してみようと思いついた。

ハルナ

修士論文のテーマである「農産物認証ラベル」を収集するために、大学近くのナチュラルローソンによく行っていた。なので誘いを受けたときは純粋に「面白そう!」と思った。

また、環境のためにも自分のためにも、環境に配慮した農産物のどのようにして(簡単に)入手するかが最近の関心事項でもあった。その経緯を書いてみる。

4月から外出自粛で「坂ノ途中」の野菜セット定期便をとるようになった。届く野菜は、独自基準に沿った有機や特別栽培の季節のもので、どれも新鮮で美味しい。「人参ってこんな香りだったっけ?」、「レモンの皮がおいしく食べれる!」というように、素材のそのものの個性や美味しさに気づいた。一方、スーパー等、小売り店に行ってそのような野菜を手に入れようとすると、買いたいと思うようなものに出会えない。スーパーの一角にある有機野菜は、認証ラベル以外の、何にこだわっているのか等の情報が得られない(有機JASマークを見ても個人的には購入意欲はあまり高まらない)。つまり、売っていても探すのが大変で、かつ高いとなると日常買いする野菜としては見合わない。ベルギーに住んでいたころは、日常的に平飼い卵を買える買い物環境だった。日本は何でこんなに買いにくいのだろう?この疑問から、(多少高くても)買いたいと思うような野菜の入手方法に関心を持つようになった。

3. 足を運ぶことからはじめよう

手始めに、オーガニック・自然食品スーパーのマップを作成した。どの地域にどんなスーパーがどれくらい展開しているのか調べると、東京には23企業72店舗があることがわかった。地図をズームアップしてみると、山手線渋谷~港区あたり、東急沿線に多く分布していることが一目瞭然で面白かった。(以下は作成したGoogle map※神奈川1店舗含む)

コロナの影響で現地調査にすぐに行くことができなかったが、6月末に麻布十番のBio C’ Bon(ビオ・セボン、フランス発)、三鷹・吉祥寺周辺の4店舗とJA直売所に足を運んだ。Bio C’ Bonは日本一号店の大きな店で、品揃えも豊富だった。しかし、三鷹・吉祥寺の店舗では、主に以下の気づきを得た。

  • 野菜など生鮮食品ではなく、加工品中心の取り扱い
  • 野菜などの生鮮食品が予想以上に高価格である
  • 商品説明(背景のストーリーや商品の特徴等)が一般のスーパーより丁寧(そういう情報を価値として商品に付加しているのだから当然ではあるが)

その他認証ラベルの視点で見ると、GIラベル付き商品がほどんど無い、ラベルはなくても独自の調達基準がある等、細かい気づきもたくさんあった。

4. 疑問に思ったこと、今後の調査方針

実際に足を運んでみて多くのことに気づけたと同時に、疑問に思うことがたくさん出てきた。

  • なぜ生鮮食品の取り扱いが少ないのか?
  • 高価格になる理由は何なのか?(生産方法や流通の仕組みの違いからなのか、それとも他の理由があるのか)
  • オーガニックスーパー誕生から現在までに、その形態(理念や取扱商品)に変化はあったのか
  • 日本の消費者の環境配慮への意識が低いのはなぜなのか?(公害や原発事故の影響で安全性に重きを置いているからなのか?子供の頃からの教育の影響か?)

これらの疑問から、

  • 食品(特に農産物)流通
  • オーガニックスーパーの発祥と変遷
  • 消費者意識

に焦点を当てて調べていくこととした(暫定)。

情報の確からしさには配慮しますが、ご指摘などありましたらお知らせください。

皆さんの疑問も随時募集しています!

5. プロジェクトメンバー

小池裕子 | Koike Hiroko(発起人)

東京農業大学地域環境科学部造園科学科、東京工業大学環境・社会理工学院都市・環境学コース修士課程修了。学部時代に漠然と日本の農業について問題意識を抱えていたところ、プロジェクト協働人の渡邊さんに、後に大学院時代お世話になる真田純子准教授の講演会に誘われた。そこで日本の農業問題の解決には消費者意識を変えていかなくてはならないとわかった。現在、社会人ではあるが、何か出来ないか日々摸索中である。

渡邊春菜 | Watanabe Haruna

東京農業大学地域環境科学部造園科学科、東京工業大学環境・社会理工学院都市・環境学コース修士課程修了。現在、同コース博士課程在学中。14歳の時訪れた、新潟県十日町の棚田の風景に興味を持ち、ランドスケープデザインを学ぼうと決意。農大、東工大での学び、修士在学中のフランス・ベルギー留学を経て、農業や社会の仕組みといった視点からランドスケープを考えるようになる。昨年より農産物の認証ラベル研究を始め、現在も継続中。

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Haruna Watanabe
オーガニックスーパー探訪

Ph.D. student, majoring in Landscape Architecture, Sustainable food & agriculture / Vulcanus in Europe2018(Belgium)