2020年6月にオープンした Bio c’ Bon アトレ竹芝店

調査レポート Vol.2

【フォーカス】日常使いのオーガニックスーパーをめざす「ビオセボン」の店づくり

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これまでの二回の現地調査で、都内の10事業者14店舗のオーガニックスーパーを見てきた。その中でも特に印象的だったのはフランス・パリ発のBio c’ Bon(ビオセボン)だ。

豊富な品揃え、つい見て回りたくなる店のつくりはどのように生まれたのか?フランス発のオーガニックスーパーならではの視点や戦略、取扱商品の特徴などから探っていく。

ビオセボンのワクワクのヒミツ

新鮮な野菜が並ぶ麻布十番店(左)、ビオセボンといえばバルクコーナー!20gから好きなナッツやドライフルーツが買える(右)

・生鮮・加工食品、日用品ともに豊富な品揃え

ビオセボンは、オーガニック商品へのハードルを下げ、日常使いしてもらえるような店を目指しているという。特に、購入頻度の高い生鮮食品などの品揃えは、他のオーガニックスーパーと比べても多い。

また、オーガニックワインやビール、ベビーフード、量り売りのナッツ・ドライフルーツなど、一般的なスーパーでは手に入りにくい商品も多数そろっている。

他のオーガニックスーパーと比べても、常温保存できる加工品~生鮮食品、日用品とここまで偏りなくオーガニック商品がそろうのはビオセボンの強みだろう。

・国産オーガニックへの期待

「国内グロサリー」という国内の生産者がつくる加工品の売り上げが伸びており、これらの商品開発を強化しているそうだ。[2]

オーガニックスーパーでは輸入品の割合が多い傾向がある。ビオセボンも現在は輸入品が目立つが、国産食品の取り扱いを積極的に増やしていこうとする姿勢は好印象だ。今後も、日本ならではの商品展開に注目したい。

・商品選びのサポート、ワインの例

ワインやビールで、オーガニックや保存料無添加のものを見つけるのは難しい。ビオセボンのお酒はオーガニックやナチュラルワインと言われるものなので、オーガニックかどうかに気にせずに、産地や味で選ぶことができる。

ワインは詳しくない、という方でも大丈夫。生産者のこだわりや認証ラベルの説明、おすすめのおつまみとのセット提案を見ながら、いいなと思ったものを選んでみてはどうだろうか。(↓写真)

オーガニックワインやビールの品ぞろえも多く、色々試して好きなものを見つけるのも楽しい!チリ産などお手頃価格のワインも多数

・わかりやすい店内づくり

緑色で統一された店舗にすっきりと商品が並んでいる。普通のスーパー並みに広い麻布十番店(130坪)も、コンビニサイズの外苑西通り店も、商品があふれてごちゃごちゃした感じはない。フロアマップもあり、買いたいものを探すのも比較的簡単だ。

緑を基調に整えられたれた店舗(左)麻布十番店、(中央)外苑西通り店、(右)外苑西通り店のフロアマップ

・時間帯でカフェ、バルに変わる空間

一般的にはバックヤードで調理されるお惣菜。麻布十番店ではカウンターに囲まれたキッチンで調理をしている。カウンターは一部ショーケースになっており、チーズやサンドイッチ、出来立てのお惣菜が並んでいておいしそうだった。

グラスワインを注文してイートインスコーナーで楽しむこともできる。朝ごはんを食べるカフェとして、また気兼ねなく立ち寄れるバルとしても利用できるのも魅力だろう。(↓写真)

大きなセンターキッチンとイートインコーナー(麻布十番店)
通りに面したイートインコーナー(左)外苑西通り店、(右)アトレ竹芝店

無意識のうちにオーガニック

豊富でバランスよい品揃えであること、わかりやすい店内は、オーガニックだからと気張らずに、ちょっとスーパーやコンビニに立ち寄る感覚で買い物ができる(少々高いが)。そうしていると無意識のうちにオーガニックが日常に入ってくるのではないか。

さらに、店や商品について気になった時にHPを訪れれば、おすすめ商品、生産者紹介など様々な情報が手に入る(現在約80記事)。

Bio c’ Bon : ビオセボン基本情報

2008年、パリで創業

「Bio」とは、フランス語でオーガニック(有機)のこと。「Bon」はフランス語で「おいしい」「良い」という意味。Bio c’ Bonは、オーガニック商品へのハードルを下げることで、日常使いできるスーパーを目指している。フランス、ベルギー、イタリア等の大都市圏に展開しており、日本では2020年8月現在、東京、神奈川に18店舗を展開している。

開店年表(筆者作成)

記事中に登場したビオセボンの現地レポート

参考文献

  1. 「オーガニック後進国」日本の残念すぎる事実、東洋経済オンライン(2019/09/17)
  2. ビオセボン・ジャポン代表取締役社長 岡田 尚也
    出店数は昨年度並みをベースに店舗フォーマットは柔軟に検討
    (2019/04/15)
  3. The Cuisine Press (2018/05/23)

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Haruna Watanabe
オーガニックスーパー探訪

Ph.D. student, majoring in Landscape Architecture, Sustainable food & agriculture / Vulcanus in Europe2018(Belgium)