現地レポートVol.4(番外編)
鎌倉市農協連即売所
現地レポートVol.3では桜新町周辺のオーガニックスーパーを紹介しました。実は、私たちは今年の8月に鎌倉市へ足を運んでいたのです!鎌倉でオーガニックスーパー?いえ、オーガニックスーパーではなく鎌倉市農協連即売所に行ってきたんです!とても見どころ満載の所でした!
調査日:2020年8月23日
目次
- 鎌倉市農協連即売所について
- 鎌倉野菜とは
- 現地調査振り返り
- 次回予告
1.鎌倉市農協連即売所について
基本情報
アクセス
運営主体:鎌倉市内と横浜市長尾台町の農家
・横浜市の農家が加入しているのは、発足当時はまだ横浜市や鎌倉市が誕生する前で、鎌倉郡長尾台村だったため
・現在23軒で4班に分かれ、交替で出店
・近年は後継者不足で全盛期からは減ってはいるが、ご子息が継いでいるところもある
沿革・背景
・昭和3年 発足
・鎌倉在住の農家が各引き売りをしていたところ、外国人牧師から「ヨーロッパでは、農家が自分で生産した野菜などを決まった場所で直接消費者に販売している。」
という話を聞いたのがきっかけになったと言われている
・当時、農村は不況に見舞われ、「自立更生するためには生産するだけでなく、組織的な直売態勢をつくることが必要」ということで生まれた
・過去2回移転して現在の地となった。
コンセプト
「私達は、安全で新鮮な農産物をお届けしています」
(鎌倉市農協連即売所の入口に貼られている看板より)
販売可能な農家
・鎌倉市農協連即売所の組合員が販売できる
現地調査レポート
・近年はルッコラ等の西洋野菜を栽培・販売しているのは近年の需要の高まりから。
・長なすやピーナッツバター等、スーパーでは売っていない新鮮な野菜が多数
・農家さんに質問したら気軽に応えて下さり、生産者と消費者の距離が近いと感じた
2.鎌倉野菜とは
ここで鎌倉野菜について簡単な説明をします。
・神奈川県の鎌倉市や藤沢市周辺で栽培している野菜のことで、1998年くらいから用い られ始めた比較的新しい名称。
・特定の品種を表すわけではなく、販売されている野菜全体を指した通称。
・使用する農薬を減らして栽培しており、完全なる無農薬野菜を指すわけではない。
・鎌倉市の農業は、北部の関谷・城廻地区の農業振興地域の農地を中心に「七色畑」と呼 ばれ、きゅうり、トマト、ほうれんそう、だいこん、ねぎ、ルッコラ、バジル等の野菜 の生産やシクラメン、花壇苗などの花きが生産されている。
・鎌倉市では、市内農業者とJAさがみと連携し、新鮮で安全な農産物の普及促進を行なうため、平成7年から農産物に「鎌倉ブランドマーク」(登録商標)を表示している。
3.現地調査振り返り
現地調査の振り返りは、鎌倉市農協連即売所入口に貼ってある看板にとても大事なことが書いてあるので、この看板を基に振り返りをしていきます。
・販売所と生産地の距離の近さ
鎌倉市農協連即売所は現在全国各地で開かれている ファーマーズマーケットと形態は似ているが、都市部で開かれているファーマーズマー ケットとは異なる点が一つある。それは販売所と実際に野菜を栽培している生産地の距 離が非常に近いことだ。現在鎌倉市の農業振興地域に指定されている北部の関谷地区は 販売所から約10kmの場所にあり、車で20~30分で行くことが可能となっている。販売所 と生産地の距離の近さで言えば、道の駅も当てはまるが、道の駅では生産者と消費者の やり取りは出来ない。「販売所と生産地の距離の近く、更に生産者と直接交流が出来 る」これが鎌倉市農協連即売所の大きな特徴ではないか。
・小規模農家を束ねて大きな供給体となったこと
上記の看板には、「当時農村は不況に見舞われ、自立更生するためには、生産するだけでなく、組織的な直売態勢をつくることが必 要ということで生れ」と書いてある。これは、小規模な農家一軒だけでは、鎌倉地域の消費者の需要を満たす事は出来ないが、いくつかの農家がまとまって販売することで、消費者の ある一定の需要を満たす事が可能となっていることを示唆している。
この理論は、現在有機野菜の宅配サービスを行っている坂ノ途中に見ることが出来る。坂ノ 途中は新規の小規模農家と連携して、農家が栽培した農産物を販売することが主な業務内容 である。
坂ノ途中のHPには次のようなことが書いてある。
「収穫は少量で安定しないけれ ど、良い農産物が販売できるしくみ、つまり新規就農した人たちが、環境を損なうことの少 ない農業をはじめやすい、つづけやすいしくみ、それを作ることが、新しく農業を営む人た ちを増やし、農業を未来につづくものとする最短ルートだと考えています。」(坂ノ途中HP 「私たちの考え」より抜粋)
農家がどんどん減少している日本において新規就農者が非常 に厳しい状況に置かれている中でこのようなサービスが生まれたそう。鎌倉市農協連即売所 誕生の背景と非常に似通ったものを感じるとともに、農家を存続させるための大事なポイン トは今も昔も変わらないことに驚きを感じる。
・消費者と生産者のマッチ
上記の看板には「古都と高級住宅地で知られる鎌倉に農家のイ メージは重なりませんが、自然や風土を大事にする消費者層が厚く、鮮度のよい季節野菜が 好まれていることがこの即売を支えています」と書いてある。
ここまで大規模な即売所が92年も続いてきたのは、この看板に書いてある通り、地元鎌倉で 生産された新鮮な野菜を消費者が求め続けていたからであろう。
4.次回予告
鎌倉市農協連即売所はいつ行っても楽しい場所です。とても勉強になりました。
さて、次回は東京都羽村市に本店を構えるスーパーマーケット福島屋に行きます。
初めての西多摩地域です。郊外まで遠くに足を運ぶので他にも色んな場所に行きたいと思います。お楽しみに。