下北沢と臨戦態勢と不思議な風
今日は月曜日 日曜日に仕事していたので休み
計画していた予定なんてなく ひとり当てもなく乗る電車
新宿から始発で乗る 小田急線がどこか心地よい かつて 都心を離れるようにして 通勤で使ったロマンスカー
新宿駅のポスターや広告が作り上げるイメージの中で作る箱根 心地いいのは そのイメージが醸しだす哀愁感
そんな箱根へ引き寄せられるようにして急行に 下北沢で途中下車
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あまり縁のないこの街 何年ぶりだろう
どこか清々しい 新しい街に来て 知らない空気を吸っている
この街で見る景色 この街に行き交う人 この街に佇むカフェ
天気の良い日に 知らない街に行く
なんてことのない日常
同じ気持ちで幸せを 感じる人が隣にいるわけでもない
そんな状況で 下北沢という新しい風に 気持ちの高まる自分
そんな時間がとても新鮮で そんな自分が不思議である
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ふと蘇るふたつの過去
学生時代の終わり頃 ひとり巡った海外
そして 先日出会った女性 「海外にいるときの自分は臨戦態勢」そんなことをいっていた
僕にとっての海外生活は楽しいものばかりではなかった
新しい街で 新しい寝床を探し 荷解きをして 翌日の予定を考える
街に出れば 警戒心を高め 地図を片手にバスを乗り継いで 巡る街
そんな生活を数日過ごせば 就寝時にはぐったりだ
さらに言えば 翌日移動の前の晩は辛い 苦手な荷造りが待ち受ける
アメリカもヨーロッパも横断した
タクシーチャーターして1週間 インドも駆け巡った
仕事でも数か国
僕にとっての海外はまさに「臨戦態勢」で、それらは記憶の中では とうの昔にストレスへと変わっていた
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今日は下北沢だ。決して「臨戦態勢」になるような場所ではない
それなのにこの感覚はなんだろう
どこか 6年前 一人海外を巡ったときの「臨戦態勢」下の自分を想起させるこの感覚
それが今日下北沢の駅に降り立って 狭い町並みを見上げていたとき 感じていた自分の気持ちだった
意外なのは それは警戒心のようなストレスではない
むしろ 新しい風を感じるような高揚感、どこか忘れていた気持ちをふと思い出し、その高揚感は また自分をどこか知らない街に連れていってくれる
そんな気がした月曜日の昼下がり