ホームスクールを始めるまで / 息子の幼稚園・後編「退園」<#13>

入園後、何日経っても絶対に教室に入らない息子

皆が教室に入っても、誰もいない園庭でずっと一人で遊んでいました。

息子の他にも、しょっちゅう教室を抜け出す常連さんたちがいて

その内の一人、息子と同じクラスのHくんは

会話はまだ上手にできないけれど

名詞をいくつか繋いだり、指を差してコミュニケーションを取る男の子。

一日に何度も抜け出し門の所に来ては

担任のM先生や、補佐のI先生に連れ戻されていました。

ある雨の日

いつものように教室を抜け出して門の前にやって来たHくん。

停めてあるバスを覗き込んだり、門から外を眺めて

お母さんを探しているようでした。

しばらくして、Hくんを迎えに来た担任のM先生は

その日は忙しかったのか、余裕がなくイライラした口調で

「Hくん!もう・・・」と、ため息まじりに

バスの後ろに隠れているHくんを見つけ、手を掴み

連れ戻されるのを嫌がり「ママ!」と叫ぶHくんに

「教室抜け出すような子は、お母さん迎えに来ないよ!」と・・・

そのまま泣いているHくんを引っ張るように連れて行きました。

これも、よくある光景なのかもしれません。

でも私は、子供が親の手を離れる時は、

自転車に乗れるようになる瞬間のように

子供が力いっぱいペダルを漕ぎ、充分にスピードが出たとき

後ろから支えている手をスッと離すような

そんな離れ方ができたらいいなと思っていて

たった数時間でも、子供が親を必要だと主張するのを無視する必要も

息子を本人の意に添わない形で園に預ける必要もなく

息子も園に通うのを嫌がっていること

そして今回、目の前で起きた出来事。

私も息子も、もう園に通う理由はなくなり

翌日先生に退園することを伝えます。

面談

退園を伝えたとき、応接室で担任のM先生と

前回の記事に出たK先生、補佐のI先生の3人と

お話しする形になりました。

最初、退園の理由を

「まだM先生に蒼介をお願いできる状態ではないので・・・」

とお話ししましたが、言葉を濁していたままでは

「そんなことない、蒼ちゃんは充分に通えます」

「諦めるのは早すぎます」と、受け入れてもらえず

前日に見た、M先生とHくんのことをお話ししました。

冷静に、冷静にと思いながらも、話しているうちに涙がこみ上げてきて

「Hくん、まだ上手にお話しできないんですよ?

不安でお母さんを求めて泣いているのに”迎えに来ない”なんて

Hくん、どんな気持ちになったか・・・・・」

M先生を責めるように、感情をぶつけてしまいました。

M先生は、膝の上で手を震わせながら、うつむき泣き出しました。

「蒼介は、 Hくんよりももっともっと言うことを聞かない頑固な性格で

M先生のこと、きっとたくさん困らせると思います。

でも・・・蒼介にも、あんな風に脅すような言葉をかけられるのは

私は、嫌です。」

涙を何度も拭いながら、思っていることを伝えました。

I先生は何も言わず、K先生は驚いたようにしばらく黙ってから、

基本的に、教室を抜け出すことは問題としていなくて

園の敷地内に居ればいい、というのが園の方針です

だから蒼ちゃんが教室に入らなくても大丈夫だし

蒼ちゃんには必ず一人、誰か他の先生を付けるようにします

M先生は、まだ今年大学を卒業したばかりで

それでも一生懸命やっているんです

一度お母さんではなくお婆ちゃん(義母)と一緒に登園してみてはどうか

そんなようなことを、時々眉間にしわを寄せ

慎重に言葉を選ぶように話しました。

義母のことに関しては、遠足の付き添いをお願いしたことで

K先生の記憶に残っていたようで

世間体をとても気にする義母なので、きっと先生の言う通りに

蒼介を預けて園を出て行くと思ってのことだろうと

すぐに気付きました。

退園を宣言した相手に、まして園の機能できていない

部分を指摘されたような状態で

「でも頑張っているのだから」とか

どさくさに紛れて義母を勧めるK先生を私は理解できず、

退園する気持ちは、より確かなものになりました。

結局、一度時間を置いた方がいいと思い

「特別扱いを望んでいるのではなく、

M先生が穏やかな気持ちで子供達と向き合えるように

環境を整えてサポートしてほしい」と伝え、帰りました。

翌週、電話で改めて退園する意思を伝え

その翌日、退園の手続きをするため私一人で園に向かい

園長先生、K先生と最後の面談

K先生は「もったいない」「考え直して」と私を引き止めましたが

私の意思を尊重すると先に約束してくれた園長先生に牽制され、退室。

園長先生からは「蒼介君は、とにかく天の邪鬼で頑固です」

とお墨付きをもらい「いつでも戻って来てください」との言葉に

「ここまでしていただいたのに、申し訳ありません」と謝罪と

最後にお礼をお伝えして、先生達一人一人に頭を下げ家に帰りました。

こうして入園・即退園となった蒼介

時々、園の近くを通ると「蒼介の幼稚園だ」と興味を示すので

園に対して悪い感情は持っていませんが

今の所また通いたいという気持ちはなく、学校も行かないそうで

「けいととお家でオベンキョーする」と言っています。

One clap, two clap, three clap, forty?

By clapping more or less, you can signal to us which stories really stand out.