ホームスクーラーのネットワークってどうやって作ってる?

【第5回:ホームスクール保護者会 by HSJ】

--

毎回ホームスクール現役実践者がおおくりしております保護者会。今回のテーマは: 「ネットワークについて」です。

Y.R:

私は6才の娘がいます。今はまだ入学したばかりで諸々模索中ですが、今後、小学校と家とで教育をしようと思っています。ハイブリッドです。家で教育をする時に、近くに一緒に勉強をしたり遊んだりできる仲間がいたらいいなといつも思っているのですが、なかなか見つかりません。みなさんは、どのようにして仲間を見つけていますか?

Y.M:

うちは中二・小五・小三が、家庭と学校とフリースクールを本人の希望で組み合わせています。三人ともそれぞれの困難があるので、必要に応じて病院や自治体の相談窓口にも行くこともあります。なるべく情報をあつめたいのと、いろいろな大人と関わる機会を作りたいので。

人とのつながりが一本の太い綱ではなく、いくつもの場所でゆるいかかわりを持ってネットを作るイメージです。どこかに引っかかれば良いかなと。

近所に仲間がほしいですよね。同じ学区の不登校の子とつながりたいと思って親御さんに声掛けすることもあるんですが、たいていは悩み事を抱えていて、家で心を回復させている状態なので難しいです。

M.O:

私は、子どもたちが自分で活動する中で人との関わりを持ち、結果としてお友達や仲間になってゆくものだと思っているので、子どもたちのお友達を見つけるために私自身が特別に何かすることは今のところありません。私が幼い頃から一人で過ごすことが好きだったので、「一人でもいいじゃない」という気持ちもあります。

ただ、ホームスクールのブログがきっかけで私にお友達ができて、そのお子さんたちとうちの子どもたちが仲良くなって・・・ということはあります。とても有り難いご縁をいただいたと思って大切にしています。

Y.R:

一本の綱よりもネット。よくわかります。結局、一本だけだといくら太くても見えてくる世界が狭くなりますよね。その小さな世界で不必要に悩んだり落ち込んだり勘違いをしたり…それがネットだと色んな場所に身を置けるから、ポジティブに生きられるのではないかと思います。不登校の子とつながって何かしたいことはありますか?

Y.M

したい事は無いんですが、お互いの気配を感じられる場が欲しいなと思います。向き合って何かをするんじゃなくて、同じそれぞれが好きな事をやるような。

したいことがあれば良いとは思うし活動的な方ならいろいろ場を設けるんでしょうが、私には向いていない。向いていない事は努力しないように気をつけています。やりたい時にやりたいだけ。無理に頑張ると、子どもの反応が思い通りじゃなかった時に怒りを感じてしまいそうで怖いんです。

いろいろな機関とつながるようにしていますが、結局は私が尊敬できて興味ある人に会いたいから会いに行っているんですよね。

Y.R:

子どもに友達付き合いを押し付けない姿勢も大切ですよね。たしかに「1人が悪い」わけではないから。

人と偶然に出会ってつながっていくというのが本来の形であると思います。

M.O

あまり肩肘張らずに自然に過ごしたいなと思っています。ただ、子どものお友達を作るために親が一生懸命になるのも一つの愛情の形ですよね。

娘はお友達をほしがっているので、時々「これでいいのかな?」と複雑な気持ちになることもあります。

Y.R:

うちは一人っ子で社交的です。だから友達と遊びたくて仕方ないみたいで、学校にはほぼそれが目的で行っています。娘の年齢では学校の外では親が動かないと友達と出会うチャンスもなかなか得られないと思います。

動くと言っても、公園に連れていきあとは子どもに任せるというものから、親も一緒に友達作りに積極的に参加するというものまであると思います。

今のところ、私自身は仲間がほしいと思いながら、積極的には仲間を探していませんし、子どもの友達作りに関して努力もしていません。
努力をするとしてもどんなことをするのか…どなたかお子さんのお友達作りに積極的に関わっている方がいらっしゃったら教えてください。

Y.O:

うちの娘も友達を欲しがったので、私も色々と動きました。

ただ、学校でも支援センターでも個人情報の兼ね合いで不登校の子供の紹介は出来ないとのことだったので、親の会へ参加したり、私が自ら会を主催したり、というところから今の私の活動に繋がっています。

元気な方は自力で仲間を作れますが、不登校などで悩んでいる方は、情報も入ってこないし繋がりも出来ず、どんどん孤立していく現状をとても強く感じています。

そんな中で、私の行き着いた答えは、母親が楽しむ!です。母親が楽しく過ごしていれば自然と子供の活動範囲も広がると思って、今は私はあっちいったりこっちいったり、好き放題楽しくやってます。

Y.M:

わかります。病院のフリースクールも外で連絡を取るのはNGだし保護者同士で会う機会が無いですね。子ども達にとっての安全な場所として提供しているので当然ですが。自治体の相談窓口も専門家とはつながれるけれど、個人の関係は広がらない。広げたい場合は個人で参加したり、主催したりになりますよね。

人間関係で子どもが不登校になった場合、親も傷ついている事が多い。誰を信用したら良いかわからない、そもそも新しい人間関係を作るエネルギーが枯渇している。そうやって親子で孤立しがちになる。心配になるのわかります。

積極的に自宅を選んでいる子、避難先として自宅にいる子、子どもの年齢、子どもの気質、状況によって必要な環境作りは変わりますが、親が楽しんでいるというのは共通で最高の環境作りですね。

M.O:

私も、私が楽しいと思うことを優先して過ごしています。

子どもたちを心配や期待の気持ちで見張るように関わるのも、子どもたちが楽しく過ごすために私が本当はやりたくないと感じることを頑張ってするのも、とても窮屈に感じてしまうので。

子どもたちにもその日一日をどれだけ楽しく過ごすか考えてね、やりたいことワクワクすることを自分で見つけていいんだよと伝えています。

Y.R:

Y.Oさんの主催されている活動についてお話していただけませんか。

Y.O:

私は、ホームスクールという学び方を多くの方に知って貰いたいと思って親向けセミナーを開催したり、そこで繋がりあった人達で集まって何か企画したりしてます。そこから子供同士も友達になって、子供は子供でネットとリアルで遊んでいます。もっともっと地域の方々を巻き込んで、ホームスクールしやすい環境を創りたいなあ、と思っています。

T.S:

我が家はSNSでのネットワーク拡大が一番大きいです。ホームスクールジャパンもそうですが、フェイスブックやブログなどで「こんなことやってますよ!」という紹介をつたって知り合いが増えてくるといった感じですね。あと、性格的なものもあると思いますが、良くも悪くも初対面の方にもどんどん話しかけていきます。

H.A:

私もSNSやブログで発信し続けているうちに少しずつつながりが増えました。発信してるどうしで輪になりつつあります。平日昼間に気軽にお会いできるお母さんや子どもたちがいることはとても心強いです。それぞれ、今の幼稚園や学校教育に疑問を持っているお母さんたちだから、場の空気をとても大切にしています。子どもを押さえつけるのではなく、自主性に任せたいと考えるお母さんが集まってます。

みなさん、着実に一歩ずつ進んでらっしゃいますね。尊敬します。私も場づくり、輪づくりを微力ながら続けようと改めて思いました。

Y.M:

皆さん発信されていてすごいですね!私は積極的にホームスクーリングを始めようと思った段階でサーバー契約してお金も払ってブログ登録したところで力つきまして、、、。今も放置です。
昔やっていた無料のブログも放置でして、先日子ども達に引き継いだところです。

Y.R:

みなさんから共通して感じられるのはポジティブなエネルギーですね!確かにネガティブなホームスクールというのはもともと想像がしにくいんですけど。笑。

今、日本ではまだまだホームスクールに関してあまり認知されておらず、ホームスクールをする人達は私達のように個人または小さなグループがそれぞれ試行錯誤しながら頑張っているんだと思います。そういうそれぞれの点を繋げて大きなエネルギーにするために皆さん何か今後こうしたいというアイディアはありますか?

Y.M:

私は子ども達のエネルギーを安定させるので精一杯なもので、こうしたいと動くところまで行き着かないのが現状です。何で失政の後始末を個人の努力で穴埋めしなきゃならないんだ!子どもへの税金を学校経由だけで配分するな!と実は不満だらけですので、立派にネガティブホームスクーリング母です。

T.S:

子どものネットワークづくりについては先程述べた通り、特段積極的には行っていないけど、私が多分大分社交的なほうなので、それに引っ張られてコミュニティができてきていると感じています。

コミュニティを作ろう、ではなく、楽しいことをしたい気持ちが強いですね。

ホームクーラーの方と一緒にどこかいったりすることで子ども同士も友達になってますし、こんな感じでいい距離間の子ども同士のネットワークは作っていけたらいいんだと思います。

うちの子はスマホ所持を許可しているので、制限の下で不登校キッズたちとLINEでつながっており、コミュニケーションは本人がとっています。また、自宅を自習スペースとして解放しているおかげで、平日は毎日子どもたち(不登校か否かは問わず)が出入りしています。そこではみんな仲良しです。

オフラインの集まりも企画するので、それを通して新しい子たちとも出会います。

日本は不登校といえばドロップアウトの考え方が根強く、当該家庭も社会を避けがち、というかネガティブな方向へ進みがちですよね。

「悪いのはだれか」を考えちゃう。

しかし、ホームスクールは積極的不登校なんだ!オプトアウト(積極的離脱)なんだ!という概念をもっと広げていく必要があると僕は思います。

また、不登校界隈では発達障害や自閉症、学習障害などの診断を受けている子どもたちの存在も大きく、家庭やホームスクールコミュニティ(みんなが知識や場所などのリソースを共有するといった意味で、シェアスクーリングと呼んでいる)でのインクルーシブな教育の可能性についてはもっと多くの議論をしていくべきと考えています。

では、そういったことを大きなエネルギーに変換して行くために私たちはどんなことができるか。

まず1つ目は情報の提供、流布です。

このホームスクールジャパンをはじめとした、ホームスクールの存在、活動をもっと知ってもらうことが何より必要です。

最終的には活動を通したホームスクール家庭に対する金銭的な支援も必要です。(安心して子どもと家に入れる環境を作り出すこと)そしてその金銭の出どころは他のマーケットからでないといけないですね。

そしてもう一つはオンラインコミュニティの整備です。

点在するホームスクーラーが一緒に活動できる場所(バーチャルなコミュニティ)が必要打と考えています。そこでは親同士の相談はもちろん、子どもたちが学習成果を発表しあえる、親以外の大人、専門家から学問を学べるという場を作ることができます。また、履修したプログラムに対してのフィードバック、終了証的なものも発行し、学校などの既存の教育機関がある程度安心してホームスクールをさせることができる環境を作ります。

そして、これは単なる受動的な通信教育ではなく、家庭教育向けにデザインされた親子のコミュニティでないといけないと思います。

手前味噌ですが、ルミオハナではこちらに着手しており「大きな学校」というプラットフォームをオープンしている。2018年度中に50家庭の登録を目指します。

オフラインの活動も重要です。

オフラインコミュニティを地域ごとに持つこと。各地域の旗振り役(4~5名の親)が必要ですね。リアルな場所であう、活動を一緒にする、情報を共有する、この枠組みを作る必要がある。(ホームスクール保護者会:関東支部みたいな)こういったものができると、署名活動や統計データ集めが可能になります。そうするといずれは国への交渉も夢ではなくなります。子どもたちの未来が変わるんです。

ただ、やっていること、やりたいことはたくさんありますがまったくもって手が回らないというのが厳しい現実です。
少なくともホームスクールジャパンはせっかくできた火種。どうやって大きくしていくか、皆さんと一緒に考えたいです!

Y.O:

素晴らしい!
私は想い描く未来はあるのですが、実際に何から手を着けたら良いのかわからず、毎日、試行錯誤してます(^^;)
そして、なかなか前に進まず、です。
でも、やれる事やってぶつかってまたやる、というやり方で楽しく繋がりを作っていこうと思います。

海外の事情についても、とても興味があります。
たまに集まって勉強会とか研究会?みたいな形で共有させて頂けると有り難いです。

M.O

私も計画的に何かを進めることがあまり得意ではなく、いつも気がついたら繋がっていたり何かが始まっているような感じです。ホームスクールのことを発信し始めてからお友達ができて、またそのお友達を介して新しい出会いがあり・・・今はホームスクーラーマップの制作がきっかけで遠くの方々との繋がりが少しずつ増えています。

Y.R:

T.Sさん、相変わらずパワフルですね!やはり親も子も性格によって友達作りが簡単な人とそうでない人とがいると思います。でもどんな人でも相談をしたりちょっと遊びに行ったりできる友達がいたらホームスクールも心強いですよね!色んな企画が進んで早く色んな人が繋がればいいですね。NPO立ち上げましょう!

M.Oさんのマップについて詳しく教えていただけますか。何がきっかけで作り始めましたか。また、どんな使い方ができますか。

M.O:

ホームスクーラーマップを作り始めたのは、今までお会いしたホームスクーラーのほとんどが「自分の近くにどれくらいホームスクーラーがいるのか知りたい」と言っていたことがきっかけとなりました。

そして、どこかでホームスクールを始めたばかりの方が「学校に、自分と同じようにホームスクールをしている人がいたら教えてほしいと言ったら断られた」という記事を読み、個人情報を理由にいくらでも断る理由は挙げられるな。でも、本当に目の前のその人たちの力になろうと思えば、違う対応もあるんじゃないかなと、やるせない気持ちになり・・・ならいいよ、私が作るよ。みんなで作ろう。と始めました。

今はまだ登録者数は少ないのですが、今後マップを使ってできることは、自分の近くのホームスクーラーの数を把握したり、連絡先を公開している方と繋がるきっかけになると思います。

そしてオルタナティブ教育を勧める活動をしている団体や個人、学校の情報も同時に見ることができます。

逆に自分の活動を宣伝したい人や団体は、「ここにいるよ」「こんな活動しているよ」と知らせることができるので、これから登録数が増えてたくさんの方に利用していただけたら嬉しいです。日本中の、いつの日か世界中のホームスクーラーを繋ぐ架け橋になるといいなと思っています。

Y.R:

やはりみなさんが困っているところなんですね。マップの完成が楽しみです!

ホームスクーラーのネットワークは日本ではまだまだ個人や小さなグループレベルで頑張っていかなければならないようですが、皆さん絶対に必要なものだと思います。迷った時、悩んだ時、また何かわくわくすることをしたい時、自分達の思いやアイディアを話し合える人が見つかる環境が早くできるといいですね!そのためには、学校システム以外の教育も一般的に選択肢の1つとして認知される必要があると思います。

私たちは限られた時間のなかで日々子ども達と一緒に本気で学び、またそれを積み重ねていくことでホームスクーラーの未来の環境を作っていくことができると信じています。

それぞれの点が繋がって世界に誇れるような教育環境を目指しましょう!

--

--